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勇猛たる美

 ブレ子!!


「起きろ『大混夜叉』……『八方睨み』!」


「んん…まあ落ち着きなさいおバカさん」


 神速の抜刀、踏み込み、そして完璧なタイミングでの技の発動、どれをとってもブレ子の動きに間違いは無かった筈だ。


 だが(・・)止められた。


 本来あの刀…大混夜叉は防げない。


 質量を持たない故にガードができない、その代わりにダメージもない。


 振り抜くその時だけは実体を無くし岩だろうが鉄だろうが何一つ抵抗できずにぶった斬られる、てか厳密には通り抜ける。


 だがこのオカマは……知っていたか、それかこう言う手合と戦った事があったか、ブレ子の踏み込みに合わせ抜きしなに手元を掴み抑えやがった。


〔中々速くて良いけど、まだまだかしらねぇ…軽めに握り潰す……か〕


「ブレ子!逃げろ!捕まったら潰されんぞ!!」


「っ!!『飛び六法(とびろっぽう)』、『七天罰刀(しちてんばっとう)』!!」


 ギリギリ握られた箇所の篭手をパージ、そして……うん、見たことない技だわ。


 搔き乱すようなステップから……いや知らないと解説できねえよ、周りがインフレしまくった初期キャラの気分だよ、嫁をぽっと出の富士額に寝取られる奴だよ。


 まあでも唯一わかることはブレ子が今放った全部が徒労に終わったってことだよね。


「……やはり強い…!」


「てめえら店で何やっていやがる!!」


 おおっとおやっさんがキレた!当たり前だけども!!


「あら…そうね、このまま遊んでいるのもいいけれど……少し止まりなさい」


 ああ……今のは見えた。


 動きは早くもなく極めて緩慢、なのにそれはブレ子に当たった。


 いや……当たりに行った(・・・・・・・)


 攻撃に合わせてガードをする、これは難しそうに見えてある程度までなら訓練を積んでない一般人でもできるだろう。


 だが相手の攻撃に合わせて、相手の力で(・・・・・)攻撃しやがった。


 完敗だ、スキルとかそう言うのもわからん。


 ムカデボディならいざ知らず、幼女の肉体じゃ加勢にも入れやしねえ。


 糸が切れた人形みたいに床に音を立てて崩れ落ちた娘をどう連れて逃げるか……無理では?


 うん、よし。


「降参です」


 世界に伝わる敗北の承認、ハンズアップさ。


 何なら極東に伝わるキングオブ謝罪、DO・GE・ZAを見せても構わないんだぜ?


「命だけは許してください」


「ふむ……まあ、アタシが興味あったのは貴女だからねン、いいわ……そもそも攻撃してこなければ倒す気も無かったけど」


 ……先に仕掛けたのこっちだわ、よく許してくれたなこの人。


「お騒がせしちゃったわねン…少しお話がしたいから上の部屋を借りるわ」


 ブレ子を小脇に抱えてカウンターに一枚金貨……あれ俺等が貰ったのと同じだよな。


「おいてめえ……舐めんなよ、うちの客に手出させるわけには行かねえんだよ…!」


 おやっさん…いや逃げてほしい、できることなら。


「……あー、ヤダヤダ…アタシったらすっかり悪役じゃないの…傷付くわぁ……そりゃ攻撃されたからこのお嬢さんは気絶させたけど、子供に手を上げるほど落ちぶれちゃいないっての…」


「こんなものに頼りたくはないけど…仕方ないわね、アタシは王都の客分…流石に庇護下にいる以上妙なことはしないわ」


 懐から出した…金属プレート?何か変な光り方してるけど。


「お前……いや貴方は…」


「……失礼しました」


 おお…あの頑固で屈強なおやっさんが頭を……


「良いのよ、立派に務めを果たそうとした貴方に落ち度は無い……じゃあ上を借りるわねン」


 まあ、ブレ子の身柄も向こうにあるし…そもそも逃げ切れる気もしないから従うさ。


 上の私達が泊まってた部屋に取り敢えず入り鍵を閉める、さて……命運は如何に。


 少なくともろくなことにはならないだろうけど。


「……取り敢えずこの子起こそうかしらね、そんなに警戒しないでちょうだい、アタシにアンタ達を殺す理由なんて無いんだから……今の所は、ね」


 くっそ怖え…


「…はっ!」


 起きたか、無事なようで何より。


「おはよ、いい眠りだったかしらン?」


「儂は……」


「完敗だったね……そもそも戦う意思も無かったのにこっちから仕掛けたから非はこちらにあるのに手加減までして貰っちゃったし」


「くっ……申し訳ございませんでした…」


「あぁらいいのよ、刺激的だったわ」


 ことも無さげに手をひらひらとこちらに振るオカマッチョ……あ、オカマッチョ語感いいな。


 いやそれは兎も角、やっぱり底が知れねえ……


「ところで…アンタ達、あの犯罪者を捕まえたんだってねン?」


「……ええ、まあ」


「ふふん…妬けちゃうわ、わざわざあれを捕まえるために王都から派遣されたって言うのに……先を越されちゃうだなん……て」


「その…それは失礼しました」


「いいのよ、そんなこともあるわ…あの子は見付からないだけで実力はからっきしだったみたいだしね」


「でも……解せない事があるの」


「アタシ…最初にアンタ達に会った時言ったわよね?何かが操ってる気がするって……ええ、正直最初はアンタ達のどっちかが件の犯罪者だと思っていたのよね」


「でも、犯罪者が捕まったおかげで晴れて疑いは無くなったと……でもまだわからないことがあるわ」





「……アンタ達はいったい何者なのかしら?」


 …………やっべぇ。

今回繋ぎの関係上ちょい短いです

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