神格変質
「正直何が何だかわからんし、余程の理由あっての事だとは思うんだ」
「だからわけを聞いてやりたい気持ちはあるが、お前私の娘達も巻き込むの前提で他の神様吐いたんだよな?」
「じゃあとりあえず……どんなわけがあっても一発ぶん殴るから歯食いしばっとけ」
「隠れてなクリシュナさん!」
「もう既に!」
『加速LV.10』×3。
「砕けろや…!」
「くっ…」
急加速からのドンピシャ振り抜き、と見せかけてのー……
「『魔王の吐瀉LV.10』」
「ぐっ…あぁぁぁぁ!!?」
地面の大理石すらグズグズにする超高温、高濃度の酸だ、効くだろう?この戦法すげえ強いわ。
「……でも大理石って酸とか熱で溶けたっけ?あれこれ私何吐いたの?」
『知らん、戦いに集中しろ汝』
あ、すんません。
「おら立てや、今ので終わりってこた無いだろう?」
「ぐぅ…っ…ぁあ…!…ぎぃあぁぁぁ!?」
うわ、背中の骨見えてる、エグ。
「お前再生力結構あるのな、蛇だから?でもそれ治った肉がどんどん酸を体内にめり込ませちゃうから辛いだろ」
「……さて、話しようか…ああ顔は上げんなよ?その高さが私とお前との今この場での身分差だ」
「はぁ…はぐ…う…あぁぁぁぁ!!」
おー、おー頑張るね…背中の皮を肉ごと削いで酸を除去したか……まあ気休めだろうけど。
「……流石…だな……身内外と認めた者に対しての異常なまでの残酷さ……魔王の伴侶に相応しい……」
「そう褒めるな、私はグラさんの想いを汲み取って行動してるだけさ」
『…!?』
違った?
「……たったの一撃で地をのたうったのは初めてだ……だが…!」
「譲れぬ物があるのは余も同…」
『絶対停止命令権Lv10<extend4>』。
「わからん奴だな君も、顔上げんなって言ったばっかでしょうが」
下顎没収の刑……としたいところだけど喋れないと困るな、膝から下で勘弁してやろうね。
「っがぁぁぁぁ!!?」
「いくら治るって言っても痛いんじゃね、格上相手じゃ辛いだけだろう」
「……話す気になった?」
「……なあバスキン…ヴァースキ?何でもいいや……私君のことこれでも少しは信用しようと思ってたんだよ?」
「…………」
「何か言えよ」
おっと、軽く蹴っ飛ばすつもりだったのに吹き飛ばしてしまった…デカいと不便なこともあるもんだね。
「……は…はは……はははは!!」
「狂った?早くね?」
アブドゥルだってもうちょい耐えるぞ。
「…………」
あ?何だ顔付きが……いや体型も?
……誰だこいつ
「……お前…イカれてんなぁ……よくもまあ無抵抗の善人相手にこんだけの所業を……」
「そこそこ抵抗してなかった?私が圧倒的なだけで……てかお前誰だ?バスキン君と話してた気がしたけど……」
「……■■■、■■■……あー、くそ……ジジイ共の呪いがしつこくてしょうがねえ……忌々しい」
そうか、お前が……
「初めまして……でいいのかな?暴風神ルドラ」
「ずっと見ちゃあいたがな……初めましてハリガネさん、不敬なる者よ」
「……まあ座れよ、話が聞きてえんだろ……全部種明かししてやる」
じゃあ失礼して……座…座る…?どのように…私今下半身ムカデだけど。
「……とぐろ巻いてみました、座ってることになるかな」
「いいんじゃねえか?」
「は、ハリガネさん……?誰と…いや何と話してるんすか…?」
「……まって、見えてない感じ?」
「仕方ねえよ、そもそもがこの国の奴らには認識できねえようにされてる……うわこいつあの引きこもりか」
「また同じ認識……クリシュナさんって引きこもりの神様なの?」
「誰がだ!!ちゃんと調和の神っすけど!?」
「……まあいいや、私達が探し求めていた……いやそもそも探してたっけ?例の神様さ」
「……あ、貴方が……【■■■ ■■■】」
「……調和の神でも駄目か……はぁ…………ああぁぁぁ!!クソが!!何で…何っでだっ!!」
