会議は踊る
第一回作戦会議のコーナー!
「だ、第一回作戦会議のコーナー!」
別に全部復唱しなくていいよ、急なテンションの差でラブハート氏が困惑…してねえな。
「あてはあるのかし…ら?」
実のところ全く、ってもあんなサイズのムカデが隠れられるわけも無いんだからすぐわかるだろ。
「あのサイズのムカデなら見つけられない方が難しいのでは?と……と言うかここ最近一切の情報が入らないあたりもう近くにはいないのでは?」
その可能性を考慮してなかったな…あいつ燃費悪すぎて同じ場所にいられない気がするし探すのだって一苦労だなぁ…しかも協力こぎつけないといけないんでしょ?無理くせえ。
「お父さんが寄生して操るのでは駄目なのですか?」
無理無理、レベル全然足りないもん。
吐き出されて殺されるか飲み込まれて消化されるかのどっちかだね。
「レベルが足りないと…八方塞がりですね」
「あら、どうせ暴食王を探しに行くなら道中の獲物を狩れば良いんじゃないかしら?」
私達に戦闘力を期待するなよ…?
「お父さんの戦闘力なんて文字通り虫けらですよ?儂も武器の問題でまともに殺生できませんし」
「アタシが戦うのもありかし…ら?」
文字通り寄生プレイってわけか…でも私レベル今の所45までだよ?前回はシストで上限上がったけどそんな時間もねえしなぁ…
「今はレベルの上限のせいである程度からは上げようが無いと……待ってください、レベルの上限とは?」
え、あるだろ?レベルの上限。
「ありませんよそんなもの、何ですかそれ」
「…いや、確かにある…あったと言うのが正しいかしらね」
「私達よりもずっとずっと前の世代…それこそ数百年前にはレベルの上限、所謂打ち止めと言うものが存在していたわ」
「まあもっとも…人類種だけに…ね」
「もっとも、ある時を境にその打ち止めなんてものも無くなったらしいけ…ど」
私は古代の人間ってこと?
「それだけは無いでしょうね」
「古代の人類に失礼だよ」
お前等私が肉体を得たら覚えとけよ?それはともかく私って何者?
「お父さんは何者なのでしょうか?」
「わからない…わ!」
「でも少なくとも…まともな出生じゃない事だけは…わかる」
「…取り敢えず、上限いっぱいまで上げてみる?」
そうするのが手っ取り早いか…じゃあお嬢ちゃんとブレ子は住人の避難がスムーズにできるように領主んとこ、私とオカマッチョはムカデ探し兼レベリングで行こう。
「会話できなくて不具合は無いのですか?」
ありまくるわ、仕方ないでしょお嬢ちゃん一人にするわけにもこっちに連れて行くわけにもいかないし。
ぐえっ…!摘み上げるなら言えよ苦しいだ…ん?
「ラブハート殿…?」
「漢は…度胸…!」
おあぁぁぁ!!?
ああびっくりした…飲まれただけか。
いや本来丸呑みにされたことをだけって表現することが稀なものだけども。
「ら、ラブハート殿!何かが削られるとおっしゃっていたのでは…!?」
「あんな子供が信じて命張ってるなら、アタシも張らなきゃあ…美しくないじゃないの…!」
「ですが……大丈夫ですか?」
「ええ、問題無いわ…生理的に受け付けなくとも…胃から酸っぱいものがせり上がろうとも…」
吐きそうなくらい嫌ならもう吐いてくれよいっそのこと!!
てか行けるの?寄生?
[生体浸食不可]
[肉体制御、精神体制御共に不可]
[離脱可能]
[推奨:離脱]
[離脱シーケンス一時停止]
[思考同調可]
よくわからんけど頼むよ。
[同調開始]
[完了]
「……大丈夫?」
「全く問題ない…わ!」
「あれ?お父さんじゃありませんね」
やっぱり乗っ取るのは無理っぽいね。
「ん待って…今のは誰…が?」
「お父さんが話してますね、恐らく内部にいる事で一時的に話が出来ているのでしょう」
ふむ、よろしく頼むよラブハート氏。
でもできれば今度から飲み込むなら先に言ってほしいよ。
そして溶けないか不安で仕方無いからできるだけ胃酸の分泌を抑えてほしい。
「アンタそんなに喋るの…ね」
「お父さんはかなり饒舌ですが全て伝えると大変なのでかなり端折っていますよ、まあもっとも…意味をなす言葉が少ないのでそれでも伝わってしまうのですが」
それじゃ、ぼちぼち行こうか。
あの鹿がちゃんとこっちに攻めてくる事がわかってしまってる以上そこまで時間をかけたくないからね。
そして考えれば考えるほどこの国が巻き込まれたのが私のせいでしかないから被害が出ると心底申し訳ないからね。
「事故みたいなもの…よ」
「黄金神鹿の鏖の範囲圏内なんて人の身空でわかることじゃない…それこそ暴走した今となっては関わりを持ってしまった存在全てだってありえるんだか…ら」
人じゃ無いけどね、まあ敵と一緒にいたから敵、その敵と同じ種族だから敵とか…そうなった結果滅びた人種もいたっけな?よくは思い出せないけど。
「……お父さん?」
何だね。
「いえ……じゃあ儂等はこれより領主の下へむかいますので、そちらの御武運を祈ります」
そこそこ長旅になって最悪の場合帰ってこなかったらお嬢ちゃんを連れて他国にでも逃げてくれや、復活するまで私の水筒も忘れずにな。
「はい……ラブハート殿は大丈夫なのですか?」
「美しければ強い…美しいから強い…つまり私は不滅なの………よ!」
……だそうです。
「成程、心配ありませんね」
「本当に…?ねえ本当に…?」
それからお嬢ちゃんは頭打ってるならできるだけ激しい運動はせずに、吐き気とかしたらすぐ医者呼んで?
「あら、医療の心得がある…の?」
無いけど常識の範囲でな、転生者なのに知識無双できないとか本当に真面目に勉強しとけばよかったと悔やんでるよね。
ラブハート氏のステータスって見てもいいの?
「んふ…漢女のステータスを探るものではない…わ」
あー、駄目なやつか。
じゃあいいやまあ、強いことはわかってるし。
何よりステータス見られるときって何かゾワッとするもんね。
あれかな、命のわかりやすいカウントが見れるからなのかな。
「本当によく喋るわ…ね」
「うるさかったら放っておけば黙るので…耐えてください」
「慣れればそこまでの害は無いから…」
よって集って何だこの野郎。
よし、盛大に出鼻は挫かれたけど取り敢えず作戦会議終わり!!行くぞ!
じゃ、頼んだよラブハート氏。
「……そうよね、そうなるわよ…ね」
ラブハート氏すら自分のテンポに引き込んでしまうハリガネムシ。




