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踊り巡れ輪廻と根幹

 ……真っ白い空間、時間の概念も存在しないような果てしなく思考力奪っていくようなそんな世界。



 私……また死んじゃったか。




 ……今度は誰も守れず……


 …………私の役立たず…




「そんなことは無いっすよ……ハリガネさんよくやりましたって、僕の助けもなくヒントもないのに」


 ……私は…何もできない……誰かを守ることも……口ばっかしだ私は…


「いやー、相手はあの破壊神(・・・)っすから……破壊の権能がいくら弱体化してても真正面から受けたらあんなもんですって」


 くそ……もう1回…もう1回やりなおせたら……そうだ最初からこんな国来なければ……くそ……


「いやそりゃ困るんで是非来てもらいたいんすけど……ていうかやり直しはききますって、そのために僕出てきたんですし」


 …………


「……あの?」


 おわぁ!?君誰だ!?


「今!?今気づいたんすか!?」


 いや何か居るなーとは思ってたけど…誰だ君は全く……ハリガネさんは今自分の無力さを噛み締めるのに忙しいんだ黙っててくれ。


「えぇ……わかりましたよ…」


 はぁ……ハリガネさんがそもそも人間体なんて望まなければ良かったんだよ……私達の冒険はお嬢ちゃん達の国を救ってその後のんびりスローライフでもしてれば良かったんだ。


 毎日魚取って山を散歩して、たまにキムンカムイ(熊さん)と相撲するのも楽しいよね。


 ……でももう……


 ……おいなんか言えよ。


「君中々理不尽っすね!?」 


 うるせえ!!ハリガネさんはとんでもなく理不尽な強さした奴に瞬殺されて機嫌悪いんだよ!!そもそも誰だ君は!!


「記憶に欠陥でもあるんすか…?」


「名乗ったでしょうに……その後すぐに事切れちゃったんで覚えてないだけならいいんすけど」


 知らんよ、誰だよクリシュナって、新しい柔軟剤?


「覚えてるじゃねえか!あってるよ!」


「『調和神 クリシュナ』……この国の神っすよ、過去形とも言えますけど」


 ふーん……大変そうね色々。


 ……はぁ…私はダメダメだ…部屋の隅に落ちてる縮れ毛だ……


「そろそろいいっすかね!?」


 ……うん、聞こうか、ここでのたうち回っても状況は変わらないし。


「ここに来るまでが長いっすね……」


 そもそもここはどこよ?ハリガネさんの死後の待機部屋か何か?その割に毎回人がいるけど…田舎の民家じゃないんだぞプライバシーを守れよ。


「そんな何度も死んでるんすか君……ほら、ちゃんと見ようとすれば(・・・・・・・)見えますよ」


 見ようとって言われても目がねえんだよこちとら。


「イマジネーションっすよ、こう……見るぞ!って思ってもらえば…」


 んん……カレー屋の店員みたいな顔しててターバン巻いてる?


「ぜんっぜん違うよ!?僕に何を見てるんすか!?」


 冗談だよ……真っ青な色の髪に丸眼鏡の……女の子?


「そう!あってるっす!」


 服装はターハルの一般的な服装……あと妙に肉付きが良い……アブドゥルの親戚か?


「セクハラ!?セクハラっすか!?てかそんなに!?いや確かに最近引きこもっては居たんで腰回りとか……え……本当に…?そんな……嘘でしょ…?」


 ……うん、誰だ君は。


「いや会話をリセットしないで欲しいっす!?そろそろ先に進みましょうよ!」


 わかってるよ……そんで何なの?


「えー…まず落ち着いて聞いて欲しいんすけど、君は死にました」


 知ってる。


「ですよね、あー……ここでもうちょっと驚いてもらう予定だったんすけど」


 最期に見たのが粉々になった自分と相棒の体だったんだからそりゃあね……こんな状況じゃなきゃ胃の中身吐き尽くしても足りないくらい動揺してたさ。


 ……そんで、傷をえぐりたいだけかい?


