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らしくあるために

 さて……ぶっちゃけ私人型の敵とマジバトルって初めてじゃない?傲慢王の時は戦いにもならんかったし。


「おらどうした、来いよ、やるんだろ?」


「いやー、その…人型と戦った経験に乏しいものでいまいちどうしたもんか…」


「そんなもんは身体で掴め、来ねえならこっちから行くぞ…!」


 急接近からの右頸部を狙ったややゆっくり目な切り降ろ……左!?


「…あれ……今そっちから振ったっけ?」


 おかしいな…受けるまでは右腕側に剣先が向いてた気がするのに…当たったのは左肩?


「お前さん、喋ってる暇あんのかよ」


 間髪入れずに右脚…なら左あ…右に当たるんかい。


「ちょっ、ちょっと待て爺さん、よく分からん攻撃をするんじゃないよ…ふんぬ!」


 くっそ当たらねえなちくしょう!


「ずるいぞジジイ!!」


「ジジイになったら皆ずるくなんだよ若造」


 …治るとは言えそう何度もサクサク斬られてるのはヤバイし…単純にグラさんの身体にそんなに軽く刃物を突き立てられるのもヤバイ、甲殻が無いとは言え筋肉装甲はある程度健在だぞ。


「少しくらいタネ教えてくれてもいいじゃない、ちょこっとだけ」


「泣き言言ってんじゃねえよ、殺しあってんだ、タネは手前で見つけな」


「うーんと言ってもな……」


 パターン1、そう言う技術……例えば攻撃にわざと緩急を付けることで早い動きの対応に慣れた私に不意打ちをかましてる。


 ……違うかな、それなら正直当たる瞬間でも対応出来なくもないし。


 パターン2、じゃあタコみたいに見えなくなってる何か……尻尾とかがあって攻撃してきている?


 それなら気配とか動いた時の空気の流れで気付けるか、やっぱ当たった瞬間(・・・・・・)に当たった場所とは別の位置にダメージが発生してる……


 パターン3、そう言うスキル(・・・・・・・)


 この世のわからないことは大抵の場合スキルで解決出来る、現実はトンチンカンさ。


 ただまあ正直に言おう、確かに彼の攻撃は私…と言うかグラさんに当たる。


 しかしダメージ(・・・・)はかなり少ない物だ。


 いやまあ、今まで戦って来た相手が化け物揃いだし直近に相手したのがあのデカタコだからね。


 つまりは、あの規模(・・・・)の化け物の攻撃でやっと危険にさらされるレベルなんだグラさんのHP(体力値)は。


 防御力が今は下がってるとは言え途方もない体力を削りきらない限り切り傷なんて即座に修復される、それにさっきから受けている感覚だと恐らくこのジジイにグラさんの骨を切り落とす程の攻撃力は無い。


 さっき真っ二つにされかけたのだって加速中の勢いのまま剣に突っ込みかけたからだしね、今受けてる攻撃にしろ避けられこそせずとも避ける必要が無い(・・・・・・・・)程度の物だし。


「ちょこまか動く…な!!『強制停止命令権LV.10<EXTEND4>』」


 大分疲れるけど周囲丸々埋めてやりゃあ防げないだろうよ、流石に。


 まあ……フラグだわな。


「何だこりゃ…毒ガスか?こんなもんまで飛び出すたぁ…まるでおもちゃ箱だなお前さん」


 ジジイてめえどう言う原理でガスを斬ってんだよ…!?


「今の…結構疲れるから少しくらい効いてて欲しかったんだけどね……」


「おーおー、食らったやつがピクリとも動かねえ…不思議なもんだな、空中で止まってる奴までいやがる」


 ……まあそれに関しては理由良くわからないんですけども。


「悪ぃな、こんなすげえもんがまだまだ出てくるって思うと楽しくて仕方ねえよ、お前さん…運が悪かったと思ってくれや」


「はは…今からでも見逃してよ、後ろから攻撃してやるからさ」


「口が減らねえな、お前さん俺と出会ってなけりゃ一緒に酒飲めたのにな」


「どこで出会ってようがこんな怪しいジジイと飲むかよ……」


 うーん勝てるかこれ……?


