タコとカニと召集令
まさかあのまま親方もぶっ倒れるとはね……まあ並べて寝かせといたから大丈夫だろうけども。
礼は明日改めて言えばいいかな、取り敢えず船に帰ろう……ねえグラさん?
『………』
……いい加減機嫌なおしてよ 。
「そんなわけでシャルヴの武器も手に入ったし…後は祭だけだね」
「それが一番キツイんだよ…何せ俺等の相手は前の祭を知っている奴等だ」
「強豪も多いみたいだしなるべく命大事にしてこうね、いざとなったらグラさんのユニークも使うし」
「アンタはそれでいいかも知れないけど、俺等はアンタ程は強くないんだよ?勿論負ける気は無いけど……正直乱闘じゃ何が起こるかわからない」
「弱気になんなよハヌ、この前言ってたヤバい連中にかち合わなきゃ大丈夫だって」
でも乱闘だからね、実際不安は多い。
「……そのことでお話が」
「おやブレ子……シャルヴのトレーニングはもう……良さそうだね」
……oh…ボロ雑巾みたいにされてる……こいつ明日には祭なの覚えてんのか?
「そんで……何の話?」
「個人的に……アブドゥルと言う者を斬りたいので儂に任せてはいただけませんか?」
「……ハヌさーん?」
「俺のせいにすんな、奴が否人に何してたかの触りしか教えちゃいないよ……そもそも気持ちはわかるんだ、それにこんな正義の塊止められねえよ」
んー……まあ確かに。
「……立場や力を行使して、己を通すのは構いません……強くあることはそういうことです」
「だけど、儂には我慢ができぬのですよ……子供が泣いていると聞かされて黙っているほど大人ではないのです……何よりコノハ殿が」
「……まあ、適役だとは思うしいいよ、実際私はお前の強さの底を知らないしね……ただ無茶はせずに頼むわ、グラさんがいくら強くても守りながらにゃ限度があるだろうし」
「心得ております……目標は殲滅ではなく全員で生き残る事が最優先です」
「そこがわかってりゃいい、ぶちのめしてやれ」
「……感謝します」
宿主のやりたいことはなるべく応えてやったほうがいい、仲良くすることはいいことだからね……コノハさんに今意識がどれだけあるのかは知らないけど……教えてくれないし。
「っうぅ……」
「お、起きた…おはようシャルヴ……こってり絞られたみたいだね」
「おはようございます……ハリガネさん」
「朗報だ、ほら君にプレゼント…ちょっと喋るが物はいいぞ」
頭の中に直接喋りかけられる感覚に慣れておいた方がいい、いつ寄生されるかわからないからね。
「わ…これ……凄い」
目輝かせちゃって……男の子は武器が好きだよね、無性別だって好きなんだから誰でもそうか。
「抜いてみてもいいですか…?」
「勿論…君のだ、大事に扱いなさい」
おお……構えが堂に入ってる。
「気に入った?」
「こんな凄い物……ありがとうございます」
〔坊っちゃん、大切にしてな?〕
「どわぁ!?喋!?え!?」
……まあ、その内慣れる。
「ふー……あのタコ殺ってから随分他の海域の奴等も来るようになったね、今日はカニだよ…誰か料理を頼むね」
「カニ!でかしたレプンカムイ!」
やった!凄く好きだった記憶もないし頻繁に食べてた覚えもないけど嬉しい!
……ハリガネさん人間だった頃もしかして貧乏だったのかな。
「カニ……昔良く食べた」
「お嬢ちゃんの実家ってそんな海近かったっけ?」
「……滝を登ってくる奴がいたの」
改めてあの国とんでもない生態系してるな。
「中々大きい……焼きですかね?それとも茹でますか?」
「バカ、生のまま齧るのがいいんだよ」
すげえ、カニ1つでチームが纏まってる……食は強いな。
「予想外に喜んでもらえてなによりだね、今夜はこれで1杯やって英気を養おうじゃないかね」
「おー!……って何だ?外に誰か……いや大勢来てるよ」
鍛冶屋の……違うね、何だろ。
「私が出る、念のためハヌさんも来てくれる?後は待機で」
「ああわかった……でもハリガネ、気配は…」
「すみません誰かいらっしゃいますかー!」
「大声を出さなくとも聞こえている……何の要件だ」
多分蛇側の奴等だね、外見は人っぽいけど……気配からして結構強い、兵隊かも。
「突然の訪問申し訳ございません、私ターハルを当地する王、バスキン陛下に遣わされたナーガと申します」
身体は細見、でもガッチリしてるし恐らくかなり強い……近衛とかかな?
「回りくどい挨拶はいらん、何の要件で我等を取り囲んでいる」
「は……砂浜に打ち上げられた巨大生物の死体及びそれに関与したであろう者として、我々と共に宮殿へとお呼びせよとの命令です」
「……断ったら?」
「……必ずお呼びしろとのご命令です」
「そうか……そうか……つまり貴様等はあのタコを仕留めた可能性のある我を、力付くでも連行してやろうと頭数を揃えてやってきた……そういうことでいいんだな…?」
「っ……!」
「おいハリガネ……」
「で、足りるのか?」
「……?」
「その程度の人数で、我を拘束するに足りると思っているのか……と聞いている」
ここでいくつかの称号をオンにしとこう、普段は獲物がビビって寄ってこなくなるからほとんど使い道なんてないものだけど……こういう時は役に立つ。
「お……恐れながら申し上げます…!我々は争いに来たわけではないのです!ですが我が王のお言葉はこの国においては何より強いものとなっており…異邦の方々と言えども…」
……こんなもんかな。
「あー……構わん、同行しよう」
「おい…いいのか…?王の手勢だぞ」
「ここでゴネても後に支えようものだ、それに……港をしばらく借りている身だ、挨拶くらいはしておこう」
「ただし、我一人だ…それ以上を求めるなら……それこそ望むところよ」
「で、では……」
「手錠でもするか?……意味は無いがな」
「まさか……あくまで貴方様の扱いは客人です、そう身構えないでいただきたく……」
「冗談だ、ほら連れて行くならさっさとしろ……飯がまだなんだ」
聞こえてる奴等にだけ言うからこの後他のメンツにも伝えて。
……ちょっと行ってくるね、まあハリガネさんの生き汚さなら余裕で帰ってきちゃうだろうから安心して待っていなさい。
あの……カニ、残しといてね。
ぼちぼち国家試験ヤバいんで不定期で休むぜ!
実習は終ったからあとは座学だ!
Q.ミリアの技って歌なの?
A.相手の生き物にだけ聞こえる周波数の声を出してる、コウモリとかは混乱させて壁にぶつけたりとかしてた。
Q.ハリガネさんの子供って増えないの?
A.若干1名行方不明だしまだかな!
Q.シャルヴの好物は?
A.何でも食べるよ、雑草でも。




