なら拾うために求めるよ。
「『嫉妬王』の権能…だね」
嫉妬王……名前的にグラさんや傲慢王と同じ大罪シリーズの1人か。
「それは…その者が攻撃してきた…ということですか?」
「いや?それはないね、有り得ない」
「ほう、そりゃまた随分と物知りだね……ハリガネもグラトニカも知らない事をアンタが知ってるってのかい?オレはアンタがちょくちょく姿を消しているのも気になっているんだけどねぇ?」
まあそれは私も何してんのかは気になるけども、実際聞いても教えてくんないし。
「……やめよ、レプンカムイの実力であれば搦手など使う必要が無いことくらいわかるであろう」
「ごめんごめん、ちゃんと説明するね……あー、『嫉妬王』は死んだ、だから本人の呪いってわけじゃないんだね」
大罪シリーズって死ぬの!?
「ちょっとごめんね、ハリガネさんです……えっと、つまりどういう…?」
「そうだね……まず先代『嫉妬王』は僕の古い友達でね、皆からレヴィアって呼ばれてたおっかない人だったんだけど……どうやら最近死んだらしいんだよね」
……あの時の大切な人ってそれか。
「……レプンカムイ様の昔からの友達で、グラさんと同じ魔王……そんなの死ぬの?」
「そこが問題なんだよね、少なくとも軽々しくあの人に勝てるような生き物を僕はそう多く知らないんだね……何せ1人で他の海で暴れる子を叩きのめして回ってた人だからね」
「……自殺……?」
「それこそ有り得ないね、いやそもそも……あの人自身も決して殺せるような存在じゃないんだね、僕でも無理だと思うしね?」
「レプンカムイの火力でも無理な存在なのか……考えつく存在で勝てそうな奴いる?」
「うーん……色んな神が纏まって戦争を仕掛けても怪しい……となれば主神クラスかね?」
「……レヴィア……あ、もしかしてレヴィアタンか!?」
「レヴィアたん……ああ確か彼女を崇拝する者の中にそんな呼び方してる人もいたね?萌〜とか言う奴だね?」
「いやそれ大分違……え、そいつ転生して来た人…?」
もしくは萌文化存在する国とかあるのだろうか、『永世偶像崇拝国家アキハバラ』とか出てくんのか?出てきてたまるかそんな国、もれなく全員ステレオタイプのオタクしかいなそうだぞ。
「まあ理由はわからないけど亡くなったとして……それが何でグラさんに?」
「……それは我が説明する」
おっと……操作権の戻りもスムーズで何よりだよ。
「元より我はこの姿となった時に多くの権能を削ぎ落とした……それは話したな?」
「……元々はムカデって言ってたもんね……未だに信じられないけど」
「まあ…儂等は噂と抜け殻の残骸しか見ておりませんからね、出会った時点では既にグラトニカ殿の姿でしたし」
「この姿は…『暴食王』の名を表すには対極と言っても良い程にかけ離れた存在なのだ、そもそも……物を喰らわぬ暴れもせぬ、そんな『暴食王』の存在をどうして世界は許していられる?」
「つまりだ……知っていたのだ我は、己の力が無限では無いことなどな、弱体化程度は受け入れるつもりであったがまさかこうなるとは思わなんだが……」
「だったら何故……」
「……不思議とハリガネムシとならそんな物も乗り越えられる……そう思ったのよ、甘くも無かったがな…」
御期待に添えず申し訳ないね。
「構わぬ、元より我の選んだ覇道……汝を巻き込んでしまった事はすまんと思うがな」
一蓮托生だったろうに、今更そんなことで謝んなよ……今生の別れでもあるまいし。
「『暴食王』では無くなりつつある所に強い嫉妬の気持ち……無理が祟り物事が重なっただけの当然の結果よ」
「……しかし、こうも早くに言うことを聞かなくなるとはな……仕方ない、汝…我以外の者を使う事を許そう」
待て待て待て、何を急に自分の終わりを意識してるかね君は。
ハリガネさんやむを得ない状況以外で他の人に寄生する気無いからね?そもそも私が君無しで生きていけると思ってるのかい?
「汝ならばそう言うであろうと思った……だがこれではな……いっその事本当に『嫉妬王』にでもなれば…」
はっはっは、君が死ぬかよ……無敵の『暴食王』が情けないこと言ってんなって。
君は殺しても死なないどころか神様や仏様……それに長老級にだって勝ったんだからね。
国の立て直しも手伝ってたみたいだしお嬢ちゃんだってこれからまだまだ大きくなるし……この祭りが終わったら一緒に修行して強くなるんだろう?
