愛は求められて与えるものじゃない
かなり削れたけどまだ身体の操作権をぶんどれないな……とは言えネタも尽きてきた。
「はぁ……はぁ……やりますね……ハリガネさん」
ん……見た事ない人だ、さっきの町娘と同じようなもんか、男だけど。
そのはぁはぁ言ってるのはどっちだ?疲労?
「貪るように私に入り込もうとする貴方から身を守ってるんです、息くらい切れますよ」
やめろその言い方、マジで。
[侵食率70%]
どこまでぶんどれてる?
[体内より離脱は可能]
溺れさせるやつはどうよ?海のすぐそばだろ?
[非推奨]
まあ呼吸器官も無いもんなこいつ、溺れるとかないか。
んー……出るかねそろそろ。
「……駄目です……行かせない」
諦めなよ、70%持ってかれてなら止めようがないことくらいわかってるだろ?
「……逆境でこそ笑うのは貴方の専売特許じゃ無いんですよ」
……かっこいいのな、無駄に。
「貴方譲りですから…」
良かろう、出られるから出るなんてつまんねえ幕引きじゃ満足できないなら…最後までやろうか。
口説き落としてやるよ。
「んぐぅ…悪い人ですね……」
やめろ、私に性別は無いけどむさ苦しい男のフォルムで身悶えされるとちょっと何か……汚い。
「そんな殺生な……これにだってモデルはいるのですよ」
うるせえよ、中身が変態ストーカーならどんな美少女でも霞むわ。
[侵食率75%]
何で上がんの!?もう怖いんだけどお前!?
「開きかけましたね……扉が」
永遠に閉じとけクソボケ。
「……何ぞ、我が折角真面目に戦ってやっていると言うのに……より弱くなってないか貴様」
今の貌はキムンカムイ……シンプルな肉弾戦ならば我とて武が悪い相手だが…
「そウ……思うカ?」
ふむ……弱くなった、と言う表現が正しいかは知らぬが……格段に完成度が下がっておるな。
「……汝……そうか、はは…あの者はどこまでも抜け目ないのう」
「大人しく助けを待つこともできぬとは」
「……黙レ」
「お前が……アの方を語ルな」
無造作な振り下ろし……本来の緋熊神であればとても我に受け止め切れるものでは無いが……
「どうした、貌が定まっておらぬようだな?軽いわ」
「……弾け飛べ……『我は山n……ぐっ!?あぁぁぁ!!?」
「阿呆……その解像度であの神の技に耐えられるものか」
放つ前から右腕が弾け飛びおったわ、そのくらい気づくと思ったがな……
嫌に戦いを焦っておるのか?
「う……ウォロロロロロ!!」
「そう大口を開けるものではないぞ、記憶からこやつを再現しているのであれば、な」
奴に倣うのはちと気が引けるが……しかし心が踊る物だ。
右手は上顎、左手は下顎……強化した膂力に任せ背中を開くように……こうか。
「アガ!?」
「ははは!!胸元まで裂けおったわ!以前の力ではこうは行くまい!!」
……いかん、気分が奴に引っ張られておる…はいてんしょんとか言うやつか。
「どうした、貌を無くすのが間に合わなかったか?随分と効いたようだな」
「…………いっ……てぇなこのクソアマァ……!」
「ほう、猿娘か…………いや我より弱い者になってどうする気なのだ貴様は」
「あ……ぁ…!?」
「柔い腹だな、腐葉土より容易く貫けたわ」
文字通り瞬殺なのだが……頭が悪いのか?それとも中からあの者が悪さをしているからか?
どちらにせよ構わぬが……汝、聞こえているならばさっさと戻るが良い、時期に決着も着くぞ。
……いや何でここに来てホロケウカムイ?
え、口説くのこのおじいちゃんを?何で?送り狼になっちゃえばいいの?相手モノホンの狼だけど?
「………ぬう…間違えたわい」
あ、ミスだよね良かった……成程今度はハヌさんに……なったけどボコボコじゃない?顔腫れまくってるし腹に穴空いてるよ。
「…………き、聞いてくれよハリガネ…!外のグラトニカが……私をこんな目に……」
やるだろうよそりゃ、殺しあってんだぞ今は。
「……俺にはそんな言い方すんなよ、いつもみたく優しくしてくれよ……」
「なあハリガネ……」
「アタシの脚とか綺麗って言ってくれたろ…?また…ほら、な?」
……さっきからモノマネの精度落ちすぎだよ、もう見た目以外が似てもいないのよ。
まあもう8割は乗っ取れてるし、そら精度も落ちるし正直時間の問題だろうさ……
「そ、そんなこと言うなよ……まだやれるって!ほら、何か言ってみろよ!」
……力比べや、口説き合い程度なら限界までやってやるつもりだったけどそこが限界みたいだね、お前そのまま続けたら死んじゃうだろ多分。
いや内側から寄生しつつ外側から満遍なく破壊とか鬼みたいな戦法取ってる側が言うのもあれだけどね。
「……う、うるっせえんだよ!今更引けねえんだよ!最後までやるって言ってんだろ!!」
あー……興が冷めた、終わりだよ。
「は!?ちょ、ちょっと待てよ!」
[生体内からの脱出可能]
[脱出を行いますか?]
うん、頼む。
「……待てよ…おい!ふざけんな!」
なあ……モクモクさん、これまで言った言葉に君は私を受け入れざるを得ない程に懐柔され、心を開かされ、気持ちよくなれたかもしれないよ?
でもそれは君じゃなくて君が真似た人への言葉だ。
どんなに君が哀れに助けを乞うても、その姿をしている以上愛情なんてものは一欠片も君に向いていないんだよ。
そして今やそれも難しい……まず似てないからね。
ハヌさんはそんな事言わないしそんな情けない女じゃないよ、まあ……時々情けないかもしれないけど?それでもあの子は私に愛してくれなんて望まない。
そんな気高い神だよ。
さ……外に出たら決着だ、本音でこい、応えてやる。
「そ、そんなのって無いだろ!ちゃんと倒してくれよ…!お前は英雄だろ!俺は悪役としてここにいんだぞ!!なあ!!」
「ねえ嫌だよ……1人に……しないでよ……」
[生体より排出を開始します]
[衝撃に備えてください]
あいよいつでも。
……あら何か懐かしい気分、あの時もこんな感じで射出されたっけね。
さてグラさんいるのかしら、さっき呼ばれた気配はあったけど。
まあいいや……最終ラウンドか、味気ないけどね。
また1日遅れだよすまん……
ところで皆さん来月はARKのリメイク版発売ですね。
関係は無いけど来月から更新が滞るかもしれません!関係は無いけど!!
嘘です、書きます。




