アンブレイカブル
【鈍色不壊】フルメタルジャケットか、まあ大層なお名前です事。
弾頭の名前だっけ?まあ見た目は総金属装甲の名前のまんまだね。
尋常じゃない硬さの身体……これ良く見たら鱗って言うよりは鉄……かはわからないけど何かしらの金属みたいだな。
「……酸なら効くか…いや当たらないよなぁ…」
この異様な物理的速さ、そして反応速度……少し前のグラさんでスピード負けするとはまさか思わなんだ。
……いや、直線勝負ならユニーク使えば私達のが速いよ?でも……こうも曲線軌道で跳ね回られちゃ捉えようにも…ねえ?
『所詮は羽虫よ、追い詰めて磨り潰してやるがよい』
「簡単に言ってくれるじゃない…なら…せぁ!」
ふっふっふ、驚いたかいフルメタ君……グラさんパワーならただの踏み込みでもこのとおり、砕けた地面が宙を舞う震脚さ。
……グラさんの体重は決して重くないからね、私に人間の身体があればお姫様抱っこ余裕さ。
『汝…?』
違うんですよ魔王様…
「って……躊躇無く突っ込んでくるかいそうかい…想定内だ馬鹿め!」
まああの速度で動き回る奴なら勿論跳ね上げた瓦礫くらい造作もなく避けるだろうさ……なら。
「そらそらそらぁ!全部避け切れるか試してみなぶふべぇ!?」
……どんな目してんだよ、グラさんの脚力で蹴り飛ばした礫だぞ?
空中旋回で回避してからそのまま威力を乗せてドロップキック…トリッキーさが野生生物のそれじゃないね。
至近距離のショットガンでも避け切れるレベルってこと?SWATが裸足で逃げ出すわそんな奴。
こいつの速さ……見た目こそ大型のネコ科みたいな骨格だけど、スピードの質としてはむしろ虫に近い感じがするね、トンボとか?
空中で高速移動、急停止、ホバリング、後退……うーむ厄介……と言うかどんな原理で飛んでると言うのだこいつは。
いや本当、速いだけならともかく空中で止まったりバックするのは何なんだろうねいったい…空気の層を蹴って跳ねてるとでも言うのかい?
「いや…流石に迷宮主ってわけか、舐めてかかれる相手ではないと」
『ふむ……』
スピード云々は置いといてもこの挙動の理由はわからないが……妙だな、あれだけの速度なのにさっきから畳み掛けては来ない。
……ターン制バトルとか意識してくれてんのかな…?
ともかくこのまま防戦一方じゃジリ貧だよ……何だかいつもそんな気もするけど。
……グラさんや、ちょっと痛いの我慢出来る?
『……汝の居る場所は避けよ』
位置関係がなぁ…どうにかするしかないか。
「まあいいや、グラさん……歯ぁ食いしばろうか」
「『更に先へ』!からの…『加速LV.10』!」
「超加速からの攻撃なら私達だって得意だってんだよ!」
大振り且つ大雑把、しかし一撃の破壊力は絶大……どうこれ、まさに暴食王の進撃と言えるんじゃないかな?