「す、すみませんそんなつもりは……」


「……でも本当、ハリガネさんはよく頑張ってくれたと思いますよ…僕がここに出てくるだけの勇気をくれたんすから」


 ……今褒められたって慰めにしか感じないよ……誰も助かってないのは変わらないんだ……誰も……お嬢ちゃんはレプンカムイと一緒だし大丈夫かな?


「ええまあ生きてはいます……ただもうじき廻るんである程度余波は受けちゃうっすけど…」


 ……そっか……生きてるならいい。


「……本当に大切なんすね、家族が」


 ハリガネさんが今生きてる理由さ……ああ今死んでるわ。


「自ら傷えぐってません!?」


 うるせえ!!自分でいじってる分にはマシなんだよ!


「君が楽になるならいいっすけども……」


「続けるっすね……君には道が2つあります」


「君達がこの国に来る前に戻して進路を変えること」


「同じく君だけをこの国に来る前に戻してそこから僕と共にもう一度この国を救う」


「正直……後者だと嬉しいっすけど…君にそれを強要することはないっす、君に対するメリットが無いんで…」


「でも……あの国の惨状を見て、その上で君が何かしたい(・・・・・)っていうなら……!」


 いいよ、やる。


「あっさりっすね!?」


 本当にメリットなければやんないんだけどさ……友達がいる国だから。


「友達……ハヌマンとマハーデーバっすか?」


 ハヌさんとシャルヴだよ。


 ……1人はぶっ飛ばしたし1人にはぶっ飛ばされたけど。


「……容赦ねえなって思ったっす」


 見た目がかなり違ったから拳に躊躇いとか無かったよね……


「……ハヌマンは、祭りが好きで……民草とも関わりが深い神でした…ちょっと調子に乗るところはあったっすけど」


 ……可愛い人だよ、チョロくて…優しくて……私が死にかけた時は手足ボロボロにしながら助けに来たしね……


 シャルヴも、私達皆の教え子みたいなものだし…拾った子とはいえ本気で助けてやろうと思ったんだ。


 ……その割にはハヌさんはボコボコにしたしシャルヴには一瞬だけとはいえ本気の殺気を向けたけども。


「何でさっきから人が言わなかったことを自分で言うかな!?」


 しかし随分と私たちに詳しいのね、見てたの?


「……はい、見てたっす…ずっと、君らがこの国に入った時から」


 ……何の手助けもせずに?


「うぐ……僕だって今回のことは賭けなんすよ……でもすんません、実際何もしなかったのは本当なんで……」


 ……まあいいよ…そんで、私に何をしろっての?


「うーん、ここで説明したっていいんすけど、仲間がいるなら後でも構わないっすよ」


 ……そうかなら、私だけ聞いときたいことを聞こうかな。


 君達をそうした(・・・・)のは誰だ?




「……どこから聞きたいっすか?いや…全部話しましょうか……君には全て知っておいて貰った方がいいっすね…」


「……最初はヴァースキ……バスキン国王の神体が何者かの奸計によって正気を失いました」


「僕は維持と調和を司っていたんですぐに気付いたんす……だからこそ真っ先に殺られちゃったんすけど」


 その何者かってのは?


「……今の僕の権限じゃそこまでは……て言うか誰もそこまでは言えないと思うっす」


「ただ1つ言える……どの神の間にでも共通の認知だった物……それが蟲っす」


 蟲かぁ……そこでかぁ……


「はい……やっぱり知ってたっすか…」


 少し前……いやこっちじゃ3年ちょっと経っちゃってるけど1回やり合ってるよ、その時も神様に取り付いてたね。


 そんで多分、私もその一端に関わりがある気がする。


「まあ見た目がそうっすもんね……」


「ただ、君にあいつ(・・・)程の嫌な気配は感じないっす……だから声かけたんすけど」


 あいつ程ってことは若干はあるのね、嫌な気配。


「うっ……いや…まあ…その」


「……すんません、ちょっとだけ邪悪な心を感じてるっす…」


「で、でもそれはその…僕の調和を司ってる観点的に今ある状況をぶっ壊す的な…良い意味で!良い意味で邪悪なんすよ!」


 ここって私の精神世界なんだよね?ならここでくらい人の体にしてくれてもいいのに。


「聞いて!?気を使ってるんすよ!?」


 いやまあ、ハリガネさんってどうやら呪われまくってるみたいだしそもそもまともな生き物じゃない事くらいはわかってるのよ、それを今更言われてもね。


「達観してるっすね…」


 多分まだ心が追い付いてないだけだと思う、現実を直視したら壊れちゃうから絶対前は見ない事にしてる。


「違う壊れかけてるだけだこの人!」


 それで?その後何があった?


