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伝え導く愛の戦士

 さて、もうこの際だから全部話しちゃおうかね。


 私は元々人間……だった筈だよ、最近は記憶もかなり薄くなったものだけどね。


「えと…ハリガネさんは昔人だったって」


「そんなわけ無いでしょう馬鹿ですか父さん」


 お前後でしばくからな。


 何なら知ってんだろお前、知らなかったっけ?


 まあその後は色々端折るとムカデに寄生して命からがらその鹿の弟と戦って……勝った。


「ムカデ…暴食王に寄生して鹿を倒したって」


「んん…おかしいわ…ね」


「あのムカデはまだ子供も子供…当時のウェンカムイの弟がいくらユニークでないと言えど神の血筋…勝てる道理が無い…わ!」


 あー、その、途中でユニークスキルってのが、な?


「ユニークスキルを途中で身に着けたって」


「なるほどそこで……」


 んで、その後はムカデはどっか行ったし私はその場でウェンカムイとか言うデカい鹿に殺されたよ、ぶっちゃけ何されたかはわかんねえんだけどさ。


「何されたかはわかんないけど、例の特異点個体にやられたってさ」


「なるほど…なるほど……とばっち…り!とも言えなくもないような妥当なような…」


「でもそれなら弁明の余地がある…わ!」


 弁明とな?


「どういう事…?」


「あの『黄金神鹿』はかなり長生きなの、人の言葉くらい理解できるだけのリソースがある……となれば話し合いが行える…わ!」


「実際アタシも一度話したけれど、基本的には温厚…話が通じない相手じゃないわねン」


「ほう…つまりそこの輩を突き出して自ら解決させると?」


「それが一番賢いかしら…ね、何にせよ……お嬢さんは連れていけないんでしょ…う?」


 ああ、無理だね。


「……うん」


「それならアタシと一緒に森まで行って、そうすれば初見で殺されることは無いはず……よ?」


 ちょっと自信無いのやめろや、不安になるやろがい。


 んー……さっきも聞いたけど一応確認ね、それ私とオカマッチョ氏だけで平気?


「えっと…同行者はハリガネさんだけでいいかって」


「ええ、それで構わないわ」


 そうかぁ…んじゃまあ。


 ブレ子、お嬢ちゃんの事は任せるから後は頼んだよ。


「そんな父さん…死ぬと言うなら私も」


 その器に思い入れがあるんだろう?やめときな。


「……では死んできてください」


 切り替え速いなぁ!?


「何を言っても行くでしょう結局」


 まあ…まあまあ…うん。


「…ん?お待ち」


「アンタ達話できてるの…ね?」


 ああ、ブレ子は私の子供だからね、認知はしないが。


「儂等は実の親子なのです、と言ってもこの中身ですが」


「森で脳がもう大して活動していない身体を見つけたので間借りした感じですが…良く言えば延命措置ですね」


「とはいえ…もう二度と自我など目覚めはしないのかもしれませんか、侵蝕率が100を迎えております故」


 馬鹿野郎ブレ子馬鹿野郎、完全にオカマッチョ氏ドン引きだしなんなら敵対されるわ。


「馬鹿野郎で子供の名前を挟むんじゃない!え…でも…胃の中から生かしたまま自我もあるまま乗っ取るよりはマシでは?」


「……トントン…ね」


「いや…いいのよ、そう言う生き物もいる…アタシは偏見など持たない、何故ならそう…美しいか…ら!」


 メンタル回復のためにそれやってません?大丈夫本当に?


「ええそうよ…実際もっとエゲツない生体の生物も存在するわ…よって主観による偏見は持たないのがアタシの美しいポリシー…」


 言い聞かせてる感がひしひし伝わってきやがる…まあいいや。


 行くかぁ…しかし私次は復活できるのかね?


「卵があれば可能かと……」


 じゃあまあ水筒に産んどくか、流石に後でだけどね。


 教育にも精神にもよろしくない…ってか私もあんまりやりたくない。


 じゃあそんな感じで行くかぁ…所でずっと気になってたんだけどさ、オカマッチョさんて何者?


