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第十六話 掛軸将軍


「ねえ、これ何だと思う?」

 筆を置くと、思案げな顔になった草草そうそうが、紙を掲げて守役たちをうかがった。

 そこにはのたくったすみで、尖った耳のついた四つ足の獣が描かれている。虎より大きな体に銀にも見える毛を持つ大狼――の、つもりだ。


「俺です」

狼君ろうくんですね」

 坊ちゃんが描いてくれたからだろう。狼君は誇らしげな顔で答え、虹蛇こうだは良くできましたといった感じで綺麗な笑みを向けてきた。

 これを聞き、ふむ、と草草はうなずく。

 以前、従姉夫婦の店で菓子作りをした際、白いあんに彫った絵は『狐』と言われたはずだが、少しは上達したのだろうか。

 今度は小首をかしげつつ、別の紙に持ち変える。


「じゃあ、これは?」

「俺です」

「狼君ですね」

 紙にはまた、四つ足の獣が描いてあった。が、坊ちゃんの眉はちょっぴり下がった。これこそ狐の妖物、藤狐とうこのつもりだったのだ。まあ、狼と狐なら似ていないこともない、か。

 心持ち眉を持ち上げて、気を取りなおした草草は、次の紙を披露する。

 墨が一本ひょろひょろと這った――七色に艶めく白い大蛇のつもりの、以前の菓子作りでは『ひも』かと問われた絵だ。


「我ですね!」

「虹蛇です」

 ようやく登場したかとばかり、虹蛇のあごが上を向いた。狼君はがんばりましたという風に、大きくうなずいている。


「じゃあ……これは?」

「玉、ですか?」

「違うよ。ほら、ここに糸が伸びてるじゃないか。まりとほつれた糸ですね」

 首をひねった狼君と、自信ありげな虹蛇を見て今度こそ、草草の眉はへなりと垂れた。毬は丸々とした猫、白玉はくぎょくであり、ほつれた糸は小蛇の虹蛇のつもりだったのだ。


 どうやら守役たちは絵を見分けたのではなく、菓子作りの経験から、坊ちゃんが耳のついた四つ足を描けば狼君、ひょろりとした一本墨を引いたなら虹蛇、と覚えていただけのようだ。


「うぅん……」

 草草は、うなる。

 なぜ、字はそれなりにうまく書けるのに、絵となるとこうもダメなのか。やはり習いに行くべきか。けれど。


 絵を習う者は、この道で生計たつきを立てていこうといった、気合の入った弟子入り志願の若者か、趣味が高じてもう少し腕を磨こうと考える、貴族の子弟や商家の旦那衆が多いと聞く。

 後者の場合、付き合いというものもあるらしい。貴族もいるからそれなりの礼儀をわきまえねばならず、二人の仙は窮屈だろう。縁談話だって持ち上がるかもしれない。こちらは断る伯父に迷惑がかかる。

 それに。


 草草は、狼と狐の区別もつかない絵を眺めて、ひもなのか、糸なのか、そんな蛇と、毬の猫を見やった。どう考えても、誰も褒めてくれないだろうと自信を持って思える。

 続いて、この絵をどこに飾ろうかと、嬉しげな顔で相談し合う守役たちに目を向けた。もし、褒めないどころかけなす者が現れたなら、彼らは烈火のごとくいかるだろう。するとどうなるか……

 坊ちゃんは、ぬるく、ゆるく、笑って首をふった。



 翌日になると、草草と二人の仙は船問屋、来幸屋を訪れた。

 日ごろは煌びやかな品の並んだ一角が、綺麗に片づけられており、続く奥の間も開いている。ずらりと壁に掛かっているのは、何幅なんぷくもの掛軸だ。

 来仙の絵師たちが描き、旦那衆が品評し、その場で売る品もある。そんな催しであるらしい。よその街の品を中心に扱っている来幸屋では初の試みだそうで、なかなかに賑わっているから成功と言えるだろう。

 昨日、坊ちゃんが絵を描いてみようと思い立ったのは、このことを耳にしたためだ。


「これは草草様、よくいらしてくださいました」

 年かさの使用人がいそいそとやって来て、深々と頭を下げた。


 少し前、草草は来幸屋の次男、健優けんゆうの妻と嫁を害した嫉妬深い妖狐――その実は、彼に恋した若い娘の仕業であったが、を捕らえることに尽力した。

 これを知る、この店の家人と主だった使用人の態度が丁寧になるのは当然のこと。

 大切な坊ちゃんが敬われているから、守役たちは機嫌がいい。くすりと笑った草草は、それから店を見わたす。


「健優殿はいないんですねぇ」

 おっとりとした風な、のんびりとした顔が見当たらない。

 首をかしげると使用人は、健優なら裏手にいると、港に船が着き、その荷を小舟で運びこんできた水夫たちを取りまとめているのだと、教えてくれた。


「水夫なら荒くれ者も多いだろうに、あんなのんびりした次男で大丈夫なのかい?」

 ニヤリと笑った虹蛇がぶしつけな問いを投げるも、使用人は気を悪くした風でもなく「いえいえ」と首をふる。それから、なぜだか自慢げな顔になった。


「健優様はああ見えて、なかなか水夫たちの扱いが上手なのでございます」

 水夫同士、声を荒げることがあっても、健優がおっとり笑って声をかけ、話を聞いてやれば事は丸く収まるのだという。

 ふむ、と草草はうなずく。

 健優はどこまでも人が良さそうでいて、のん気だからか独特な調子もある。荒くれ者も彼を見れば、心落ち着くような、毒気を抜かれたような、調子を外されたような、そんな気分になるのかもしれない。


