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ステゴロ最強は皆一度は憧れる

 港から離れたとこにそれはそれは豪華な……人力車(・・・)があった。


「……何のつもりだ、これは?」


「は、何と言うと…?」


 落ち着こう私、この程度のこと察していた筈だろうよ、クレバーに行こうぜ。


「何のつもりだ、と言っている…このような痩せ細った非人を馬の代わりに使って我を宮殿までだと…?日が暮れてしまうではないか」


「ご安心ください、皆我等が王の宝物(ほうもつ)のために軽々と命を捨てる者共です、それに代わりはいくらでもおります……文字通り命尽きるまで全速力で動きます」


「……いらぬ、離してやれ」


「……旅人殿、何か勘違い(・・・)をなさっているのではございませんか……?」


「彼等は己の意志であそこに繋がれているのです、それに……バスキン陛下の私物にあたりますので解放するのは…」


「……二度言わせる気か?(・・・・・・・・・)


「貴様こそ我の言葉を読み違えている…あー、ナーガだったか?」


「はい……と、言いますと?」


「力が見たいのだろう、我は早く済ませたい……どれ、我がこの車を引いてやろう」


「お待ちを、20体で引く車を一人では無茶かと…」


「……人の言葉を繰り返させるのが好きな奴だな貴様は」



「二度は言わぬ、座っていろ(・・・・・)


 さあて、奴隷達を解放しちゃおうねっと……


「お戻りください旅人殿!」


 さて……宮殿の場所はざっくりしかわからないし道を外れないように行かないとね。


 何せ道を外れたらグラさんは金髪になって授業もサボって退学した後路頭に迷うに違いない。


 ………………


 ……マジでさ、私が悪いのは認めてるよ…でもそろそろ会話くらいしてくれないと祭に影響出るって……


 ……………


 そうかよ、じゃあもう好きにして。



 ………そんなに怒らなくていいじゃん、会話くらいしてくれてもいいじゃん……寂しいんだよ。


 ……………


 もー…………グラさんのガキめ!!


 もう知らん!!祭だろうが神だろうが私だけで倒してやるよこんちくしょう!!


 あー!!くそ!!一人になる時間もねえ!!全部聞こえてんのは知ってんだよ!!


 そんなヤキモチばっか焼いてたら今後同じようなことがある度にこんな無視するのかい!?


 本当ガキだな!!私だってもう話しかけてやんないかんなバーカバーカ!!




 ……っと。


「もう着いたか……どうだ?速かったであろ……」


 ……oh…死屍累々。



「な……なんという膂力……訓練された我軍の者共が皆気絶してしまいました……」


 何人か減ってる上に残ってる奴等は軒並みグロッキーか、まあカーブとかも減速してないし横へのGは半端なかっただろうね。



「ふむ……だが貴様は耐えたか、正直な話誰も残らぬと思っていたよ」


「他とは鍛え方が違います故……」


「ふはは、顔色が悪いぞ」


「……お恥ずかしい」


「良い、さっさと我を案内しろ……勿論好きに見て回れと言うならそうするが」


 お、ナーガ君の顔色がもう一段回青くなった……まあ宮殿であの速度で走ったら終わりだよね、文字通り。


 

 わーお、目がチッカチカする。


 まあ沢山の人の死の上にできている物ってだけで綺麗なはずの装飾品もドブ以下に感じちゃうのは娘の影響だろうね。


「随分ギラギラとまあ、きらびやか(・・・・・)なものだな」


「……この国に来てすぐの方は皆そのような反応をします、しかし…皆様すぐに馴染みますよ」


「遠慮する、我はまだ人で有りたい(・・・・・・)のでな」


「………」


 顔に出るねー、営業とか苦手なタイプだろ君。


「……ここが王の間でございます……くれぐれも、不敬の無いよう……」


「ほう……機嫌を損ねれば貴様と戦えるのか…?」


「……御戯れを」




「親衛隊長ナーガ、只今お戻りいたしました」


 扉を開けるとそこには……以外なことに普通に人間の見た目だった。


 まあ確かに細長くてちょい蛇っぽい、えらく露出度の激しいスッカスカの布を着てるようだけど鱗が見えないあたり完全に人になってるのかな?


