スニーキング×スネークキング
……行こか。
「こちらハリガネさん、敵地への侵入を開始する…」
「…急になんです?」
「いやほら…スニーキングミッション的な感じだから何となくやっておこうかと…」
「全員真横にいるんだ、馬鹿なことやってないで行くよ」
わびさびのわからん奴等め。
「んじゃ手筈通り……頼んだよ娘達withハヌさん」
「うん……皆、私の為に死んで」
お嬢ちゃんが振り上げた手を降ろした途端に空を駆ける飛行生物の群れ……いつの間にこんな友達増やしたのよ、パパ知らないんだけど。
「……皆騙して来てもらってるから気分悪いけど……なるべく死なないようにするから…」
騙して命張らせてるの?私仕込みの話術かい?
「……これが済んだら好きなだけこの国の人間の血を啜って良いって言っちゃった」
「困るんすけど…!?」
はっはっは、戦う相手増えてね?
「まあいざとなったら私が全部食べれば良いか、この世は弱肉強食さ」
……いや普通に強そうなのも混ざってない?何だあの屈強な猛禽類、軽車くらいのサイズあるんだけど、どうやって飛んでるっていうのさ。
『竜種が居ないだけ良しとしろ、ミリアの言葉の力は強い……大声で国を潰す算段を叫べばこの様にもなる』
うーん……ヤバいなぁ獣の寵愛、下手するとユニークに匹敵するもんな。
「1つ事が進む度に無限に悩みの種が……これ終わるまでに僕の胃袋もつんすかね…」
「情けない事いってんじゃないよ、国を救うんだから胃の穴の1つや2つ我慢しな、神だろう」
神とてストレス性潰瘍は看過できないだろ。
「……じゃあ、私達は皆に指示出しながら別ルートで入るから」
「おう、危なくなったらすぐ逃げるんだよ……ハヌさん、ブレ子…頼むぞ」
「ああ、任せな」
「御意……傷1つ付けさせませんとも」
頼もしい奴等だよまったく。
私等も行くか、けむりん。
「かしこまりました旦那様……では絡み合いましょう」
そろそろ1回ぶっ飛ばすぞお前。
と言っても実際やる事としてはけむりんの身体を纏って表面に背景のテクスチャを投影して透明化してるから間違っちゃいないんだよな。
……致命的に表現方法が気持ち悪いけど。
「わ、凄い本当に見えない、クリシュナさんこの辺にいる?」
「おぶ、やめ…やめろー!」
おお、失礼顔だったか。
「わかっててやったっすよね…?」
モチモチしてるね。
「くそ!この!どこにいるんすか!」
見えないけど気配的にぶん殴ろうとして失敗したんだろうなってことはわかる。
「そんじゃスピード重視で行くからクリシュナさんは肩車ね」
「視界が高い!!普通に洞窟の時みたく抱っこで良くないすか!?扉の上のとこに顔面強打する未来が見えるんすけど!?」
「流石調和神……少し未来が見えるのかい?」
「そういうことではなく!!」
『汝……真面目にやれ』
うす。
「仕方ないのでお姫様抱っこで行こうか……舌噛むなよ」
よーい…ドン!
「!!?は、速!?」
『更に先へ』使わなくてもかなりスピード出るな……けむりん戦でまたちょっと強くなった?
『と言うよりは……この者の身体の性質的な面が大きいであろうな、純粋なリソースを常に提供してきておる……燃料を次から次に送り込まれてる様なものだ』
パワードスーツかよ……てかそれけむりんは大丈夫?
