表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/164

曲神

 更に先へ(プルス・ウルトラ)、新しく手に入れたそんなスキルは一言で表すならば()()()だった。


 駆け抜ける、ダメージを受ける、攻撃する、その全部の行動でステータスが跳ね上がりSPは沸き上がってくる。


 歩みを止めない限り負けないスキルって考えるとわかりやすいかな、ぶっ壊れてるよ。


 鹿に駄目押し攻撃を続ける度に活力が湧いてくるし途中から耐性貫通するんじゃないかってくらい体当たりの勢いがとんでもないことになっていた。


 

 そんで、戦いの末に私達は何とか勝った。


 まあ粘り勝ちよね。




 …………悪いな鹿、何か土壇場でずるみたいな強化入っちまった。




 ……追悼終わり!そんなことよりめっちゃ格好良くないこのスキル!?



 名前も格好良いしスキルとしても強い!最高だね!



 まあ問題は私のスキルじゃないことよ。




 何で!私!じゃないのさ!




 ……まあ仕方ないっちゃ仕方ない。


 実際戦ってるのはムカデ君だしね…よくぞ頑張ってくれましたって感じだよ。



 今はもう頭も無いしスキルも切れて瀕死だが、この数時間の間にとても濃い時間を過ごしたからか、凄く親しみを感じているよ。



 ありがとうムカデ君……心から君を誇りに思う、友よ。



 ……何となく察してたけど君レベル上がったから再生してるよね。



 そう、さっき気づいたんだけどレベルが上がるとその分体力の上限値が増えるじゃない?そこの辻褄をあわせるために多少回復するようなんだよね。


 そんでムカデ君はまあまあな格上殺し(ジャイアントキリング)を成し遂げた判定だからそれなりにレベルが上がりまして。


 個体名  グラトニカ


 LV. 58 HP 2700/17908 MP 3690/3690 SP 26790/8790



 アクティブスキル 『覇食LV.3』『怨毒の牙LV.3』『スタミナ拡張LV.10』『スタミナ延長LV.10』『鳴神走りLV.3』『セッショウセキLV.4』『拡張解析LV.10』『毒精製LV.4』『ナルコーシスLV.3』『ボミットフレアLV.2』『百刃纏いLV.1』『エグゾブレイクLV.3』



 パッシブスキル  『嗅覚LV.4』『思考加速LV.8』『マルチタスクLV.3』『饑神の加護』『スタミナ急速低下LV.9』『狂戦士の心LV.2』『不退天LV.3』『重装甲LV.3』『矢弾きの体LV.5』『星の叡智LV.3』『思考盗聴LV.4』


 ユニークスキル   『更に先へ(プルス、ウルトラ)


 魔法  『昏倒の眼LV.3』『衰退の眼LV.5』


 称号   『飢える者』『貪る者』『同族を喰らう者』『破滅の先触れ』『到達を待つもの』


 状態 寄生 少年期





 ……これを見てわかるのはおそらくだけど回復した後私はもうムカデ君に寄生できないんじゃ無かろうか。



 そして私の知ってる限りだと水場がこのあたりには無くてね。



 尚且つ私のレベルはもう上がらないので乾燥耐性も特段上がってないという。



 これ言うの何回目かわかんないんだけどさ、詰んでない?



 はっはっは、困った困った。



 まさか戦闘に何とか勝ってもこんな方向からピンチとはね。


 ああ、そんなこんなで話している内にどんどんムカデ君の新しい頭が生えてきたね。



 つまりはもうじき私は吐き出され、そのまま下手をすると……いやしなくてもムカデ君に消し飛ばされるわけだ。



 強くなったねムカデ君……頑張ってこの森の覇者になるのよ。



 いやごめんやっぱならないで、人類滅びそうな気がするから。



 てか本当にこの森何なの?ラスダンレベルの魔物多すぎない?


 初期スポーン地点ラスダン内とか鬼過ぎるでしょ。




 ……うん、こんな話しするのもゲームだったらまあやり直しきくんだけど。



 この世界の痛みは確かに現実だと感じざるを得ない、だって本当にちゃんと痛いんだもん。



 ゲームオーバー、お終い。


 そんな考えが頭を駆け回ってるから現実逃避でもしてなきゃやってらんないよ。



 [アクティブスキル『寄生LV.7』での生体侵食に異常が発生しました]


 [これ以上アクティブスキル『寄生LV.7』による生体侵食を維持する事ができません]


 [推奨:緊急離脱]



 あら、初めて推奨された。


 正直この中にいても後はレベルのあがった急速消化だかに溶かされて一部になっちゃうだけだもんね、仕方ない。



 緊急離脱。



 何度かムカデがえずいたように震動すると物凄い速さで射出された。



 そんな老人が道に唾吐き捨てる勢いで出すかねムカデ君…ハリガネボディが軽くなかったら死んでいたぞ。




 やあ、目が合うのは二回目かな。



 そんな怖い顔してたっけ?


