GAMEOVER
{あ……圧倒的ぃぃぃ!!!}
{会場内に突如として出現した怪物が、あれだけの人数に群がられながらもそれ等一切を寄せ付けぬ戦いぶり……いや!!喰いっぷりだぁぁぁ!!}
{…………ど、どうするんですか王よ……これじゃ…}
放送席揉めてんのかな?まあこんだけ番狂わせ起こせばそれもそうか。
「……だいたい食った…かな……あん?あ、あ、本日は晴天なり……喋りやすくなってら、慣れた?」
と言うか口周りの甲殻の下に新しい顎ができたって感じか?ちょっと重さで引っ張られはするけどこれは中々楽で……こういう感覚でグラさんは自分を改造したのかね?
「ねえこれこの後どうすんのー?私優勝?そっちの端っこに居る奴等は身内だからやり合う気は無いよー?」
{あ、あー……少々お待ちを!!}
運営側混乱極めてるねこれ。
食いも食ったり……3桁は余裕で越えてるな。
強い奴…それこそブブレベルの奴なんざそこまで居ないからわからないけど、強い奴ほど美味いみたいなのはありそうだよね、栄養も豊富っぽいし。
しかしこんだけ食べてもまだ起きないかいグラさん……
{旅人よ、余だ、バスキンである}
あら王様、さっきの一言のおかげでランチバイキングがシュラスコレストラン形式になってくれて楽だったよ。
{……うむ、良くぞ戦った…腹は満ちたか?}
「……全然足りねえよ、そこの席で見物決めてる奴等も引きずり下ろして並べてくれや」
せっかくだからヒールムーヴしとこ、こんな事絶対グラさん言わないだろうけど。
{……そうか……では……}
{この国の生命全てを貴殿に献上しよう}
言ってみるもんやな……いや違う、それ超困る、て言うかお嬢ちゃん達とかも巻き込まれかねないじゃねえか。
「あー、さっきのは言葉のあやと言いますか……」
{この国の民を献上し、貴殿に見返りを求めたいのだ}
ほう?この国全部投げ出す判断を王様がするとは中々だけど……それに見合った見返りとは一体何を要求されちゃうんだ私達は。
「……ものによる、我に何を求めるつもりだ」
{…これから現れる者を…殺してくれ}
「ぐっ…あぁぁぁ……!!」
「シャルヴ殿!」
まずい……どんどん苦しむ声が大きくなってきている……何だ?毒…いやそんな物が入ったような傷は……それに熱も何も無い。
「これは……まずいかも知れないね」
「何を言っているんですかハヌ殿、すぐに治まります…そうでしょう?一時的な物ですよ……そうです、船に戻ればあの薬だって」
「違う……わかるんだ、もうじき祭りが終わる……アンタが言うにはさっきまで大暴れしてたのがハリガネだってんだろう?なら…さっさとこの場を離れた方がいい」
「どう言う……ことですか?」
「……祭はあくまで人の祭だ……どこまで行ってもそれは人の催し物、最初っからこれは……アタシ達が許しを乞うための戦いだったんだ」
ハヌ殿…?これ……本当にまずい予感がしますね。
「ふむ、よし……逃げましょう、お二方…港まで引けばレプンカムイ殿と沖合いまで避難できます、父さんは……今の父さんが本当に暴食王を呼び出そうとしているなら誰にも止められないでしょう……」
「……アタシとシャルヴは無理だ…」
「何を言いますか!腕を怪我しているとは言え儂なら2人程度担いで逃げられます故心配なさ」
「無理なんだよ…!!」
「……思い出してきた……アタシは…アタシ達はこの国に、神に呪われている……失敗してたんだ最初から……」
「逃げ出す事なんて……最初からできなかったんだよブレ公……」
「この国は……何回繰り返そうとアタシ達を許しちゃいないんだ…!!」
「あ…頭のながに……僕以外の声があるんです…!」
「…アタシを殺してくれ……頼む…人のまま死にたい……」
これは…
「あぁあああ!!ブレ…ざん…!!僕…も…もう……!!」
何が……何が起こっている……
『……こらアカンわ、坊とそっちのねえちゃんははもう助からへん……』
何を言っていやがりますかこのタコが。
「黙ってなさい、これくらいレプンカムイ殿に見せれば……」
『ちゃうねん……儂、この国にずっと居た言うても崖際にへばりついとっただけやから……具体的な事は1個も思い出せへんのやけど……この国はもう終わりや』
「ぽ…ポリプ…シオン……ブレさんを…まもっで……逃げで……!」
「ああ……くそ……こんな筈じゃ…嫌だ……忘れないで……アタシを…忘れないで…」
「ハヌ殿顔が…!?」
これは…猿……?
『気が済んだんなら逃げんで!早う儂の柄持てや!』
くっ……
「ハヌ殿、シャルヴ殿…すぐに戻ります、必ず……」
ミリア!!聞こえていたら会場の外まで避難しなさい!船で落ち合いましょう!!
「王様がそんな大量の生贄捧げてまで殺しの依頼って……随分また物騒だね」
{……そうせねばならぬ程の自体なのだ}
でも詳しいこた教える気はありませんってか……何が来るんだそもそも。
「……で、誰を殺ればいいわけ?」
「キャキャ!……俺様だよ」
え、ハヌさっ!!?
がっ……うっそでしょ…!?甲殻が破れた!?
「ぺっ…ご挨拶だな全く……ハヌさん…じゃねえな、誰君…」
うちのセクシー踊り子はそんな毛むくじゃらな顔してなかったぞ多分……神様か、ハヌさんに宿ってた。
「……誰…だと」
「そうか、そうか……ならば二度と忘れぬよう刻んでやろう…」
あの構え……風か……やべ!?
