求めたるは新しい風
「薬の場所がわかっているのなら真っ直ぐ取りに行ってしまえば良いのでは?」
「ふむ……確かに言われてみればそうだね、わざわざ1周目通りのメンバーで行く必要性も無いか……て言ってもハヌさんの光源が便利なのは確かだし勧誘はすべきじゃない?」
「それに関しては僕も使えるっす、あとまあ…この時期のハヌは今までのループ内じゃ修行もせずに踊りや歌を楽しんでいただけなので今の所放置しても問題は無いっすね」
もしやハヌさん…もといハヌマンさんはタコの経験値とか色んな経験のせいでやたら強かっただけで本来はそうでも無いんだろうか。
……あれじゃあシャルヴ治さない方が良くね?
「……無いよ、それだけは」
「んー…そうね、そもそも何もしないで弱体化してるなら今までのループ内で誰かしらが殺ってるわな」
「ハリガネさんの作戦自体はいい線行ってるんすけど、他の神に比べても『破壊神』の強さは別格なんすよ、だから最悪あの人間の身体が死んだらそれまでに溜め込んだリソースを引き抜いて無理矢理顕現して来るっす」
「前回は?あの時シャルヴは生きてたんだろう?」
「ええまあ…かなり苦しんではいましたがすぐに命を落とすようには…」
「そこが問題なんす…祭で暴れている生物の人数が減れば減るほど長いループにより忘れられたという結果自体が薄まって神そのものの力が増すんすよ」
……おう?
「信仰によって強くなるはずの君等が人が減って強くなるってこと?」
何だかだんだんわけがわからなくなって来たぞ?
「ふむつまり…元より存在した神への信仰、これを栄養剤…我で言うところのハリガネムシと考えれば整理ができそうだの」
……つまり?
「察しの悪いやつめ……元々の力を補助するのが信仰であり、それらを塗り潰す忘れたという結果が上に被さることで……所謂元々の力以下の実力まで下げられているということだ」
はえー、デフォルトのステータスに信仰バフがかかってたのが上からデバフかけられて、そのデバフが人が死ぬ事で減る分元々の力に近づいて行くと本体が出て来ると……ごめんよくわかんないからもう1回説明してもらえる?
「合ってた!今ので合ってたっす!」
何だか複雑だな……つまり1番力が無い時と言うと…ごめんまた代わるねグラさん。
「つまりだ、今のうちに神を倒すとなると……今ってこと?」
「ええそうなんすよ、『破壊神』が最も力を持たないタイミング、それが今なんす……ただ人間体が表に出ているうちは『破壊神』その物にダメージを与えられない事と、人間体の死がそのままゲームオーバーになることが大問題なだけで」
「うーん素晴らしき八方塞がり…ここでうちの名誉顧問神様ことレプンカムイはどう思う?」
「ふむ……信仰を失わせたとしても神様自体元々種族としては【特異点個体】みたいなものだからね…それも飛び切り強い」
「僕が仮に出張ったとしても勝てるかはわからんね……そもそも僕が出ちゃったら戦争になりかねないから困るんだけどね」
「他国神っすからね…流石にまずいっす、そもそも地の利的な問題もありますし」
「……クリシュナさん的にはどうする予定だったの?」
「ええとその……どうしようかと言われると」
おいこいつ特に考えて無かったやつじゃねえか。
「よしわかったクリシュナ、君の戦闘力に期待して薬を洞窟から取ってくる任務を与えようね、話せばわかるガイドも中にいるからのんびりしてくるといい」
「嫌っす!!ボコボコにされるっす!!あと何さりげなくさん付け外してんすか!?」
ッチ、知っていやがったか。
「冗談はさて置き…現実的な問題としてはあの王様…バスキンを秘密裏に殺せば良いのでは?」
「初手暗殺から始める世界救済って…パパどうかと思うよ」
魔王の眷族ならむしろあってんのか?