まあ避けられたしカウンターされてんだけど。
『当たって居らぬどころか、それで逆に一撃浴びせられていてはまだまだであろう…』
「言えてる……でも捕まえたぞこんにゃろう…ゴフッ…あー……」
また土手っ腹にトンネル空いちゃったな…『更に先へ』使ってる以上死んでなきゃ無傷と変わらないとこあるけども。
「お前……私等の敵意とか攻撃の意思に反応して攻撃してきてるよな…?」
「ドデカイ攻撃にはドデカイカウンターを……逆に変身や、ただ普通に突っ立ってるだけじゃ自分からは手を出さない…」
「……現に今貫通した腕を抜こうともしやがらないのはそう言うわけ…だろう?」
てな具合に行動パターンも看破したんで、御身に傷付けちゃった事は放免でいいかな?私もギリギリ……カスったけど生きちゃいるし。
「……さてと…この手はぜ〜ったい離さない……その上で、ゆっくり溜めさせてもらうよ」
1歩、2歩、3歩……どんなに力込めても当たらないんじゃ意味無いからね、一撃で粉砕できるくらい……ゆっくり…散歩しようか。
「暴れるなよ、魔王様と手繋ぎデートだぜ?私だってしたことないんだぞこの野郎」
体内デートはした。
「うっし……砕け散れ……『無双腕・百LV.10<EXTEND>』片手バージョン!」
……つまり『無双腕・五十』?まあいいや。
一撃一撃が神様や化け物蛸をひしゃげさせるパンチだ、跡形も残らないくらい叩き込んでやるさ。
「っしゃあ!!吹き飛びな!」
フィニッシュブローは肘ブレードの振り抜きさ、いやすげえ威力だなこれ。
「っはー……スカッとした、ほら忘れ物だ……まあいいや食べちゃお」
人の腹に突き刺したまんまちぎれ飛んだ腕だし、拾得物は落とし主から1割貰えるって言うしね。
「んあむ…うむ………あれ?これ…金属質ってか普通に金属の味すんね……いやていうか…生き物の味がしねえ……?」
『汝!』
えぁ後ろ!?
「が……っふ……はあ!?」
いってぇな…くそが……ドンピシャで私の本体狙ってきやがった!
グラさん!このまま追っかけて回復するまで鬼ごっこするから、その間に今起きたことを!
『あれは……我等の攻撃で彼奴めの身体が砕け散ったのを確かに確認したが…』
あんだけやってノーダメなの?嘘じゃん。
「あー……塞がってきたかな…とは言え本体はギリギリだけどね」
「……てかなんか、見た目変わってない?」
さっきまでは四足歩行、今は……手足や大まかな骨格はそのまんまな気がするけど、二足歩行な上でグラさんみたいな肘から伸びるブレードまで生えてる。
ふーん、これはあれかい?戦った相手の情報から形を変えたって奴かい?
……ちょっと前に似たようなことやる奴と戦った気がするんだよなあ、うちのメイドと言うか。
「って……そんな単純じゃねえか」
スピード、明らかに増したな?回避はギリギリ間に合うけど攻撃挟む隙がねえわ。
さっきまでは様子見か?こっちが攻撃しなくても随分と積極的になったじゃないの。
冗談じゃないよねまったく、こちとら意識がぶっ飛ぶ直前だってのに……
かくなる上は、やるか。
[パッシブスキル『食いしばりLV.1』を獲得]
……ワンパンは耐えられる系かな?
[経験値の超過を確認、パッシブスキル『怒りLV.1』を獲得]
[経験値の超過を確認、パッシブスキル『怒りLV.1』が『怒りLV.9』へ変化しました]
んお……めっちゃレベル上がったけど……『怒り』…?
『ふむ…汝、少し休むが良い』
……お?
『認めよう、こいつは強い……故に…王として我が相手をしよう』
待ちなよ、このまま……うぉん…
『我がやる……わかってくれるか?良い子だから』
……ぉお任せしちゃおうかな?正直、此奴とハリガネさんじゃ素直に言って相性が悪すぎるよね。
搦手が通じないタイプのシンプルに強いやつは苦手だよまったく……バトンタッチね。
「……ふふ、任せよ……」
「さて、貴様……夢は見れたか?」
「先程からの我が伴侶への仕打ち……戦いの場である以上はある程度は許されよう」
「しかしだ……王の伴侶に許可なく触れるその不敬……無礼も極まっていると言えような」
「……食い散らかしてやる」
あ、駄目だこれブチ切れだ。
Q.少し前のグラさん形態中ってデメリットあるの?
A.カロリーの消費が激しいのと、グラさんとハリガネさんどっちかが制御方向に回らないと暴走します。
Q.クリシュナさんは無事!?
A.鼻血出た。
Q.けむりんってハリガネさん以外に粉かけるんやな。
A.変態を常識で推し量ることはできないんだね。




