覇道
舐めやがって。
いかんね、冷静じゃない。
『……ああ、お世辞にも冷静とは程遠いであろうな』
だよなぁ……私でもそれはわかる……とは言えだ……
「ここでブチ切れて彼奴を殺すのも何だか誰かの手の平の上って気がするな、ぶっちゃけ亀神様の話だって鵜呑みにするには疑問が多いし？」
いくら情報をくれたところで私サイドじゃそれを証明する手立てがないからね。
〔む……痛いところを突くんだぞ、確かに僕がクールマである事も君達に現時点で証明はできないんだぞ〕
「ぶっちゃけさー、この国来てから嘘やら何やらでもうお腹いっぱいなんだよね…」
「……あれもこれも守ろうとすると次から次へと守る物が増えやがる、困ったものさ」
「……本当、神様いい加減にしろよ」
〔……ま、怒りももっともだぞハリガネさん…〕
あれま、自分でも言い過ぎてると思ったのに。
〔民を救うため、国を守るためと言いながら……やってることは自分可愛さや自己満足……守るべき民なんざどうせ生き返るんだからって使い捨てもいいとこだぞ〕
〔……この国、維持すべきか？〕
「ちょ、クールマ君まで！？そんな事言ったら駄目っすよ！」
〔流石に……産まれてきてから貧乏クジだけで、神様の悪い面しか見て来ないとこうも思うぞ〕
「……クールマ、私達と来るかい？」
〔ああ……て言うかそれが目的だったろ？答えは変わらず、やってやるだぞ〕
「ありがとう……で、どうする？本体が来てくれるのかい？」
〔うーむ、全てを破壊する盤外戦術とは恐れ入るぞ……でもそれはノーだぞ、と言うか……僕の体は半分くらい地盤にめり込んでるからね、物理的にも難しいぞ〕
まあそうだよね、と言うかターハル全てがこいつの背中に乗ってるって考えると着いてくると言うより常に居たと言うか……まあいいや。
〔……その剣、多分先代様の身体で作ったろ？その中にお邪魔させてもらうぞ〕
「え、そんな事できんの？既に1人住んでるよこれ」
同居人はどこ弁かわからないけど多分関西圏のおじさんだよ？
『アカンアカン！て言うか儂のこと話さんといてや！』
〔気付いてたぞ？君が愚かにも僕に挑もうとしてた事も〕
『いやいやちゃいますやん？若気の至りってかなんちゅうか……』
お前ループ回数的に結構な歳だろ。
「まあ可能なら頼むよ、タコさんの自我は消えたりしないよね？そんなんでも大切な家族だ」
〔勿論、僕全てを連れていく訳じゃないから心配ないぞ〕
『自分……儂の事そんなん思ってくれてたん…？めっちゃ良い奴やんけ…』
「いやまあ、お前が前回の祭で最後までブレ子やシャルヴと戦ってくれた事や、今回着いてくる選択肢を取ってくれた事も忘れてないし、1度喧嘩したら友達でいいでしょ？」
「やってやろうぜ兄弟、お前がいれば心強いさ」
『おぉん……アカン泣きそう…』
〔つっよ…何なんだぞそのカリスマ、僕にはやるなよ？この国が滅ぶぞ〕
「今のは自覚してやったけど普段はよく分からずやってるから約束はできないね」
〔……嫁さん、大変だぞ〕
『全くだ』
「困っちゃうよね」
「何故に他人事なんすか……」
まあ最終的にこの姿で引っ掛けた方々は全部グラさんの配下に下るからね、魔王としてはやっぱ配下いっぱい欲しいじゃない？
『体のいい事を……汝以外の伴侶など要らぬぞ、その辺は弁えて誑せ』
〔倫理観とか無いんだぞ？〕
あってたまるか、寄生虫だぞ私は。
〔うーん……そうかぁ…？〕
『何はともあれ…さっさと戻ろうか、全滅してないといいけど』
『……娘達はそう心配する程弱くは無い…沖の神もいるならば尚更であろう』
