流れ澱みは滞り
「なんだお前は話を聞けって言ったり殺してくれって言ったり、情緒不安定か?」
『汝の親族ともなれば不思議では無いだろうがな』
「……私自身この身体のしでかしたこと自体には責任を感じてるおるのだ」
「そもそも私の機能は殆ど動いていない……とりわけシグネチャーや行動制限機能など最早存在していないのも同じなのだ……」
「やめてくれ、難しい話はハリガネさんの眠気を誘うよ」
「……何をするためにこの世にいるのかがわからない、自分が何者なのかも、生きている理由すらないのだ……だがそれは貴殿も同じであろう?何故生きていられる?」
「え……世帯を持つと…いいよ?」
「……そうか」
凄い、「あ、こいつと話しても駄目だ〜」って感情が顔から滲み出てたぞこいつ……顔に出やすいのはブレ子と同じ系統なだけはある。
「……本題に入ろう、バスキンのしでかした事についてはどこまで知っている?」
「力を求めて皆を毒酒で汚染して神様の能力啜って強くなって主神になってしまいかけた馬鹿」
「……まあいいか」
間違ってはいないけどこれを正解と言っていいか微妙な範囲っぽいな。
「結果としてはそうだが……理由が違う、この者は力に溺れたのではない」
「……ただ、友との再開を望んだだけだ」
……
「……ルドラ?」
「…!?知っているのか!?」
「いや知らん……と言うか知ろうとしたおじいちゃんが脳の一部を焼き切られかけたから何も探れてない……ああ、そうだ本来なら君に調べさせようと思ってたんだ」
「……そ、そうなのか」
「今この人凄くサラッとバスキン君の脳を焼こうと思ってた事を本人に伝えたっすね…」
その段階じゃ敵だったんだから仕方ないね。
「……私の身体はありとあらゆる神達の権能を食らった……即ち、その情報に呪いをかけた神の力もあるのだ」
……じゃあ最初からノーリスクか。
『それをアテにした作戦でなくて良かったな』
端っから正面撃破以外考えてなかったよ。
「えーっとじゃあ、ルドラって何者?神様なの?」
「……ああ、ルドラは神であった…雄々しく、猛り狂う暴風のようで、それでいて全てを包み込む優しがある…そんな男だった」
「……この身体……ヴァースキも彼を慕っていた…」
「そして……破壊神も」
「マハーデーヴァも…っすか?」
「……彼とて荒ぶり続けているわけじゃない、そう言う役割故に勘違いされやすいが…」
「……破壊神とルドラは親友であり、好敵手であり……兄弟のようだった…」
「……そして、ある日突然この国から消え去った」
「家出かい…?」
「そんなに優しい物じゃない……この国の全て記憶、全ての記録から、ルドラと言う存在は消滅したのだ……」
ふむふむ……まあ大方予想通りではある。
「でも何でそんな真似を?破壊神の友達でもあったんだろ?……いやまて、そもそもそんな破壊神に喧嘩売るようなこと…誰が…?」
「…………」
……クリシュナさん?大丈夫?顔色が悪いよ?