「ええ勿論……どんどん吸われております」
大丈夫ではない…!やめなさい、今すぐに。
「もう少し旦那様の体の一部になりたかった……いえでも気遣って頂いて光栄の至り……わ、私はどうしたら…!?」
「真面目にやれって言ってんだよぶっ飛ばすぞ」
「あぁん辛辣……」
てかすげ、私達の足音まで消えるんだこれ……便利だな。
……何の苦労も無く宮殿に入れてしまった。
「中はパニックっすね……まあそらそうなんすけど」
無数の飛行生物が襲いかかればそんなことにもなるよね……っとこの気配は。
「1番隊は南へ、2番隊は私と来い……待て、何かいるぞ」
「あれは……気をつけてください、強いっすよ」
安心しろ、ただのナーガ君だ。
「ただのナーガ君ってなんすか、一応この国の兵隊の中じゃ最強っすよ彼」
兵隊の中じゃな……ブブの爺さんに比べたら大した事……へえ、そうなるか。
まあそっか、ナーガだもんね…はは。
「見つけたぞ……侵入者だ!」
お前も蛇かよ。
『見つかったぞ、殺るのか?』
「……ねえクリシュナさん、あれも守るべき民なの?下半身蛇だし肌紫だけど」
「まあどんな生物だって調和の一部なんで……」
仕方ねえなおい……お、やるかいグラさん。
「……前菜だな、我がやろう…ドッペルゲンガー、我から離れ奴ごと周囲から隠せ…10秒で決める」
「かしこまりました……我が王」
「……くっ…王の命を狙ってきたか貴様……姿を隠そうとも私には通用せぬぞ!」
て言うか熱には反応しちゃうのね。
「いえ、温度も自在でございます」
お前……
「…………?」
こいつ自分の楽しみのために主人を危険に晒しやがった…!
まあそのくらいぶっ飛んでないとうちのファミリーじゃやって行けないか、切り替えてこう。
「うむドッペルゲンガー、後で貴様の身に王への不敬の罰を嫌という程叩き込んでくれる、楽しみにしておけ」
「もったいないお言葉……私は果報者でございます」
「我の戦う姿が見たい、結構な事では無いか……強者との死合なぞ望む所よ」
「だが…!」
「この程度の相手が我に見合うと思っているその節穴が不敬だと言っておるのだ…!」
ラリアット……いや首投げか。
立てるかナーガ君…!王様の安全は君に賭かっているぞ!!
……まあ無理か、カンペキ落ちてるわ。
「後頭部から叩き付けてるっすもん……え、生きてます…?」
一応ステータス上は…?
「疑問符やめてもらえません!?」
「冗談だよ、グラさんが手加減なんて器用な真似できるわけないから衝撃の瞬間ちょっと邪魔したさ……おかげで生きてはいるけど深刻な後遺症で済むと思う」
「何も!済んで!無いんすけど!」
楽しいなぁこの子。
「んで王様どこにいるんだっけ…?」
前来たけどこの宮殿やたら広いからな…
「ええと…確かこっちっす…改修されてなければ」
ほうほう、昔来たことあんのかな?
「でもさー、普通に考えてバスキン殿下は記憶持ち越してるじゃない?」
「ええまあ…そうっすけど」
「なら私がここに来たことあるのも覚えてるわけじゃん?」
「ええと……何が言いたいんすか?」
「いや普通だったら王様の居場所移して罠張らない?」
まあもう部屋入っちゃったけど。
「到着してから言うことじゃ無くないっすか!?」
扉を開けたら無数の……いやそんなにいねえか、精々15人やそこら……まあ全員武器持ったヘビ人間なわけだけど。
そんでまあ……奥に見えるのは国王陛下、逃げなかったんだ?余裕だね。
「久しぶり、罠まで用意するなんて周到じゃない……来ることわかってた?」
「……罠と言うよりは足止め、と言うべきだな……貴殿等に策謀が通用するとは思っていないさ……いやそもそも足止めにもならんだろうが……」
「ああその……なんだ……降参……させてくれまいか…?」
「我がいくら神であろうと貴殿等には叶わぬ、簡単にとは言わぬが特異点個体が2人にハヌマン……勝てる見込みなどないのだ……」
震える声、合わない目、取り囲んでるのは自分達なのに一切の安心が無い表情……嘘は無い、本気でビビってる顔だ。
「えーと…いやまあ、私としても無血開城ならそれはそれで構わないけど……」
「……それでもお前のやり方には反吐が出るよ、だからあえて言おうか」
「嫌だね」
更新よー。
Q.この世界に機械文明はありますか?
A.スチームパンク的な国とか色々あるよ。
Q.けむりんのメイド姿って何イメージ?
A.八尺様。




