何故やるのか
すげえなこの身体……走るってよりかもう半分飛んでるレベルの速度が少し流す程度の労力で出せる。
さすがグラさん、ナイス健脚。
『当然よ……』
て言うか海辺からもう宮殿着いちゃうじゃん、このまま体当たりでいいかな?
「こ、ここはひとまず穏便に行くべきじゃ無いっすかね!?一応あの建物は歴史的な価値もありますし!」
〔やっちまえだぞ、どの道神達が暴れてるなら時間の問題だぞ〕
「クールマ君!?」
了解、総員対ショック姿勢用…あ駄目だわもう着いた。
「のごぅっ!?」
……はは、瓦礫に潰されようがビクともしねえや。
「生きてるかい皆の衆……うん、無事だな?」
「無事とは……チラッと今まで神生が見えたんすけど……」
ナイス走馬灯、神にもその概念あるんだね。
「こ、この野郎っ…!」
……うーん、あちこちで戦ってる気配はあるが……強い気配がいくつかあって、他は次々に消滅していってね。
「貴様……この一大事に何者だ!」
「やあナーガくん、王様は御在宅かな?答えなくていいや勝手に探すから」
「に、逃げてくださいっす!!と言うか僕らに構ってる暇があるなら早く国民の避難を!!」
「この…痴れ者がぁ!」
「あー……殺しちゃ駄目なの面倒だな……タコさん頼んだ」
〔応っ!!〕
向かってくる相手に合わせて、タコ足に変えた刀身で顎、こめかみ、喉、鳩尾を的確にぶっ叩くとはなかなか……これはボクシングで世界狙えるパンチしてるね。
てか……生きてるかこれ。
「守るべき民がっ!……いや僕とて殺しに向かってくる相手を絶対殺すなとは言わないっすけどね……できれば……できれば……」
「まあ最悪私は構わないけど……毎度彼は可哀想な目に遭ってる気がするな、一応この国ではかなり強い兵士な筈なのに」
〔ふっ…儂のパンチは天下一や……あすんません盛りました、せいぜいが町内一ですわ〕
そうだね、謙虚な姿勢が大切だよ、特に魔王の前ではね。
〔……儂頑張っとるよな?〕
〔うーん、そう言う部分で小物感出ちゃってるんだぞ〕
さて……すっごく強そうな気配が点々といるが……なんと言うか負けそうには無いな。
今のサイズじゃとても廊下を歩くことはできなそうだし、仕方ない屋根を伝うかねっ!?
……踏み抜いてしまった、やっぱ重量が増す分扱いづらさは出るね。
『……仕方ないでは無いか』
いやぁ、デカくて強いは男の子の夢だよ……私が男かは定かではないけれども。
っ!!ヤバい気配!!
「あっぶねえなおい……人様に急に神様のパーツを投げちゃいけないって習わなかったのかい?てか誰の腕これ」
要らないなら食べちゃうぞ?
「……あ…あぁ…あの方は…!」
「インドラ様…!」
うわービックネーム……クッソ強いってことくらいしか知らないけどね。
「初めまして、私はハリガネさん……あー…会話はできるかい?」
「……」
金色の髪に金色の鎧、それにバチバチ光る身体は雷属性かな?……見る限りあの時戦ったデンキウナギよりかは強そうだが。
「……」
「……会話は無理かな?」
後ろ……っ速!?
「がわばっ!?あ……がっ……ごふっ……」
いっっってぇなあ…!!
「げほ………挨拶も無しに…人の腹に雷撃はねえだろ……くっそ懐かしいなこの脈拍に合わせて身体が千切れそうな痛み……」
電気系はいくらグラさんボディで守られてても本体が削られるから嫌いだよ……あー、視界の上側がチカチカ光りやがる。
まあ前に食らったことあるからある程度は耐えられるし、痺れながらゆっくり攻撃できたんだけどね。
「……『強制停止命令権LV.10』……動けないでしょ、この姿になってから多分威力も効果時間も増してるからね……会話できるなら穏便に済ませたいし、できないならそれはそれでも構わないからせめて返事くらいはして欲しいな?」
「あとそれ……取り敢えずお返しね」
『強制停止命令権』で空中に止まった瓦礫に強く押し出すような衝撃を何重にも叩き付けた、近距離限定グラさん式散弾銃さ、砕け散れや。
あー…身体痛ぇ……てかクリシュナさん大丈夫?生きてる?