うんにゃ、私が心配してんのはそっちじゃなくて……シャルヴやハヌさんみたいな神の依代の方々の方よ…ハヌさんはグラさんのバフがあるからそれなりだけど……
シャルヴにおいては今回早々に治療しただけで特に鍛えちゃいないからね、マジであの蛇野郎が敵なら最悪死んでてもおかしくは無い。
「……て言ってもシャルヴ死んでたらその時点で実質ゲームオーバーだし考えるだけ無駄だね」
「楽観的なのか悲観的なのかわかんないこと言うっすね…」
実際こっから来た道まっすぐ戻ってもそこそこに時間かかっちゃうし……あのロボ達が邪魔してこない保証も無い…真面目に考える方が馬鹿さ、私達が地上に着くまでにことが起こってるなら……最悪も予想できる。
〔そう……だな…うん…〕
〔君、先代様のリソース……齧っちまえばいいぞ〕
〔全部食ったら多分死ぬけど、曲がりなりにも魔王の器……1口くらいなら耐えるぞ、多分な〕
うーんハイリスク。
「強化イベント足るもの多少のリスクはつきものとはいえワンチャン爆発は看過できなくない？」
〔でも時間無いんだぞ？〕
「賭けるのが私の命単品なら迷いなくやるんだけどね……嫁どころかこの場の全員オールベットはちょっと……」
「まあ…死にますよね、僕らも」
「帰る手段が無くなりますもの、ですが旦那様との心中であれば望むところでございます」
「でも船に卵産んであるから私は無事だよ？」
「ええ、実の所私も時間さえかければ問題なく地上までは戻れますね」
「待ってくださいそれ僕だけ時間かけて死ぬっす！」
はっはっは、タコさんもだよ。
「笑い事じゃねえ！？」
「そんなわけだし、ここは1つ安全策をば…」
『ふむ汝……』
『何時以下なる時であろうともリスクを減らす汝の姿勢は嫌いでは無いが……だがそれは魔王の歩みにあらず』
『何よりも我は腹が減っておるのだ、馳走があるならば疾く用意せよ』
魔王がこういう暴走気味な選択をした時に、止められるのが良い知将かい？
『ぬかせ、魔王の歩に暴走などあるものか、我が歩む場に道ができるのだ』
……本当に危ないかもしれないんだよ？
『だが…嫌いじゃない、であろう？』
〔おいそこ、イチャついてないで食うなら食っちまっえってんだぞ、マジで〕
「だってさあ！！……いや実際手は無いが…」
うーん……よし。
「けむりん、全リソース使ってクリシュナさんを守って、私はいいから」
「何をなさるので？」
「……パンクする前に使い切るつもりで全部ぶち抜いて地上まで突き抜ける、それが多分最適解だ」
「あとグラさんの身体がパンクしそうになったら過剰分はけむりんがガンガン喰ってくれ、君なら多分耐えられる」
「食べ放題でございますね……うふふ」
「グラさん……ちょっと踏ん張ってね」
『ああ』
んっぐおぉぉ……ちょっと昔のグラさんモード……連続使用はやっぱキッツイな……そんでこれを食べたら次はどんな姿になっちゃうんだ？
まあいいか……ふう……よし、いただきますアクパーラ、必ず国は救ってみせるから……
力、貰うよ。
……ガブっとな。
そろそろ拡張解析も更新したいですねドスコイ。
Q.ハリガネさんファミリーの下着事情が気になります。
A.世の中には気にしない方がいいこともあります。
Q.ミリアちゃんの好みのタイプはどんな人ですか？
A.「私云々より多分ハリガネさんに勝てないと無理だよ」
Q.ブレ子ってハリガネさん基準だとわりとデカくね？
A.そもそも頭蓋内に収まるサイズまで自分を圧縮してるしね。