「き…効いた……随分威力上がってんじゃん……結構巨大化してるはずの私を壁まで叩きつけるとは……君の風はもっと攻撃にしちゃ頼りない物だったろうに」
「……『神猿 ハヌマン』だ、二度と忘れることは許さぬ、虫ケラめ…」
「初対面だよ…多分ね」
さて……まずいですねこれは。
まず敵は推定ハヌさん……だよね?顔変わりすぎてわからん、猿人って冬毛であんなんなる事あるとか?この国バチバチに夏日だけど。
いやてか骨格から割と……どうみても猿だわな、先祖返りにしても乱暴すぎるだろ。
「ちょ、ちょっと待った……君私の事覚えてないの?」
「……ああ、知らねえよ」
「マジか……凹む…」
結構長いこと一緒に居たし冒険も共にしたってのに忘れちゃったのか……もしくはマジで別人なのか。
……でも身体付きはハヌさんだよな、あの滑らかな腰付きとか長い脚とか……うんやめよう、グラさんがいつ起きるかもわからん。
「……うーん…無理だ、仲間は攻撃できんわ……」
お手上げだね、仕方ないのでハヌさん改めハヌマンさんが疲れるまで防戦一方で行こう。
「そうかなら……『暴風の寵児』…一思いに送ってやるよ……次は頑張れや」
風をドリル見たく手元に圧縮……そんな器用な事できたの?
「……じゃあな」
相手が避ける事を想定してない真っ直ぐな手刀……私の降参を信じて疑わないからこそできる技だね……よしここだ。
「『強制停止命令権LV.10<EXTEND4>』」
「……ふう、この毒霧…最近散らされて防がれたばっかでな、どうやって当てるか考えてたとこなのよ」
攻撃が自分にあたるギリギリまで引き付ければ問題なしと……ビビらなきゃ当たる前に止まってくれる。
「……うちの子が私の降参をそんな簡単に聞き入れるかよ、降参って言葉が口から出たら総攻撃の合図なんだぞ我が家は」
ろくでもない家だな、決してそんなことは無いけども。
「……そんじゃ、一発は一発な…『無双腕・百LV.10』」
一発目は軽く気を失わせる程度……硬いな、いいや、ある程度強めに殴ろう。
とは言え殺してしまわないように……脳が揺れて内臓が引き攣る部位を重点的に狙っておこうか…うん、相手が止まってるからできる所業だね。
止まってるが故に後ろにも吹き飛べないし前に倒れることもない、そして痛みに叫ぶこともできないが…しかしダメージとエネルギーは体に溜まり続ける……エグい技だよ、こんな物を老人に使おうとした奴が居るんですって、防がれたけど。
そろそろ効果時間切れ、そうら溜まりに溜まったエネルギーが吹き出すぞ。
「よし、ハヌマンさん」
「……じゃあな」
お空の星になーれっ☆
……場外まで飛んだね、あれが実際ハヌさんが何らかの理由で変化した者だとして……血も涙もないとか思わないでねグラさん、加減してるから、死んでないから……
「……あれそういえばこの国……と言うかこのステージのボスキャラって今のハヌさん?あんまり世界救った感じは無いけど……」
グラさんを助けることに必死で色々忘れてたのは内緒だ。
「……バスキン殿下!聞きたいことがある」
{…………!!}
「何てー!?ゆっくり喋らないとその手の機材は音が重なっちゃうよ…!!」
あ……後ろって言いたかったのね。
「よう、シャルヴ……いや…初めましてかな?」
「…………なあ、その手に握ってんの、もしかしてうちの娘?」
「見覚えのある刀……血に染ってほとんどわかりゃしないが見覚えのある髪色、それに無骨なマスク……ただ唯一見覚えがないのはその形……酷いな、まるで焼く前の肉団子だ……君が殺したのかい?」
「……あ」
そうかい、くたばれ。
「『無双腕・百LV.10』」
加減はしない、すり潰してやる。
「『魔王の吐瀉LV.10』『加速LV.10』」
ふざけるな。
ふざけるなよ、お前。
「どうして殺した?そいつが……娘が君に刃を向けるわけはないんだ、つまり君は……無抵抗や娘を殺した事になるな?」
やたら硬い、けど関係ない…たらふく食べたからね。
1しか削れなくてもHP0まで殴れば死ぬだろうがよ。
「ふざけるな、ふざけるなよ……」
完全とは言えないけどグラさんもかなりパワーが戻ってきてるわけだし…そろそろいいか。
「『更に先……」
…………ぁえ………
あれ……体…動かない……体………
私の体、どこ行った?
「うあー……やっぱ彼でも駄目っすか…不完全とは言え魔王の身体が一撃で粉々のばらばら……やっぱおっかないっすね、『破壊神 マハーデーバ』」
「……うん、でも……これだけやれるなら資格はあるっす……」
「ナイスガッツっす、ハリガネさん……休みましょ、まだ時間あるんで」
だれ………き……み。
「んー…また後で言うっすけど…『調和神 クリシュナ』っす……」
……だれ……それ…
「えぇ…………あ、死んだ」
やあ皆、Twitterが復活した記念投稿だよ。
嬉しいですね、もう掌くるっくるよ。
しかし今まで皆様とメインで交流を取っていた質問箱が今回の凍結の原因と言われているのが若干怖いため、一応Twitterと質問箱の提携を切らせていただきました。
じゃあこれから質問どないすんねんってなるよな、私もそう思います。
取り敢えずTwitterのDMは解放されているので誰でもお気軽に質問等送っていただけると嬉しいです。
それでは今週もありがとうございました〜!




