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叛逆の兆し

「ひもじいよう…」


「仕方ないでしょう父さん……儂とて食えてません」


「金が無いのは誰のせい……あの犯罪者のせい」


「強いて言うなら騙すために依頼文を出した夫婦のせい?」


「……そしてそれを選んだお前のせい!!」

「ええ!?」


 ズビシっと鎧マスクガールを指差す、反省しろよお前。


「いやでも……あのままでは他の方が餌食になっていたかもしれませんし…善行ではありますよ」


「善行が何だ!徳を積んだら飯が食えるってなら外の世界は善人だらけだよ!!」


「……いかんな、人間腹が減るとイライラするものだよ」


 ちなみにこの中に人間はいない。


「……しかし実際問題どうしたものかね、あの子分達(ゴキブリ)も金が無いし獲物も無いって話したら悪態付きながら出て行っちまったし」


 色とりどりの罵詈雑言を虫ケラに浴びせられる虫ケラはシュールな絵だったよ、誰が虫ケラだこんちくしょう!


「おーい、お前ら客だぞー!ってか何しやがった!?」


 そんなこんなで腐ってたら下から店主のおっさんの声がする、朝っぱらからは看板娘ちゃんの可愛い声が聞きたかったなぁ…


『ほう』


「存分に聞きなさい」


 お前等では無い。



「はーい、今行きます!」


 何がなんだかわからないけど取り敢えず下に行こう、お客さん?知り合いいたっけ?


「……」


 うぉっ…いつもに増して怖い顔してんなおっさん…いったい何があったってんだよ。


「おい…お前等何仕出かした…?」


「まだ何もしていない筈です!何か出来ていたならひもじい思いもしていないので!」


「じゃあ何で領主の私兵が来るんだよ!!」


 ちょっと待てぇい!!


「捕まるような事はして……した…かな」


 押し込み強盗して誘拐して拷問した後衛兵に差し出したね。


『でも事情は説明したよ…?』


 だから不思議なんだよ。


「……取り敢えず出ます」


 じゃ無いと引き摺り出されると思うしね。


 宿の外には中世が部隊の映画で良く見るような馬車にそれを引くのは馬じゃなくて……やけにデカいぶっさいくな豚…?かな。


 何だろうこの…絶妙にムカつく顔をした豚は。


 オークが豚の顔をした巨大な人間型生物だと言うならこれはムカつくおっさんの顔が貼り付いた豚ってところかね。


醜豚(アグリィホグ)だよ…私の村にも居た、あんなに大きく無かったけど…』


 ああ、いつぞやの怒豚(アングリィホグ)か…私こいつに寄生させられるところだったの?前代未聞だぞそんな主人公。


「……コノハ様、ミリア様とお見受けいたします」


 そんな話をしていたら馬車が開いて中から何やら狐っぽい顔した身形の良い人……と言ってもやっぱり酷く痩せているあたり食糧難は上流階級も同じか?


「……こんなところまで脚をお運びいただきまして…領主様…」


 取り敢えず権力には従うのが私流、と言うわけで深く頭を下げようねブレ子。


「いえ領主は来ておりません……この度はお迎えに上がりました」


「領主様がお会いになりたいとおっしゃっております、何卒ご同行の程願いたく…」


「領主が……何用ですか?」


 おいおい、ピリッとすんなよ…権力には従っとけって。


「そう身構え無いでいただきたい、危害を加えるつもりはございません」


 随分と慇懃な口振りだけど……嘘はついちゃいねえな。


 そこそこチート臭いけどお嬢ちゃんのスキル(思考盗聴)様々だな、悪意には特に敏感に気づける。


 ……これ最初にあのおばさんに使えばもっと早かったんじゃない?


『ハリガネさん…聞こえてなかったの?』


 常に頭の中で2人喋ってんだから意識しないでわかるかよ…そもそもゴキブリの声だって常に聞こえ続けてるんだからさ。


 ……ゴキブリ連れてきたの私だな。


「……行こう、お姉さん…?」


 仕方ねえ、そもそも拒否権だってあってないような物っぽいし。


「……わかりました、同行しましょう」


「では、車へどうぞ」


 車内は思ったより広めなんだな、床に敷いてあるのはふわふわな毛皮かと思いきや固め…まあ動物の毛皮ならそんなもんか。


 成金趣味のおっさんとかか床に敷いてそうな虎の毛皮とかさ、あれ絶対寝心地悪いよね。


「…領主の家へは距離があります、何かお飲み物でも」


「儂は結構です」


「わ…私も…」


「……かしこまりました」


〔……折角良い茶葉淹れたのにな…美味しいのに…〕


「やっぱいただきます、お茶ください」


「か、畏まりました…!」


 何か…うん…毒とか疑ってごめんよ。


「どうぞ、我が領土自慢の逸品です」


「ありがとうございます!」


 感謝は元気に!子供の姿だか素直が一番だ!


 そんでこのお茶美味いな……てかこれ…


「緑…茶?」


「リョクチャ?」


「あ、いや…何でも…」


「リョクチャと言うものはわかりませんが…それは翠玉と呼ばれております、深みの中に強い甘みがあるのが特徴です」


 翠玉…いやてか緑茶だよなこれ…


『リョクチャって何?』


 私の昔いた世界のお茶…の種類かな。


『……同じものなの?』


 日本人が慣れ親しんだ味って点で言うなら…ただその中でも凄い美味しい部類だろうけど、玉露ってんだっけな?わからん、こちとら庶民じゃ。


「……凄く美味しい…デス」


「それは何よりでございます、そちら領主自慢の品でして、我が領土の貿易を担っているのですよ」


「……すみません、儂にも1杯」


 あ、ブレ子が耐えられなくなった。


「これは……凄いですね」


「感激の至でございます…失礼ですがコノハ様、ご出身は?」


「ヒノクニです、と言っても…儂はあまり覚えていませんが」


 ヒノクニ…日の国、日本じゃねえか!!


 は?ブレ子お前そうだったの?お父さん何も聞いてないよ!?


 ……まあ聞いてねえしそうか、確信無いだけで察してたし。


 そんで、もう一個気付いたわ。


 ……ふざけていやがるな(・・・・・・・・・)この世界を創った野郎は、どうせどこかで観てるんだろ?


 最初の頃はパニクりながらも一応神の存在なんて馬鹿げた事は言っていた、だがこれはもうそういう事だろ(・・・・・・・)、糞野郎。


 俺を連れてきてプレイヤーってか?それか縛りプレイでもやってるつもりか?


 まあ何にせよ、見てる奴がいて私にこんな事をやらせて楽しんでるなら…本気で顔面に一撃入れてやりたくなったよ…いや、やる(・・)


 人様の命嘗めてんじゃねえぞ。



『さん………ねえ、ハリガネさん!』


 あ?ああ…ごめん何?


『……どうしたの…?凄い…怖いよ?』


 ちょっとね……ただやっと私の行動指標が決まったってとこかな。


 私は、この配られた寄生(カード)で最強になることにしたよ。


 


 必ずたどり着いてぶちのめしてやるよ、だから今は高みの見物決めていやがれ。







[実績を解除]


[スキルポイント獲得]


[■■■■■が超過しました]


[称号『■■■■』を確認]


[注目度が上がりました]

エピローグ、もしくはネクストプロローグ


ぶっちゃけ新章突入

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