偽蛸王対暴食王
「さて、ぶっ飛ばすよ」
『うむ、それは良いがこんな足場でどうするつもりなのか考えてはいるのか?』
…………こんな…こんな足場でね。
「……タコさん、戦う場所変えない?」
〔変えへん、死ねや!〕
うぉぉぉ!!やるしかねえ!!
1歩、2歩…
「3…どぁらっしゃあい!」
くっそ3歩分しか歩けねえ!流石に通らねえか……
〔……何なんそれ、自分大して強くないやん〕
〔ま、特異点の中にゃあ珍しいだけってのもいるわな〕
舐めんな!
「12歩…『無双腕・百』!!」
くっそ…硬くはないけどヌルヌルして殴りづれえ!
〔っ!どわ!?〕
10歩越えでやっと一本タコ足ぶっ飛ばせるレベル…いやー、まずいですね。
『汝、あれをやるか?』
いやー『砕け散れ、我が宿業』はもうちょい後に取っておきたい……私等とて食べなくても死ななくはなったけどエネルギーが無限なわけじゃないからね。
……歩けば回復はできるけどそんなに歩かせてももらえなそうだしさ。
〔ふーん…やるやん、走った距離?……いや踏み込んだ歩数か〕
「……頭良いんじゃん」
〔伊達に長老級やってへんわボケ、それで…終いなん?〕
「はっはっは、寝言には早い時間だぜおじいちゃん」
「もっとスゴイ技いっぱいあるから存分にに見てけや」
純粋な殴る蹴るじゃ分が悪いか、グラさん毒だ、作っといて。
『ああ、できるだけ時間を稼げ』
〔まあ、何でもええけど…いつまで儂に乗ってんねん!邪魔くさいわ!〕
『っ!3本……これは無理だな、避けよ』
いや、このまま進む。
『な!?馬鹿者!』
〔何やと!?この!おら!くそ!ちょこまかしおってからに!〕
こんだけデカい体にへばりつかれちゃ戦いにくいだろうよ!行くぞタコ登山!!登タコ?まあいいや。
お前の攻撃も私から見たらただの道だぜ!!死の危険は伴うけど。
『汝!無謀にも程があるぞ!』
随分と今日は臆病だねグラさん、ビビってんのか?
『貴様……誰に唾吐いたか覚えておけ』
『それから溜まったぞ、いつでも行ける』
「オッケェェイ!!こっちも登頂完了だよ!」
わあ、顔デカ。
いやこれ腹だっけ?
〔うざったいわ!摺り潰れろや!〕
左右からタコ足の叩きつけ……だが遅いわ!死ねぇぇい!
「『魔王の吐瀉LV.10』『怨毒精製LV.10』!」
石も溶かす強酸にグラさんの毒を濃縮した『怨毒』をミックスした猛毒弾!混ぜるな危険とか大丈夫かな!?まあいいや行っけぇぇぇ!!
〔ぐあっつ!!?あぁぁ!?痛っあぐあぁぁ!!?〕
まあ、眼球に硫酸よりヤバいことしたもんね、引くぐらい効いてるわ。
『汝自分でやっておいて…』
〔悪魔かおんどれぇ!!?くそ…見えへん!どこやぁぁぁ!!〕
うぉ…立ち直り早えなおい。
まあ、もう遅いけど。
「目の回復に夢中になって、一番大切なとこ守るの忘れてるぜタコさん」
両目の間のちょっと上、お馴染みタコの1番の弱点だね。
「『無双腕・百』!!」
〔ぐおぁぁぁぁ!?〕
うし……大ダメージだろ。
〔ふざけおってからに……もう許さへんぞ!〕
……割と元気じゃない?
『馬鹿なあれだけの攻撃を受けて……相当年生きているな』
防御力はそうでもないけどHPが異様に長い敵みたいだね、さて……あれで殺れなかったの割とびっくりだわ。
〔ぶっ殺す……『ヤマタコオロチLV.10』…!〕
うおっ!!?何だタコ足が急に速く……
『後ろ!』
『無双……え?口?あ…
っ!危ねえ一瞬トんでた!グラさん大丈夫!?
『ああ問題無い……傷は浅くはないがな』
ごめんよ……何だあの技、足が蛇…?
一撃で随分ぶっ飛ばされちゃったね……この体が水に浮いてる事に驚いてるよ。
ああいや別に重たいと思ってるわけじゃなくてその。
『汝、それより…』
[スキルポイントが超過しました]
お?
[アクティブスキル『水切り足』獲得]
『拡張解析LV.10』
[アクティブ時、水面を一瞬だけ地面と捉えることが可能]
[成長時、スキル時間延長及びクールタイム短縮、水上歩行時の速度補正]
ラッキー…でも急だな。
『先の一撃で吹き飛ばされた際に水面を跳ねておった、その動きが認められたのであろう』
失敗から学ぶということかな……というか今さっきの私は水切りの要領で水面をバウンドしたってこと?
まあいいや、不幸中の幸いってことで……いやこれかなり私達と相性いいんじゃない?
……今まで森だったり船だったり洞窟だったり…あんまり好きなだけ走るって出来なかったもんね。
やって見たくない?
『早くやれ、そのスキルを見た時から疼いてたまらん』
だよね、私もだよ……これ使ってポリプシオンのとこまで行ったらいったいどうなっちゃうんだ?
「よぉし……『水切り足LV.1』…どのくらい保つのかは置いといて、行くよ」
更に…『加速LV.10』!!
水…確かに踏める…走るじゃ駄目だ、跳ぶ、前に転がらないように、風を受けないように。
……すげぇ…私達自身が風になったみたい。
『ああ…』
これが魔王の見る風景か……グラさんのお母さん、先代も見たのかね?
『……わからん、だがきっと見ているさ』
っていや速!?もう着いた!?
グラさん、あれやっぱここで使うべきじゃない?
『だが倒しきれなかったら……』
『……いや、やれ』
『今我が出せる最大の一撃よ、これで倒せぬのならそもそも勝てん』
そう来なくっちゃ!『クライマックスビートLV.10』『百足走りLV.10』『我が覇道ここにありLV.10』オン!
さあ行くぞ行くぞ……!
〔……お!?〕
『砕け散れ、我が宿業』!!
〔がっぁ!!?〕
浮いた…すげえ威力だな。
〔なめ……んなやぁ!!!〕
こいつタコ足全部を踏ん張りに……止まったら弱くなんの気付かれてるっぽいな。
なら……
更に踏み込む!
『狂戦士の不屈LV.10』『不退天LV.10』!!
〔ざ…っけんなぁぁ!!〕
「吹き飛べぇぇ!!」
どうよタコさん、ぶっ飛ばしてやったぞ。
いや……はは、すっげえ……
『クライマックスビート』
自分の最大体力を一時的に切削してステータスに加算する、スキルレベルに依存。
『百足走り』
曲がる、後退する等の動作を行えなくなる代わりに敏捷値に補正、スキルレベルに依存
『我が覇道ここにあり』
自身の進行上に生物がいた場合、接触時の衝撃量に補正、接触時一定距離相手を弾き飛ばす事で更に補正値上昇、スキルレベルに依存。
『狂戦士の不屈』
自身が受けたダメージにより耐久以外のステータス補正、スキルレベルに依存。
『不退天』
自身に向かってくる存在に対して攻撃を行う際、当たり負けない状態が一定時間経過することでステータス大幅補正、スキルレベルに依存。