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こんにちは、未来の君

「クーリシューナさーん!!」


「おわぁぁ!?無事だったっすか!よかった!」


「三途の川の二合目辺りまで行ったけど何とかね、そっちは?鼻血出てるけど大丈夫?」


「アンタのせいだよ!!……いやそれはいいすけど……僕等だけで進んでたら急に壁が……削って壊すにはけむりんさんの力も心許ないようでして…」


「……どうしたけむりん、えらく消耗してるじゃない」


「申し訳ございません旦那様……この空間、一見何も見えませんが私の(リソース)が吸い取られるようでして…」


「んー……あれかね、瑠魂晶(リソース・クリスタル)とか言う代物の影響?」


「うぅ……不甲斐ない…」


 グラさん?サービスしとく?


『許す、その者が居らねば貴様の命に関わるのでな』


「じゃあけむりんバンザイして?」


「…こうでございますか?」


「ん」


 ほれ、グラさんボディとハリガネさんによるハグだぞ、堪能しろ。


「……」


「満足したかい?充分回復したら先進むよ」


「……」


「けむりん?」



「…………し、死んでるっす」



「え!?嘘でしょ今ので!? 」


「冗談す……けど召されてはいそうすね」


 うちのメイドあんだけアグレッシブな変態なのに耐性はカスだな。


「っは!……ここは…私とご主人様の暖かい家庭は…」


「幻覚だよ多分、さっさと行くぞ」


「ええ……未だかつてなく力が湧いております…」


「楽でいいね君……」


「と言いますか……何でしょう、何か美味なリソースを奥様の体表から摂取できたというか…」


「……あ、さっきやたら強い虫潰したわ、それだ」


「……純粋な奥様と旦那様のリソースだけでパワーアップしておきたいところでしたが…」


 わがまま言うな。


「んじゃとっととぶち抜くか……『加速LV.10』」



 あ、そうだ…さっきの戦いで何となく震脚がしっくり来たからやってみよう。


 助走つけてダッシュからの、脚が埋まる程の震脚、当然前方向への勢いは消えずに体がつんのめる……その勢いで腰を捻って殴る!!




 轟音、爆風…そして膝と腰折れた。


『汝……』


 いや……普通に戦いの中で成長したグラさんパンチを見せたかっただけなんだけど……ごめんよ。



『すぐに治るとはいえ……もう少し調整せねば使えぬぞこんな技…』


 仰る通りで……膝関節が幼児に渡したソフビ人形みたいになってしまった……



「ともあれ砕けはしたか……おー?」


 目の前に広がるのは緑に青を混ぜたような宝石みたいな甲羅を持つ……無数の亀。



「……わぁお…どうすっかなさっきの戦闘の傷もあと引いてんだぞ…」


「ふむ……旦那様、ここを上手く切り抜けられたら……もう一度先程のをおねだりしても宜しいですか?」


「この状況で何言ってんだお前……グラさんに聞きな」


『え…………まあ……構わん』


 結構悩んだね?



「っしゃあ!!見ていてくださいませ奥様!旦那様ぁぁ!」


 テンション高っ!?


奥様(・・)との戦いで得た私の可能性……旦那様(・・・)との戦いで得た確信……何にでもなれる(・・・・・・・)私だけの、貌の無い技(・・・・・)



 黒い霧……となると変身か……?いやでもこの規模(・・・・)は…。


「もっともっと……私で満ちて……混ざりましょう…」


 こいつ…頭の中に直接……まあ別に私達からしたら珍しくもないが。




「…………弱点は(・・・)……ここ?(・・・)かしら?」





「ほう……うむ、あっ晴れ……でもどうやったの?」


 この数の生き物……いや生き物か怪しいけど、外傷も何もなく瞬殺とは……グラさんでも厳しそうだね。


『破壊や捕食であれば造作もないが?』


 張り合うな。



「凄いねこれ、どうやったの?」


「リソースを相手の体内に流し込んで弱点を探り、1点にのみ攻撃を行いました…今はまだ消費も激しい上に雑兵を狩るので精一杯ですが」


「素晴らしい、よくやった…………後でご褒美はくれてやるからもう一踏ん張り頼むよ」



「……さて、聞こえているかな?いなくてもいいけど……」



降伏(・・)しなさい、私達の機嫌が良くて、まだクリシュナさんに気を使う余裕がある間に」



「…………敵の増援は無し…か」



 とは言え一掃出来たとも考えにくいが……まあどうやらここがゴールみたいだ。




 強固な岩盤まで置いて、大勢の兵隊に守らせていた場所……そこにあった(・・・)のは結晶を纏った……いや、身体が所々結晶になってる、巨大な亀。





「……アクパーラー君……君に……いったい、何があったんすか……?」




「……」


 ……少しそっとしておこうか、頼みの綱があれじゃどの道手詰まりだし。


『……ふむ……この結晶…純粋なリソースの塊の様に見えるな』


 瑠魂晶…?でも……いやわからん実際に見たのは2度目だし……こうなるものなの…?


「基本的には球体である、と言うのが定説でございますが……生き物の形を遺すなど…」


 君ら2人にわからないとなるとお手上げなんだよね……



 『拡張解析LV.10』。



[レミニセンス【旧世界より遥遠き君へ】を再生します]


 レミニセンス…?なんだ…?


「……おや、この声は」


「アクパーラ君……っすか?」


[こんにちは、私を見つけてくれた人へ]


[君は私を知っていてここに来たのかな?だとすれば……すまない、私はもう君の力にはなれないだろう]


[私の身体は……この国の記録を保存し、破滅的な結末を引き起こさないようにするためにある…そういうシステムだ]


 ……おい…待て…何言ってんだ。


[改竄ができる訳では無いからね、何度やり直しても結局は自分の力じゃ何も変えられない……変えてくれる誰かを待つしかできない]


 それは……違うだろ…?



[そんな、しがない情報集積装置だ]


[……はは、何言ってるかわからないよね……]


 違う……わかる。


 でも、違うだろ(・・・・)…!?


『汝…どうした?』


「旦那様…?」


「ハリガネさん……これ、聞き取れてる(・・・・・・)んすか…?」


 認知の違い……転生者()にだけ聞き取れる会話…



[……いつか私の言葉を理解出来る誰かが来ることを信じる……なんてのは性にあわないが、あえて言葉を残そう]


 


[この世界は初めからギリギリだったんだよ、それをとことん壊したい存在(・・・・・・)がいる]


[……()は、もう既に入り込んでいる]


[この国だけじゃない、もっと大規模な品定め(・・・)が来る]


[7つの罪を体現する王も]


[古の神々も]


[龍も、悪魔も、世界中の実力者達も、誰1人逃れられない]


[この世界は、もうじき私達のものでは無くなってしまうだろう]


 アクパーラは、この国の神な筈じゃ…?


 なら、その話ができるお前は……?


[さあ、時間が無いよ……]


[旧世界より、愛を込めて]



[再生終了]




「…は…はは………マジかよ……」

お久しぶりんす。


Q.グラさんのお母さんは亡くなっているの?


A.ギリギリです。


Q.嫉妬王ってどうなってるん?


A.ギリギリ駄目です。


Q.傲慢王は?


A.頭が駄目です。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 距離としての「二合目」って登山の道程を表す言葉だから三途の川で使うのは伝わるけど違和感あった [一言] 暴食王、嫉妬王、傲慢王の三段落ち笑いました 暴食王、嫉妬王がギリギリとギリギリ…
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