「ぼ、僕は大丈夫…っすけど…ポリプシオンさんが…」
〔ゴフゥ……バッチバチに痺れたがな……アカン、もう儂はここまでかも知れへん……〕
「そうか……ご苦労だったね、短い間でも共に戦えたことを誇りに思うよ」
〔いやいや早い早い早いねん、もうちょい惜しめ、抗ってくれや儂の死に〕
「いやそもそも既に刀になってる君がどう死ぬのかはちょっと気になるところだったから……て言うかとても死にそうには見えなかったし」
〔薄情なやっちゃなコイツ……でもちょっとホンマに…今の攻撃何回も防ぐんは無理やで、タコ足で防いだもんやから2本黒焦げになってもうた〕
「君の頑丈さは身に染みてわかってるからね……まいいや、ちょっと休んでな……そっちはもう立つか」
てか無傷?グラさんボディとてあれ食らったら相当効くだろ。
想像より硬いな、スピードタイプは貧弱って相場が決まってるのに。
「……貴殿、先の攻撃見事である……名を聞こうか」
「今代の暴食王グラトニカ様……の身体を借りてる伴侶のハリガネさんです、よろしく」
「……ここは…?いや我は……そうか……」
「…ハリガネさんとやら、状況は火急を要する故手短に話す、我等が呼び出されたのは目的の途中でしかない、いち早くこの騒動の元凶を」
「あ、大丈夫それはもうそのつもりだから」
「……」
なんか不機嫌そうな顔になっちゃった。
「偉い人って自分の会話遮られるの嫌いっすから…」
「……すまぬが協力はできぬようだ、元より器が無い身で無理を押して顕現したのでな……」
んー、鹿神様の使ってた技で出てきた神様達みたいなもんか……いやというかけむりん無しで無理に神を吐いたから魂だけって感じだ。
「また会おう、その内に貴殿とは全力の勝負を楽しみたいものだ」
「ふふ……心よりお断りします」
「…………え」
あ、消えた。
「ちょっ、最後すっごい悲しそうな顔してませんでした!?」
「いや実際あんなのと戦いたくないでしょ……それにああいう手合いはリップサービスが通用しないからね、もし再会したらマジバトルになりかねんぞ」
負けるつもりはないがとても戦いたくは無いよね。
「しかし……ここまで私達…いやこの国を裏切り続けたのに何を焦ったんだあの蛇は……?」
ぶっちゃけけむりんを利用した方が遥かに……いや計画その物の着地点がわからないから今考えても仕方ないな、破壊神を起こす気なら勝ち目がないし。
あれ……てかシャルヴって今誰と居るんだろう、流石にレプンカムイ辺りが目を離すことは無いとは思うけども。
「……いや待てよ、神が消えたのは理解出来るが…この国に住んでた神の死体……純粋で膨大なリソースは確か……亀やん?」
〔うん、まあ…あれだぞ〕
やっぱ私が1口齧ったあれだよね?
〔うん、あれ持ち帰らなくて本当に良かったぞ?あんなもんがここにあったらこんな規模じゃ済まなかったぞ多分〕
さて……敵地に乗り込んだが未だ蛇野郎から接触が無い……よし1回整理するか。
私達の帰宅を待たず…もしくは帰り初めた段階くらいで何かに気づいて切腹?そこの因果関係がわからんが……そもそも何故不完全な状態で神を……?
私らと戦う為の戦力……いやそんなん分散させないで振るった方がよっぽど脅威的だ、なら……
この国で一番最初に寄生されたのは…亀やんの言う通りなら暴風神ルドラ、そしてそれは神様達がこぞって隠さないといけない存在、破壊神が居なくなっちゃう可能性があるからね。
だとして蛇は……待てよ?
「クリシュナさんさ、あの蛇が自分の正体明かしたタイミングで、本人じゃないって気付いてた的な発言してたっけ?」
「え……あ、そう言えば…いやでも本当に何となく本人じゃないような気がしただけで、本人が先に答えちゃったんで……」
「ふむ……考えろハリガネさん、今こそひらめけ私の頭脳……」
まあ、どうやったとかその辺はどうにでもなっちゃうからね、問題は何でやったかだ。
何か大きな事をやる時には大きな理由が……いや面白かったからとかでもやるか。
とはいえ結局のところ神であっても人間みたいな人格がある以上は好きか嫌いの二進法さ、起こった事に意味が生じてる事が大半ってわけ。
まあ大凡、最初私等が攻め込んだ時点で勝ち目はあるが、何らかの被害は確実に受けると踏んで協力する形を取った、しかしながら真実を知られると私等が好ましくない動きをする可能性がある。
だから裏切った?まだ弱いね。
ここでけむりんだ、さっきの雷おじ様が言ってたとおり、神が顕現するには蛇が吐くだけでなく器なりえる存在が必要……そしてその器を作り出せるのが我らがスーパーメイドと。
憶測だらけだな、まあだとしても私達が今やるべきことは血相変えてけむりんを助けに行くことかい?
違うね。
さっさと蛇野郎を締め上げて、ケリをつけることさ。
「そんなわけだ……なあ蛇、そろそろネタばらししたらどうだね……どの道決着は着くんだろう?」
「……完全に不意打ちを仕掛けるつもりだったのだが」
ああ、本当にいた…
「卑怯者のする事くらい手に取るようにわかるよ……私がその最たる者と言う自負がある」
「……流石だな」
心做しか痩せたな、無理なダイエットでもしたかい?
「暴食王が伴侶ハリガネさん……我が身は矮小な虫ケラなれど、王の身をもって相手をしよう」
「推して参る……ってね」
遅くなってもうたー!
新年1発目です今年もよろしく!!こっちは身内の不幸やらインフルやらでボコボコでしたわよ!!
皆も気を付けてなー!!