「貴方は何者なんだって」


「いい質問…良い…質問………ね!」


 今日一溜めたなぁ…


「アタシは人呼んで天翔(あまかける)・愛の伝導者……知っているわね?」


 どうしよう、全然知らない……


 まさか…!お前があの…!?ってならない、知らないもの。


 正月に「おっちゃんお前がこんくらい小さい時から知ってんねんでー」って言ってくるおっさんなみに知らない。


「全く知らないって」


「……!?」


 すげえ驚かれ方をした、顔面の圧だけで幼児はショック死しそうだ。


「……仕方ない…わ、アタシがいたのは王都だもの」


「職業がその…愛の伝導者なのですか?」


「ふっ……自称よ、職業は【超常力士】(マスター・レスラー)…と呼ばれていたのでそうしたわ」


 他称と自称の肩書あるんだぁ…マスターレスラーはすげえ強そう…いや強いんだけど。


 ブレ子聞き覚えは?


「……王都の超常力士…もしやルメント=ラブハート?」


 知ってるのかブレ子…!


「いえほぼ知りませんが…流れ者の冒険者で強力ながら人間性に難がありすぎたために王都を追われたと…」

 

「追われてないわ!!パワフルが過ぎたから王室に抱え込まれて今は直属の冒険者として働いてるってだ……け」


 まあ噂ってねじ曲がって伝わっちゃうものだもんね、噂は噂。


「なるほど…では犯罪者の収容と称して名のある無頼漢を捕まえ、家で飼っていたというのも噂でしたか…」


「……………」


 おい目そらしたぞコイツ、お嬢ちゃん?


「………えぇ…」


 あ、やっぱ見ちゃだめだ、後ろにいなさい後ろに…ブレ子の。


「いや、でも…ダーリン達は今となっては何時でも逃げられるくらい自由にしてても逃げ出したりしないくらい良い子になったのよ…?」


 お前の調教の話は知らねえんだよやめろ。


「……心配しないでも悪党にしかやらないし……タイプでもなければすぐに兵に突きだす……わ」


「………タイプとは…?」


「下にいたクマちゃんみたいなあの子と…か?」


 逃げておやっさん!一刻も早く逃げて!できるだけ王都から離れて!!


「おおぅ…父さん……頑張ってください☆」


 何サムズアップしてんだてめぇ!!さっき死ぬなら私もとか言ってただろうがこの野郎!!


「数々の脅威からの盾となる大きな父の背中を我々に見せたいとは思わないのですが!」


 目一杯小せえだろうがよ!!まず私の背中はどこだ!!


「ええと…ハリガネさんをお願いします…できれば生かしたまま…」


 私達がコントしてたらお嬢ちゃんがオカマッチョ…もといラブハート氏に深く頭下げてた、多分生き返れるとは思うけどね?


「頭を上げなさい小さなお嬢さん……いくら国のため、民のためであろうとも…幼子から父親を奪うのはアタシのポリシーに反する…わ!」


「それに、酷い事言っちゃったお詫びに…アタシができる限り仲裁に入ってあ・げ・る♡」


 うーん、さっきまでは素敵で強いオネエ様だったのにハリガネ警戒心が警鐘を鳴らし続けてるんだよね、32ビートくらいの勢いで。


 まあ、最悪でも私が死ぬくらいだしこの際気にしない方向で行こう。


 ……ちなみに私がナチュラルにコイツの言葉を聞き取れてるのはお嬢ちゃんから出てきた時に『星の叡智LV.6』を貰ったからだ。


 まあ、喋れないんだけどね…ハリガネムシに発声器官があればその限りじゃ無いだろうけど。


 ……それで言うとあのムカデ発声器官あるのかぁ…生き物としての格かなぁ…




 ……あれ?


 例え鹿の怒りがどうにかなっても私ムカデに殺されね?

この世界基本的には職業は自己申告でいい、っていうか周りがそう呼んでたらそれをそのまま職業にしちゃう人が多い感じです。


他人からの認知によって覚えるスキルも変わりますし名声のある人は名がさらなる名声を呼びどんどん凄くなります。

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