 ああ、少年期ってなってたからかな、そもそもちぎれ飛んだ後に回復で生えてきたみたいだし、表情も変わろうものか。



 いやもう子供の成長は早いもので……うんはい、見逃してください。



 はっ!必殺ハリガネ土下座!


どこが膝でどこが頭でこの格好が座っているかすらわからない荒技、さあどう受けるムカデ君よ。



 ……微動だにしてねえよ、逆に怖い。



 いやこれどういう感情?口からいきなりハリガネムシ出てきてフリーズしてる?



 私だったら泣き叫びながらうがいするし喉の奥にホース突っ込んで水送り込むけど。



 まあ尻から出て来るよりはましだけども。



 胃袋で引き返すのと体内一周ツアーされて尻からこんにちはだったら後者のが嫌だもの。




 ちなみにやる側はジェットコースターみたいな速度だ。



 わー、綺麗な腸管ですねーとかやってる暇ないよ?



 そしてやれてもやらないよ?


 何が悲しくて他人の体中を内見せにゃならんのだ、新築一戸建てでこの御値段!?とかしてればいいのか?



 うるせえ改築してやろうか。




 ……ムカデ君?殺すなら殺すでさくっと頼みたいんだけど?


 優しく、なるべく優しく殺して……?



 


 ああ…口を開いた…毒牙かい?それとも酸かい?



「……行け」 


 ほあぁぁ!?喋んのお前!?



 

 いや、気のせいか?空耳で言葉に聞こえた的なあれか?



「早く行け、次は、食い殺す……無礼者」



 やっぱ喋ってるなこれ!?



 待て待て…ええと、あの槍使いのオッサンですら言葉通じなかったのに何で…あ、体内にいたから?



 てか見逃してくれんの……?


 よくわからんけど逃げよう…どこだ心の友(カメレオン)よ。



 


 


 ……体乾燥しちゃうからマジで早く出てきてくんない?助かること特に考えてなかったからここどこだかわかんないし。



 あ……いっぱいいる方の鹿の遺体。



 強かったなこいつ等…二度と戦いたくねえ。



 だってムカデ君の中にいる私を完全に狙って立ち回るんだもん……



 ステータスに出てた情報によれば生まれ変わるらしいけど、もう会いたくねえなぁ。





 いや、待てよ?鹿の遺体に隠れてたらこれを食いに来た奴に寄生できるんじゃね?



 うーん、やってみよ。



 ……居心地悪、寄生してるときとはわけが違うな。



 かろうじて体液やら何やらで体の乾燥は防げてはいるけども…次も拡張解析のレベル高めでスピードある奴がいいなぁ。





 流石にわがままか?


いやでも最低限戦えるか隠れられるか逃げられないとキツい。



一回水辺に戻りたい……ここらは私達の戦いの影響で殆ど死の土地だもの。



 寄生してないから何も見えない…普通に不便だな、仕方ないけど。




 ん?


 なんだこの音……地響きのような…まさかこの鹿生きてんのか!?



 や、違うな…呼吸もしてないしそもそも冷え切ってる。



 んー…?



 ちょっと、ちょっとだけ顔だして見るかな。


 ちらっとだけ……は?



 私の視界に映るのはさっき確実に殺したはずの存在、何度も拡張解析で死亡を確認した強敵。



何で生きて……拡張解析。




[ERROR]


[ERROR]


[ERROR]



[解析失敗]


[情報閲覧権限無し]


[対象より権限付与]


 


 個体名  ウェン・カムイ




 え…別種?


 確かにふた周りはデカいし色も違うけども。


 ……まずいか、このまま隠れてやり過ごそう。


 






 その瞬間、自分のHPが0になったことがステータスを見なくてもわかった。

モンハン楽しみですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ハリガネムシというオリジナリティ 一人称の味がいい [一言] かなりユニークで面白かったです! テンプレに沿ってるようでオリジナリティに溢れてる作品だと感じました。 一話からかなりパンチを…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