そしたらさ、今度はあんま国とか首突っ込まずにフラフラ旅でもしようよ、ハリガネさんの人間化なんて後で良いんだからさ。
ねえ……大丈夫だって言ってよ……
「かっか……いつもならその言葉も心地よいが……今はただ悔やむしか出来ぬとはな……なあ、汝……信じていいか…?」
…………うん、いいよ。
………
「グラさんはまた寝たよ……レプンカムイ、これからどうしたらいい…?」
「……それが前例が無くてね、1度『暴食王』として認められた存在が『嫉妬王』の権能を得かけている……本人のリソースがもう少し多ければ良かったんだけどね……」
「リソースか……うん、わかった」
「悪いレプンカムイ、頼まれごとしてくんない?」
「別に構わないが…何だね?」
「『嫉妬王』関係の事を探っておいて欲しい、君の家族である私達と、そんだけ強い君の友達……こうなったのは偶然な気がしない」
「成程……ハリガネさんはどうするのだね?」
「……初心に帰ってみようかなと」
合わせて貰ってる期間が長すぎたね、グラさん。
最初からそうだったじゃないか、私が今してるのは『寄生』じゃないしさ。
はははは、そうだ、そうだった…私は魔王の配下じゃないか。
「………よーし、それじゃあ明日の祭に備えて身体休ませないとね!」
「それからお嬢ちゃんは明日祭を見るのを禁止する、船で大人しくしてなさい」
「……ハリガネさん?」
「明日のハリガネさんはちょっと君には見せられないからねー、まあ安心して待ってなさいな!サクッと終わらせて来ちゃうからさ!」
「ハリガネ…アンタちょっと落ち着きなよ、ミリアだって…」
「いやまあシャルヴとハヌさんには見られちゃうけどさ…ハヌさんは大丈夫だろうしシャルヴは見た目程子供じゃないだろうからセーフってことでいいよね!」
「いい加減になさい…!」
「……ミリアを大切にしてくれているのはわかります、ですが……家族ならば誤魔化さず言ってください…グラトニカ殿を助けたい気持ちは貴方と変わらないのですから」
「……て言うか、何する気か読めるのに誤魔化しても無駄……守りたいものは1つずつ考えなよ」
……それもそうね…ハリガネさん今自分で思ってるより冷静じゃないみたい。
「まずは落ち着いて、その上で聞いて…………やりなよ、余計なこと考えずに…ハリガネさんは正義の味方じゃないでしょ……私、別にハリガネさんが何人殺ってようが気にしないから」
「そうですよ、と言うか……3年も放置していたのに今更末娘の情操教育に口を出しても何も説得力とかありませんし」
「ブレ子の火力が高い……でもやっぱり見られたくないものなんだよ、申し訳ないけどね……それはきっとグラさんも同じだと思う」
「そう……わかったよ、私は気にしない…けどハリガネさんがそう言うなら聞いてあげる、だから……無理して」
「……逆じゃない?」
娘から無理を強いられる事あるか?
「だってどうせ無理すると思うし、それなら思いっきりやって……グラさんも、ハヌさんも、シャルヴも、この国も助けて……それでまた皆で帰ってきてよ」
「ハリガネさんが配下なら私は魔王の娘として、それを見届けてあげるから」
「……どう?気合い入った?」
…………
「……アタシ等が含まれてないのも腹立たしいが、まったくアンタは本当に1人で突っ走ろうとするとこがあるね……あの洞窟の時から着いていくって決めたんだ、自棄になって置いてくんじゃないよ」
「……あ、あの…僕も皆さんに助けられて……本当に良くしてもらって…今度は僕が返したい…です」
「ハリガネさん、君は君が思ってるより自分を大切にできてないね……1人で抱え込んじゃ駄目だよね……話さなきゃ、じゃないと僕も家族だって呼んでもらったのを返せないじゃないかね」
「右に同じく……いえまあ父さんがグラさんを助けるのは私の仕事だ!つて言いたいならばお任せしますがね…両親の惚気とか見たくもありませんが…」
……………
「……皆ありが[特殊実績解除]
……空気読んでくんねえかな。
アナウンスさんは空気を読まない。
Q.グラさん寝てたん…?
A.まあ扱い的には寝てたに近い。
Q.グラさんのサブストーリーが読みたいです
A.結構この意見多いのよね、その内やると思う。




