音すら置き去りにして
誠心誠意、ぶっ飛ばす。
個人的に良い啖呵切ったと思うんだけどどう思う?
『言うておる場合か…どうするのだ』
んー、どうしようもないけどねぶっちゃけ…?
やらなきゃどうにもならないから殺る選択肢を選んだけど、それが可能かどうかはまた別の話になっちゃうし。
あ、そうだ。
「ハヌ……じゃなくてヴァーユ?うん、ハヌさんのお父さんとやら!!」
「お前取り敢えず後回しにするから大人しくしとけな!中に居たなら私が身内外に何するかは知ってんだろ!」
よし、脅し完了。
『手際の良い脅迫だ……』
「タコ、及び亀やんは全力でクリシュナさんを守りつつ退避、どこまで戦闘の余波が飛ぶかわかんないからね」
〔僕達にどうしろと言うんだぞ?〕
「どうにかしろ」
『アカン、一切話聞く気無い時の旦那はんや……取り敢えずカモフラして逃げましょか』
「歴史上神様相手にこんだけ無茶ぶり言った人も珍しいっすよ……でもありがたく逃げさせていただくっす!」
「……さて……そろそろいいか?」
「どんだけ準備したって負けりゃ世界が滅ぶなら大して変わんないけどね……ハンデが欲しいな」
「あぁ…?情けない事言うんじゃねえよ、男なら腹くくれ」
「だぁから性別はないんだよ私は…」
「……しかしハンデってお前……最終的にゃあ俺を殺さなきゃいけねえのに、今更どんな手加減が欲しいってんだよ」
「最初の一撃を受け止めてくれたらいいよ……何もガードするなとは言わないし」
「おいおいお前そりゃ……初手から全開で行くって宣言してるようなもんじゃねえかよ」
「それだけ自信があるから言ってんのさ……受けろよ、この挑発……神様だろ?」
「はっ、生ぬるい露店の酒より安い挑発しやがる……だが面白ぇ、こいよ」
「ありがとね……んじゃ、ちょっと行ってくる」
そうと決まれば最高速度で離脱だーい!
「に、逃げたァ!?」
「うるせえぞ引きこもり……助走だろ……死にたくねえならお前等もっと離れとけ」
さて……と。
どーやって勝つべさあんなの。
『策があるわけでは無いのだな……いや、責める事も無い、か……そう思える程に強大な相手だ』
それもあるんだけどさ……蛇神戦でぶっちゃけ私達の手の内は明かしちゃってるわけさ……流石にあのクラスの神様相手に真正面からの『砕け散れ、我が宿業』で倒し切れるって程自惚れもできないしね。
「いや違うな……これ私らの気持ちの問題もあるかも知れないね」
『……その心は?』
「あいつに対して食欲、湧かなくない?」
『ふむ……確かに、極上の餌と言うには……』
実際強いし、リソースだってそこらのタコとかに比べりゃ桁違いさ……でも私達、ここ来る前にもっととんでもないリソースを一口だけ齧っちゃったからね……
『……ふむ……』
ああでも今から食いに行くとかそう言うのじゃないよ?て言うかそんな事したら内側から大爆発した上でよくわからない生命体になりそうだし。
『ただの一口でこの変わり様だ、全て平らげるなど到底不可能よ』
そうなのよねー……まあ、取り敢えず一発目は本気でぶちかまそうか。
各種ステータス補正系スキルオン、奇襲は無理だな……ステータス対抗も余裕で負けんだろ、ぶっ飛ばしは……行けるか?いや行けなきゃ質量どうなってんだって話なんだけどね。
あとは……さっき覚えた『絶対空間停止』。
『強制停止命令権』の進化技っぽいけど……空間指定すんのかな?練習の時間もねえや。
「よーし仕上げだね……行くぞグラさん……愛してるぜ」
『クハ……我もだ』
『更に先へ』!!
離れた距離は海上込みで目算3km程度、これ以上は地面を蹴るってアクション自体が判定されなくなりそうだからね。
いやしかし……これでも数歩で着いちゃうだろうけどね。
「さあ行くぞルドラ!!本気の速さだ!」
声を張り上げても空気の層をぶち破る巨大な百足が掻き消しちまう、驕りも、謙遜もない……ただただ、本気で勝つための私達が出せる最大火力!!
「『砕け散れ、我が宿業』!!!」
「ぬっぐ…おぉぉぉおぉ!!」
この質量のタックルに耐えるかよ……やっぱ半端じゃないね神様は……でも、半端じゃないのはこっちも同じさ。
「世界再建なんて誰が認めるかボケがぁぁぁぁ!!!」
「しゃらくせぇ!てめえなんぞに止められてたまっかよ!!」
受け流す気か……!させねえよ馬鹿が!!グラさんの束縛力舐めんなよゴラァ!
噛み砕いてやらぁ!!
「ぬがっ…ってて、いてぇよこの野郎!!」
ぼべっ!?肘打ちしやがったなこいつ…
「はは……神様だって齧り付かれちゃ流石に声が出るかい……なら死んでも離さねえ…!!」
血の味がしねえのは神様だから?必死すぎて味覚が機能してないのかもしれないけどね。
「摩り下ろされろや!!」
『更に先へ』の加速力+瓦礫の卸金じゃ肉のスムージにしてやらぁ!
「ふき……飛べ!」
願わくばそのまま信仰すら届かぬ遠方までぶっ飛んで行け!!お星様になってしまえ!!
「…はぁ……はっ……ま、そんな簡単じゃないわな……」
「いや……結構効いたわ、片腕もげたし……やべえなお前、いる所にはいるもんだ……」
「まあ、駆け出しとはいえ魔王なんでね……本気の私達の底なんて私達にもわかりゃしないよ」
「ああだが……今ので相当消耗したろ?」
まあ正直割とギリギリだよね、残存エネルギーなんぼくらい?
『…2割弱と言ったとこか』
2割も残ったか、私のビビりも抜けないもんだ……まあそれが生存の知恵ですけども。
「運動したから腹減ってきたよ…つまり本調子だ…!」
「俺もそろそろやり返すが……まあ……死ぬんじゃねえぞ……よっ」
っ!!ぶねぇ!
「お、よく避けたな……見えたか?動作まあ割とゆっくり狙ったしな」
あれは……
「……ん?別に珍しくもねえだろこれくらい……どこの文明にも大概あんぞ」
「まあ……俺様が扱うこいつは神の領域……並の射撃じゃ傷一つ付きそうにねえその身体も貫通すんぞ」
おいおい…弓矢かよ……てか…!いつ構えたんだ…あれ。
更新よー!!!
さて皆様、4月でございます。
新学期、就職、新しい仲間、色々な出会いと別れの季節春。
なのにこんなに暑いのは何事だね。
あ、肩パッドも色々あって家族が増えたので引越しとかで来月の更新がやや遅くなるやもしれぬよ、すまねえ。
Q.グラさんのボディはどのくらいの硬さ?
A.お腹は腹筋がカチカチだけど脇腹は若干柔らかいよ。
Q.甲殻の話です。
A.戦車のフロントくらい。
Q.オオムカデグラさんはどのくらいの重さですか?
A.クッッソ重いけど物理法則に則ってないからあんま関係ないかも。
 