「……マハーデーヴァも含めた全てに対してそんな事ができる神…1人しか知らないっすよ…」
「……察している通り…【創造神 ブラフマー】だ 」
創造神とな。
……前回が序章だとしてハリガネさんの大冒険1章で出てきちゃっていい存在なのかそれは。
「……それは何でまたそんな事を?」
「……信仰の問題だ…」
「我々は数々の異名や名前を持ち、祈る人の数程姿形があると言ってもいい…」
「時には別々の神2柱が同一の存在であると認知され、片方に統合されてしまうこともある……」
「あー……成程そういう事もあるか…口伝で広まればそんな事もあるよね……実際この国の蛇の神様って君に全部統合されたみたいだし」
「……そう言うことだ」
それが所謂合体なのか、吸収なのか、共存なのか…問題はそこよね。
私とグラさんは2人で1人…まあ共存関係だけど……けむりんはどんどん私に人格を引っ張られてたみたいだし時間かけてたら人格自体は吸収しちゃってた可能性が高いわけで。
「……まあいいや続きを聞こうか」
「ああ……どんな神であろうとも人々の中で語り継がれるうちに少しずつズレは生じる物だ……そしてルドラは……」
「破壊神と同一視されかけた……っすか」
「……そうだ」
「……ごめん半分くらい置いてけぼりだわ、もうちょっとわかりやすく話してくれない?」
「……この国は破壊と再生を繰り返し世界を循環させると言う規律が存在している……そこの要に居るのが創造神、そして破壊神だ」
「つまりあれか、創造神は破壊神が別の神と混ざって循環が上手くいかなくなるのを防ぐために、ルドラとか言う神を封印…でいいのかは知らんけどとにかく消して……その結果として、今ってこと?」
「……馬鹿なの創造神?」
「ば……いやハリガネさん…その循環って自分らの存在理由そのものなんで…割といっぱいいっぱいだったんだと思うっすよ…」
「て言っても結局失敗して今のループはどうよ?循環どころか回を重ねる毎に民の認知は悪い方に転がり、喧嘩祭りなんて物で殺人を正当化しちまってる」
「……てかそもそもバスキン、君が喧嘩祭りを仕切ってるのはなんでだい?殺人が良い事として扱われるなんてとち狂った認知を植え付けた理由が聞きたい」
「あれは……人が死ねばその分リソースは獲られる、確かに記憶を持ち越せなかった存在は奴隷になるが……それでも民を全て失うよりはマシだ…!」
「そのせいでこの国は地獄だ、うちの娘よか小さい子供が海賊船を命懸けで襲わねえと生きていけないくらいなんだぞ」
「…………っ!」
『そのくらいにしろ汝……我等とは根本的に背負う物が違うのだ……今こやつを責めたとて不毛なだけだ』
…………そだね。
「……まあ実際、結果はどうであれ首の皮一枚で国を存続させてるお前に、ただの流れ者の私が何か言えることではないがね……まあいいや、次は創造神の話を……」
「……いやてかそいつ死んでなかった?」
「え、僕の話真面目に聞いてたんすかハリガネさん……そっす、破壊神に粉々にされたはずなんす……そして権能は確か」
「ああ…それを我が吸い取った……2割にも満たぬがな」
ほうほう。
「なら君がその…呪い?解除できるんじゃないの?」
「できるならばやっている……だが、創造神を倒したのは破壊神……私の吸いきれなかったリソースや権能はマハーデーヴァが持っている」
「その上で…半分死んでるし蘇った瞬間怒りで我を忘れて何もかも破壊しつくす知性の欠けらも無い状態と」
「……ああ」
「……うーん、参った」
「やっぱり勝てる気が一切しないね、お前を倒せばクリアに向かうと思ってたけどそうでも無いようだし……打つ手が今の所無くなったな」
まともにやり合う気は端っから無いにしろ……創造の神とか言うずっこい能力持ちとかふざけてんのかってレベルだよね……
「……うんバスキン、と言うかブラザー……協力しろ、方向は定まらないけど」
「も、勿論だ…だが…」
「どうするかは今から考えるから……取り敢えずうちの娘達もここに呼ぶから兵には武器を下げさせなさい……勢い余ると全滅するよ」
「ああ……すぐにそうしよう……」
「それで…話は付いたのですか父さん」
「うっわ鳥臭えな君ら…」
「……懐かれすぎて…特にブレさんはお面が彼等に似てるから…」
ペストマスクってカラスっぽいもんね。
「モテ期、と言うやつでございましょうか…」
ケダモノにモテて嬉しいと言うならまあ私は構わないけども。
「……ジョークです、笑え」
「私の暴君性が身につきつつあるね君……」
「まあいいか……さて紹介するよ2人とも、平たく言えば君らの叔父の……バスキン君(仮称)です」
「…よ、よろしく頼む」
久々でごめんよぉ!!!
忘れないでくれぇ!!
はい、実際今はリアルがごたついておりまして、しばらくは投稿頻度減るかもしれません……追いかけてくれとは言わないけど気が向いた時に眺めに来てくだせえ…