「……はぁ……これだよハリガネさん……俺様は、数多の神から認められ、崇められ、生き様こそ素晴らしいと称えられた暴風の神……なのにだ」
「……全部、君と統合しかけたことで君を封印する道を選んだ【破壊神】に対する仕返し……なのかい?」
「……何もわかっちゃいねえな、いいか……まず最初に……俺と統合しかけたのは破壊神、ここまではいいが」
「破壊神は、それを受け入れようとしていた」
……友達だったんだっけか。
「……でもな、破壊神と風の神の存在じゃ秤に掛けるまでもなく、要らねえのは俺様なんだよ」
「と、俺は考えていたが……そこを付け込まれたわけだ、彼奴らに」
ああ、寄生虫か。
「恐れ入ったよ、仮にもここ一帯の神界じゃ喧嘩最強も名高い俺様の身体にあんな簡単に取り付いて……あんな簡単に操っちまうとはな」
「……私より相当な格上だろうね」
「はっ、案外そんなこともねえかも知れんよ……実際、お前から感じる異様な圧は俺に取り付いた奴以上だ」
「リップサービスとして受け取るよ……まて、その口振りだと……君もう寄生虫に取り付かれてないのかい?」
「……いや?死にかけてるだけでまだ中にゃいる……殆ど何にもできやしねえけどな」
「まあ結局何が起こったかと言うとだ、寄生虫に取りつかれた俺は……どうにかして除去しないと恐らくこの国を滅ぼしちまうと思い立って……どういう訳か先代【維持亀】に知恵を借りに行った」
「……それ、多分」
「全部蟲が俺に命令して、そうするようにしてたんだろうな……そもそもが知恵を借りるのにあんな長く生きてるだけのどっから来たかもわからん亀に聞きに行く理由も今となってはわからねえからなぁ」
「……どのタイミングがわかりゃしねえが、俺の中の蟲はアクパーラに卵を植え付け、増殖……1度目の事件が起こった」
「んでそっからだ……俺と破壊神との統合は進むにつれ、良かったこととして……俺の体内の虫は力を失って行った」
「いやまあ……厳密に言やぁ俺様の身体がより破壊神に近くなるにつれて寄生を保てなくなったってところだろうけどな」
「あー、自分より強い奴には基本取り付けないんだよね、受け入れてもらえば別だけど」
「……そのお陰で俺はある程度自由が効くようになったんでな、アイツに会いに行こうとして……」
「……それを面白く思わない神に止められたんだよな」
「……理由は?」
「知らね、まま凡そ政治事だろ」
あー……うん、やっぱりそうなってきちゃうよねこれ。
ざっくり思ってたけど、これ陰謀的な事やったのは蟲より神様連中だな?
「……その神様って私も知ってる人だったりする?」
「……知ってるかは知らねえよ、大勢居たからな…だが裏で絵を描いてた奴が……【風神 ヴァーユ】ってジジイが筆頭だったのは覚えてる」
……誰だっけ?
『……あの猿娘の父親であろう?』
ああハヌさんの。
「……そこなの!?」
「そんなに驚くことか?逆に誰なら納得なんだよ」
「クリシュナさんの本家とかもっと上の……創造神様的な方とか」
「あの辺は半分人格すらないシステムだからな……野心も無けりゃことが起こるまでは対策も打たねえよ」
そりゃどういう……お?
突然窓をぶち抜いて現れる人影……可愛い尻尾にキリッとした顔立ち、凹凸は無いが腰のラインが見事なボディ、まあハヌさんだ。
参ったな、このタイミングじゃ拗れそうだ。
モンハンが来るぞ!準備はいいか!!
Q.ハヌさんの尻尾って猿系なの?
A.オマキザル系、ハリガネさんが1回鷲掴みにしてエグ目のソバットを顔に食らった。
Q.けむりんを吸いたい。
A.あれ人喰いバクテリアの集合体みたいなもんだぞ。
Q .体の操作してるのがグラさんの時って基本無表情なん?
A.グラさんはポーカーフェイスだと思ってるけどハリガネパーティの皆は割と表情から察せるくらいには顔に出る。
ハリガネさんが操作してる時は表情管理がわざとらしい。