「そもそも彼もまた人の姿になっている神っすからね……下手につつけば本体が目覚めかねないっす」
「うーん難しいね……あ、この世界のループって離れてたら関係無くなったりするの?」
「ええまあ…一応はスキルなんで近海辺りまでしか」
「タコが何か神のリソースが王宮に埋まってるとかで回収しに行こうとしてたな……ぶっちゃけ私達やレプンカムイが戦っても更に進化しようとしてたくらいだから半魚人が来なけりゃまた結果も変わってたかも知れない」
「ダゴンはループしてない…そう考えるならもう来ないかもしれないね?前回は兎も角今回は僕がここに居ることがわかってる」
「彼の性格なら2回も僕の喧嘩に横槍入れたいとは思わないだろうね…あの子に叱られちゃうかも知れないからね……まあまだ寝てるらしいがね」
「ダゴン……ってあのでっかい奴っすよね…この世界のルールがまともに機能するかも怪しいなんて関わりたくも無いっす…」
「そう、それが今回来ない…なおかつあのタコさんの記憶は引き継がれていて、話せばわかるやつなんだ」
「つまり、あのタコさんにたらふくリソースを取らせて強くなってもらって神とタイマン作戦、どうかな?」
「無理でしょうね」
「それはちょっとどうっすかね…」
「……ハリガネさん、真面目に」
真面目だよ!?いつだってハリガネさんは真面目だよ!?
いつだっては盛ったわ、割とふざけ倒してる。
「だって実際問題今の状況とタイムリミットであの神様に勝つのなんて無理だよー……『更に先へ』状態で加速前に消し飛ばされたんだよ?なのにまだスキルも何も打ってきてないんだもん…」
「とか、言っちゃいそうになる自分をぐっと押えまして」
「ほぼ言ってたっすよ!?」
はっはっは、気の所為気の所為…ハリガネさんあんま弱気になるとグラさんに絞められるから、物理的に。
「まあでもあのタコはもう1回仲間に……仲間だったのかは怪しいけど話してみる価値はあるよね」
「父さんが洞窟…霊廟であったという石像に関してはどうでしょうか?」
「ヴァジュラか…あいつも話せるけど師匠の言いつけ守ってあそこの番人やってるわけだから仲間にはならんだろうね」
いや待てよ?あれが遠隔操作なら本体もどっかにいるわけだし…何なら金剛力士像って沢山いるんじゃなかったっけ?
「……ありかも?」
「ヴァジュラ…十二薬叉の1人っすね…バイシャジヤグルのお弟子さんっすけど師匠含めて長いこと行方不明なんすよね…少なくとも本体は」
死んでんじゃねえの…?師匠の霊廟だろあそこ。
「……まあそれもまとめて聞きゃあいいさ、少なくとも1周目よりかはずっと知識もあるんだから」
「よしじゃあ、ブレ子とお嬢ちゃんの2人は町に行って様子を見てきて欲しい、主にハヌさんの……しかしあんまり話すな、あと出された食べ物も口にしちゃいけないえっとそれから…」
「長いです父さん、シャルヴの刀剣も手元にあります故いざとなれば身を守る程度のことはできます」
「……私達はいつまでも子供じゃない、それにハリガネさんが行ったらドジしそうだもん」
おかしいな、娘達の成長に喜んでるのかぞんざいな扱いに対する物なのか涙が出て来る……
「ぐすん……はいじゃあクリシュナ私達と一緒ね、神様パワー存分に発揮しておくれよ」
「いや神の権能なんて使ったらバレるっすよ……素の僕とか殆ど人間と変わらない実力ですし…」
「お、本体クソザコ同盟組む?私とお嬢ちゃんとクリシュナで」
「絶対嫌っす!てか何すかその不名誉極まりない同盟は!?」
「……不服」
頬を膨らましてる姿はまだまだ子供のようだね……これがお嬢ちゃんのスキルの待機モーションじゃないことを祈る。
「はは…言うて私の本体から見たら君らなんて強い方さ…カナブンとかコオロギに惨敗するわ…」
「でも……今まで生き残ってきたんすよね?」
「周りの人の力頼りだけどね、寄生虫なもんで」
「……誰よりも弱いからこそ、君にできることはあるっすよハリガネさん」
……うん。
…………人を誑し込むくらいしか浮かばねえわ。
「良いこと言ってやったつもりなんすがね!?」
ゲリラ投稿よー!
ぶっちゃけシフトの問題で日曜キツそうだったのでってだけです。
さあありがたいことにDMで質問頂いておりますので、こちらのQ&Aのコーナー復活させていきますわよ!!
Q.クリシュナさん見た目どんな?
A.原神のスクロースとFGOのガネーシャ足して髪青くした感じ。
Q.職業ってどんな意味があるの?
A.世界にそう認知させることが必要だからその職業でその職業としてした行動が獲得出来るスキルになる。
鍛冶屋のおっさんとかは『鍛造』『炎熱耐性』『研師』とか付く
迷宮都市の方だと若くて冒険経験の無い人が日雇いで力仕事して『怪力』とか獲得しておくと後から冒険者の荷物持ちとかで稼いだりしながら経験積めるっていう感じで活用されます。
本日は以上!ではまた!




