暗殺者は語る
「王様を暗殺……アンタまたそいつは随分と物騒だね」
「祭りを主催してるのが王様だからさ、あの儀式そのものに介入しない限りこの国の問題は解決しないし……いや計画の第1ステップが国王暗殺とかいつにも増して酷いシナリオだな」
毎度の事ながら修羅に生きてるよね。
「王様を暗殺して、その後は?」
「けむりんって言う手札ができた以上成り代わることも可能になったわけだし……王様として今回の祭りのルール変更とかしてみようかとは思うけど……」
うん、普通に考えてこいつを作戦の心臓部に置くの怖すぎるな。
「何ですか旦那様…いえ私は構いませんが…まだ昼間ですよ?……ですが旦那様がそう望まれると言うなら……」
「帯を緩めるな!私の視線から何を汲み取ったんだこの馬鹿!」
マジで何で性格がこんななのに無駄に強いんだこいつ。
「……ブレさん、私耳塞がれるような歳じゃないって」
「すみませんつい……いややっぱり聞かせたくないですね」
「んんっ……えー、つまり彼女…?の能力で今の国王…ヴァースキになりすまして祭その物を変更するってことっすか?」
「そうね、人が死なない方法なら何だっていいとは思うけど……私が何より気になるのは誰も死なず、リソースが人死にで稼げなくなった時に祭はどうなるのかだ」
シャルヴがどうなるのかも気になるけどハヌさん達は結局のところリソースを稼ぎ過ぎて中に眠っている神様達が出てこれるようになってしまったからああなったわけだし。
「……別の方法で祭を行うにしても、恐らくリソースは溜まる…っす」
「ただそれをやっても結局破壊神が顕現したら…」
「そこだよね、問題は」
「結局のところ誰1人死ななかろうが国中の人間で破壊神に向かって行っても勝てる見込みなんて欠片も無い……1秒ももたないで挽肉にされるだろうさ」
「……ハヌさん……ハヌマンの力でどのくらい渡り合えると思う?」
「オレだってあの姿になれても完全に力を出せるわけじゃないからね……親父ならまだどうにかできたかもしれないけどね」
「風神ヴァーユっすか……」
「……まあ…今出てこないってこたぁ死んでんだろうね…」
「……そう言えば死んだ神様ってハヌさんみたいに転生してんだっけ?」
「いえ……大概の場合は権能を奪われた時点で戻って来れなくなってるっす……でもヴァースキが持っているならそれも……」
「まあ問題があると言えばヴァースキは……現役バリバリの神様だし色んなやつの権能持ってるし……蟲入りだ」
「……恐らく完全に操られている以上前回みたいな手は使えないし、どうするかな」
「……正面から戦って、勝てるの?」
「んー……どう思う?」
「……やってやれないこた無いだろうが……昔はオレより弱いくらいだったしな、だが今の彼奴がどうなってるかわかりゃしない以上は…」
「暴食王の力ならあるいは……っすかね」
「……全員がかりなら」
「儂も今ならばまともな戦力になるかと……ポリプシオン殿も居りますし」
「僕は例によって駄目かね……ま、危なくなったらやってもいいがね?蟲が相手ならある程度は許されようものだね」
「まあレプンカムイは後方待機しててよ、危なくなったら頼むさ」
「ではレプンカムイ様は私共々旦那様のご武運を祈っておりましょう」
「いやお前は来いよ」
何サボろうとしてんだこのメイドは。
「ですが旦那様……私、奥様と旦那様の2人だけで神を落とす姿が見とうございます」
「無茶苦茶言うなよ……私達だけで勝てるかわかんないから……」
「可能でしょう、暴食王ならば」
……成程そうか。
「わかった、私とグラさんの2人で殺ろう……そんでもって他のメンバーは宮殿の兵士達を殺さないように無力化してくれ」
「……勝てるの?」
「勝てる勝てないは置いといても暴食王が他の国の王様を寄って集ってボコボコにしましたー、とかグラさんがまた危ない事になりそうなんだよ……」
前回も暴食王っぽくないって理由で弱体化したし……
『最近の行動からかなり力も取り戻したがな』
「……君、随分僕等について詳しいんだね?見てた?」
「旦那様と全身で絡み合った際に記憶を拝見させていただきました……とても甘美な一時でした」
余韻を楽しむんじゃないよこのボケは。
「ふぅん……まあ、ハリガネさんが認めてるなら構わないね」
「心配せずとも……私の身も心も旦那様のものですよ」
「妙な空気を出すんじゃないよ君らは、レプンカムイ……心配しなくてもけむりんは餌チラつかせれば御せるタイプだから大丈夫だよ」
て言うかレプンカムイ的にグレー判定なんだなこいつ、まあそりゃそうだわな。
「んじゃあ作戦は……私達とハヌさん、レプンカムイ、クリシュナさんで真夜中に王様のいる宮殿を襲撃、兵士達にすら気付かれちゃまずいからそこら辺の撹乱をけむりんとブレ子とお嬢ちゃんで……いいかな?」
「作戦とは…」
「……いつもに増して雑」
「具体的には何を…?」
えーっと……グラさん?
『我に振るでない……頭を使うのは汝の仕事であろう』
「……お嬢ちゃんの力で蝙蝠や小動物を操って、宮殿になだれ込ませよう、そんで異変に気付いた奴等が王様の部屋に向かう可能性があるから、けむりんが私達の姿を隠しながら兵士を近付けなくして……で、行けるかな」
「あの、それだと儂が余りましたが」
「……お前とタコさんにできる事ってだいたいけむりんができるんだよな」
「クビですか!?と言うか儂等を合わせてもこれ以下ですか!?」
「まあ一応特異点個体だしこいつ……あ、じゃあお嬢ちゃんの護衛してもらうよ、不殺は得意だろ?」
「じゃあって……なんだか屈辱ですが……まあわかりました、引き受けましょう」
「……ぶっちゃけお嬢ちゃんの護衛を任せられる相手となるとお前くらいじゃないと不安だしね、けむりんももううちの仲間とは言え……そこまで完全には信用できてない」
「……し、仕方ないですねー!父さんがそこまで言うなら!ええやりましょうとも!」
何で嬉しそうなんだこいつは。
「……旦那様のそう言うクレバーなところ、本当に好きです」
「信用はね、得るのは大変、失うのは一瞬…取り戻すのは不可能に近いとも言えるからね……信用に価する行動をしてくれよけむりん」
「お任せ下さい、期待に応えてみせます」
「じゃあまだちょっと時間も早いしそれぞれ準備しといで……んでハヌさん、ちょっと私とグラさんの3人で話そうか」
「あ?……わかった」
「なんなんだい改まって……」
「いや、この間ハヌマンさんと戦った時の台詞に引っかかる所があってさ」
「……君達の、罪って何のことだい?」
最近が暑すぎて深刻に身体がダルい肩パットです、みんなも体調に気をつけるんだよ!
Q.けむりんがはりがねさんに抱いてるのは恋?
A.言葉では言い表せないくらい煮詰まってぐちゃぐちゃな憧れだよ。
メインでさらけ出してるのは劣情。
Q.けむりんってどんな見た目になってるの?
A.ヴィクトリアン式のメイド服着てる黒髪長身クール系美女。
一応モデルの人は御存命。