「……元々野心が強かったヴァースキが正気を失って猛毒…スラー酒と呼ばれるものを神々に飲ませ始めたんす…それどころか人間にも」


 スラー酒とな?


 ソーマとかいう植物云々は?


「それはヴァースキが神々にスラー酒を飲ませるための嘘っす……民草にはソーマとして広まってるっぽいっすけど」


 ほーん…どっちにしろさっぱり知らないんだけどさ。


「まあそこら辺はいいっすよ、重要なことでもないんで……問題はスラー酒を飲んだせいで元々荒くれ者もいいとこだった神連中のたが(・・)が外れたことにあったんす」


 なーんとなく予想はつくね。


「…殺し合い(・・・・)っす、厳密には弱体化した権能(・・)を奪いながらいい所をかっさらう…そんなやり方でヴァースキは神々を殆ど(・・)皆殺しにしたんす」


 ……汚ねぇやりかた、嫌いじゃないけど。


「でも……問題があったんすよ」


「この国には『創造神 ブラフマー』が居たんす、創造の権能はいくら弱体化させようがヴァースキごときには打ち破れない……」


「そしてヴァースキはこの国の最強と呼ばれた『破壊神 マハーデーバ』……力は理解してると思うっす」


 まあワンパンされたもんね。


「彼にもスラー酒を飲ませたんす」


 やっちゃったかぁ……


「ええそれはもう……とんでもねえ事に…」


「ですがそれによってヴァースキ自身も命を落としてますが……わかるでしょう?この国最強の神の暴走……この土地ごとすり潰されましたよ」


 そうかぁ……おん?君は?


「僕はまあ……」


「あー……これ話した方がいいっすか?転生云々含めて皆さんに自己紹介する時にでも…」


 ……まあいいや。


 ……ねえこれ私皆に何があったか説明しなきゃ駄目?どこまで戻されるの?


「あ、いやそれは……マスクの方の娘さんはポイントが若干足りてないんすけど……ハリガネさんのポイントを譲渡することで何も失わないで転生できるっす」


 お、散々食ったかいがあったね。


「それから神のお2人は……僕にはどうにもなんないっす、恐らくある程度のポイントは引き継げてるとは思うんすけど…」


 そうかぁ……ついでに何かハリガネさんにオマケとかできないの?パワーアップとかまでは言わないけど……


「……あんまやると僕が危ないんで、オマケのプレゼントは僕ってことで納得して欲しいっす……」


 ……まあいいだろう。


「っす……それじゃあ、心の用意ができたら廻るんで……いいっすかね…?」


 あ、ちょっと待って。


「まだ何かあります?」


 グラさん……私の相棒の状態ってどうなるの?あの子がいないと私なんて焼き魚といい勝負な弱さだよ?


「調理済みの物と…?せめて生きている物と比べて欲しいっす…」


「心配しなくても相棒さんなら大丈夫っす……ていうか半分以上同化してるんで例え嫌でも着いてくるっすよ」


 それがいいことなのかは取り敢えず考えないでおこうかな…… 


 うし、いいや……やり直せるならとことんやってやろう、強くてニューゲームだ!



「っす……では」




「踊り巡れ…『輪廻転生(リンカーネーション)』」

1日遅れの更新よー!


最近花粉がすごいですわね、肩パッドは花粉症じゃないけど周囲が死にかけてるので恐怖を感じてますわ。


さて、近々新しい事に挑戦しようと思っていましてな、朗読配信とかどうかなと思ってますが、こんなんやってみてくれ!ってのがあったらまってます!

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