 まあ何にせよ今のタイミングで『拡張解析』当てるのは不可能だわな、今はまだタイミングが違う。



「ああ…戻ったかナーガ、して……そちらが例の」


「は、あの突如出現した巨大な魔物を葬り、その後現れた見た者の正気を奪う更に巨大な魔物を退けた御方でございます」


 んえ……あの半魚人(ダゴン)も私がやったことになってんの…?ハッタリが効きすぎちゃいないだろうなこれ。


「此度の召集、謹んでお受けいたしました……さて陛下、この私に何をさせたい(・・・・・・)ので…?」


「おお、貴殿が……いやはや礼を言おう、祭の開催にあたって我が軍は人員を別けていてな、あの規模の魔物の突然の出現ともあれば最悪の事態もあり得たのだ」


「滅相もない……釣りをしていた私に襲いかかってきたので夕飯にしてやっただけです」


「ふむ……貴殿、王国側(・・・)から祭に出るつもりは無いか?」


 ……そう来るか。


「……王国側から…?」


「ああ……本来であれば王国側……つまり政治(まつりごと)を扱う者の立場としてあまりに弱い兵士は出せぬ、故に親衛隊長の役職にいる者に出場させるのだが……」


レベルが低い(・・・・・・)と?」


 あ、このレベルは勿論システム的な意味じゃないぞ、そんなこと言ったら多分私が一番低いからね……


「う…うむ、その方…ナーガも悪くは無いのだ…しかし…」


「他にいる出場者に勝てる程では無い……ですか?」


「……ああ、その通りだ」


 参ったな……そんなやべえのか祭、これは一筋縄ではいかない。


「……ありがたいお言葉ですが、我はただの旅の者……祭を終えればこの国を去ります、それでは王国側として出ようとも説得力がありません」


 ていうか適当な奴を酒で従わせりゃ……いや王国側って言ってるのに常連の強キャラ出しても駄目か。


 待てよ……?親衛隊長のナーガ君がそいつ等に勝てないなら何で誰も腕力で王座から降ろさない?ゾンビ作る人とか噂に聞く限りじゃ国家転覆とか容易いだろうに。


 あ。


「……成る程、これは遊戯なのですね?」


「……何を…?」


「この国に来てからというもの、私は祭について様々な噂をお聞きしまして……王が決まるだの、神が現れるだの、転生するだの……」


「そんな眉唾物の伝説を流している張本人は他ならぬ貴方では無いのかと、言っているのですよ」


「……ああ、そうだ……」


「やはり、私の見立てでは……この祭は所謂陛下への挑戦権を賭けた戦い……そうではありませんか?」


「強き者を集め仕合せ、時には酒で人の記憶をあやふやにする……そうすることで陛下の退屈を紛らわせるための遊戯……なのでしょう?」



「……成る程、そこまで行き着いた者は久々だ、確かに我はこの国の誰よりも強い……故に相手が居らぬ」


「それ故外から(・・・)入って来た者を王国側に引き入れ戦わせる事で生き残れば我との仕合を……死ねば酒で皆を惑わせやり直す……」


「元より外から入った者ならば王国側の駒として押さえておけば死んだとて誤魔化すのも容易い」


「そして最後の気付きとして……貴方は恐らく神の類だ」



「……ああ……」



「ふむ……やりましょう、陛下」


「私が祭で他の者を圧倒致します、その後是非とも私との立ち会いを願いたい……勿論、死するまで」


「おお…それは本当(まこと)か?」


「ええ、神の拳に興味がございます…」


「感謝するぞ旅の者……貴殿は興味の無い話であろうが本当ならば国賓として扱いたい程だ」


「……では、1つ願いがございます」


「ああ、何なりと申せ…金か?それよりも最高の酒もあるぞ…?」


「失敬、酒は一滴も飲めないものでして……服を頂きたいのです、先の戦いで仲間共々随分と穴や汚れが目立つようになってしまいました…」


「そんなことであれば……ナーガ、好きな物を選ぶように案内しろ」


「は!」


「ありがたく頂戴致します……陛下」






「って言うわけで褒められついでに綺麗な洋服貰って、王様とコネ作ってきました、ほーれ早い者勝ちだぞー」


「……やった、嬉しい」


「こんな高そうなもの……怖くて着れません…」


「いやハリガネ…アンタ……それ本当なのかい…?」


「え?うん、気前良く色々くれたよ?ほらハヌさんにはこれとか似合いそう」


 宝石やらなんやらでキラッキラよ、問題は隠れる面積がえらく少ないから防御力は紙だと思うけど。


「そこじゃない!!その……祭が」


「はっはっは、何を仰るハヌさん……そりゃ急な事じゃ信じられないのはわかるよ…?」





「だって全部デタラメ(・・・・・・)だもん」



「……はい?」

やあ、ニ週間ぶり。


更新頻度上げたいけど中々そうも行かぬ現状をお許しください……決してポケモンやイカ等はやっておりません……


さて、Q&Aの時間よ。



Q.シャルヴがタコ剣使って乗っ取られたりとかしないの?


A.今の所はされない、ハリガネさんが怖いとか色んな状況があるからね。


Q.ブレ子の新しい名前は?


A.「脳喰丸って名付けたら本体狙って刺されたよ」


Q.グラさんって自分が恋愛対象として見られてる場合どんな反応するの?


A.『…困る』

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