 ……いや違う(・・)……最初から負けることは勘定に入れてない、ただここで時間を食わされた分だけグラさんボディの活動限界も早まっちゃうんだよなー……つまりそれだけグラさんは死に近づく。


「……おい、お前さん大丈夫か?顔色悪いが…」


「体力ねえんだよこっちは……虫けらに気を使って断食明けなもんでな…コンディションは最悪だし自分の存在意義もあやふやだわ……」


「……訳ありみてえだな、だが……戦士の戦いだ、見逃してはやれねえ」


「……もういいな?殺すぞ、悪いな…俺の前で啖呵切ったんだからそれくらいは仕方ねえだろ?まあ…お前さんなら次がある……」


 ……タネが読めない謎の技術、すばしっこくて当たらない攻撃…かと思えば範囲攻撃や遠距離攻撃は豆腐みたいに斬って捨てられる…となると……




 違う(・・)……違うだろうがよ私!!




 まだ分からないのか私は!!こう言う相手だからこうする、こう言う相手にはこうする、それが暴食王の戦い方か!!


 私がそんなんだからグラさんがこんな目に会うんだろうが!!


 考えろハリガネムシ……いや!考えるなハリガネムシ!!


 グラさんが……暴食王(グラトニカ)がそんな利己的に戦うか!!歩く災害、永遠に戦い続ける世界への自浄作用…それがグラさんだろがい!!


「お、おい…どうしたお前さん」


 今グラさんを助けるのは…グラさんであること。


 私のためにグラさんらしさ(・・・)を捨てちゃったんだから、私がグラさんらしく振る舞うこと!!


 そうとなれば!!


 ……いやどうすっかな…あれ(・・)はまずいか……でも正直精神論や気分の問題でグラさんが回復するならそんなに困ってねえし……ちょっとだけ…きっかけになる程度だけならいいかな……ほんのちょっとだけ…


 ……うーん、よしグラさん……断食明けの1口目はせめて特別な物を用意してあげようね。


 いやぁ……後で怒るだろうなー……やむを得ないか。


 あー、怖……わかっててもやりたくないわこんなん……



 『削ぎ落(ギブ・アンド・)とす命(ギフテッド)』代償は私の生命維持に必要な重要器官を除いた体積の半分、持ってけ泥棒。


[アクティブスキル、『削ぎ落とす命』の使用を確認]


[切削量、承認]


[……汝、己が身を削った先に何を望む]


 よ…つ……友との再開。


[……承認]


[通行料(・・・)は、前回の分と合わせて計算してやろう]


[己が身を大切にしろ、この世に万能の力など無い]


[二度と会わぬことを願う、汝の道に幸多からんことを]


 前にも会ったっけ……誰なんだろ。


 ……あがっ!?


 あ…頭…が……割れそう(・・・・)だ…!!?


「…ぐ…っあ、あぁぁぁぁぁ!!?」


 何っだこれ!?…くそ…まずったか!?


「お、おい!…どうし……」





「ぷふぁあ…」

「…あ…?」


 



 ……何…だ。


 今…どうなった?頭がむず痒くて掻きむしって…収まって……何か……




 美味しい(・・・・)

祝日なのでゲリラ更新よー!!


本当に不便すぎるのでファン交流用のdiscordサーバー作ろうか悩んでるレベルなんだよね、ここでの質問コーナーもできなくなってるし。


何かご意見あれば感想におねがいします。

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― 新着の感想 ―
[一言] よ…つ…って嫁と妻だったんか! わっかんねえわ!
[一言] 世界から配偶者て認知されてんのに友って言うの罪深いわ
[一言] 通行料は新たに追加されたんかな 過去分も遡って徴収出来るようにしとるんやね 何払わされたんか気になる あと一番気になるのはハリガネサンが最後に何食ったかってとこよね
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