「健優殿は来幸屋に欠かせない人なんですね」

 草草がにっこり笑ってこう言うと、使用人の顔に満面の笑みが広がった。

 ちなみにこの使用人は、健優を『坊ちゃま』と呼び大切にしている姉やの、父親である。



 健優を呼ぼうかと言ってくれた使用人に、忙しいだろうからと首をふり、草草たちは絵を眺めて回った。

 やはり多いのは、黎国で好まれる花や鳥、山に川、人の絵もあるか。


「この菊の花、ふっくらと咲き誇って、香りまで漂ってきそうだねぇ。そっちの虎もいいかな。今にも飛びだしてきそうだよ」

 草草は草神だからか、やはり草花を好むし、守役が大狼と大蛇だからか大きな生き物も好きだったりする。白玉も猫にしては大きいが、これは偶然か。

 そして坊ちゃんは思った。もし自分が書いたなら、菊と白玉の見分けはつかないだろうし、虎も狼になるに違いない。


「坊ちゃん、あっちに仙山がありますよ」

 二人の仙は、生まれ育った仙山の絵がお気に召したらしい。みなでそちらへ足を運ぶ、と。

 すん、と狼君の鼻が鳴った。虹蛇の眉もぴくりと上がる。何だろうと草草は、守役たちの目を追った。

 そこには、一幅の掛軸がかかっている。


「北伐将軍?」

 これが、その絵の銘であるらしい。立派なひげを生やし、逞しい体に鎧をまとった壮年の男の絵だ。彼が北伐将軍か。どこかで聞いた覚えがある。

 そして、絵からすぅとたなびく薄い影が――


 ――ぎゃあ! 幽霊だぁ! 化け物だ!


 悲鳴が上がったのは店の裏手だろうか。草草たちは、何事かと騒ぐ使用人たちに紛れ、そちらのほうへ行ってみた。


 裏手は、運びこまれた荷をしまっておくのだろう、蔵がいくつも建ち並び、その向こうには水路がある。小舟が岸に連なっているのが見えた。

 悲鳴の主は短い着物を着た水夫たちか。ある者は顔を引きつらせながらも健優をかばい、ある者は腰が引けつつも棒を構え、ある者はへたりこんでいる。

 なぜなら。


《妻よ! ようやく迎えに来たのに、なぜ逃げるのだ!》

《なっ、何をおっしゃられているのでございますか! 私は健優様の妻でございます!》


 掛軸に描かれていた逞しい、しかし透けた体の将軍が、健優の背に隠れようとする霊の妻――旦那様が心配だと言ってこの世に留まる最初の妻だ、を、追いかけているからだ。


「や、やい! お前、おっ、落ち武者の亡霊か!? 来幸屋の坊ちゃんに何の用だ!」

 水夫たちが健優を引っぱって逃げると、霊の妻もついて回るので、将軍までついてきてしまう。

 彼らには将軍が見えている。が、霊の妻はわからないのだろう。ゆえに将軍が、健優を追っているように見えるらしい。奇妙な追いかけっこが続く。

 健優はといえば、引っぱられながらおっとりと、のん気な様子で首をかしげていた。





 来幸屋の一室で、草草と二人の仙に健優、そして体の透けた将軍が、卓を囲んで座っていた。

 この霊は、掛軸に描かれていた『北伐将軍』であるらしい。

 北伐将軍――坊ちゃんの目の玉がくるりと回り始める。


 来仙に来て間もないころ、狼君の秀でた武人ぶりに目を留めたとかで、伯父に縁談を持ちかけた武官がいた。

 縁談相手の娘の部屋に黒装束の男が忍びこみ、これが黒尽くめの狼君ではないか、という疑いを晴らしたり。その娘は姉婿の子を宿しており、これをどう収めればいいのかと相談に乗ったり。無骨そうな真面目そうな役人と、出会うきっかけとなった出来事だ。

 この相手方の先代当主が、先帝から北伐将軍の地位を賜ったと聞いている。


 『北伐将軍』の掛軸は、この家に長らく飾ってあった物だそうだ。

 来仙で高名な絵師が手がけた品であり、描かれている人物も来仙の英雄であるから、このたびの催しのために来幸屋が借り受けてきたとのこと。


 店からこの部屋に移されていた掛軸を、草草は見やった。相変わらず、すぅとたなびく薄い影が将軍へと伸びている。

 彼は亡くなった際、何がしかの想いが残り、家に飾ってあった自身の掛軸に憑いた、となるのか。

 ふむ、と坊ちゃんはうなずいたものの、少し気になるところもあり、ゆるりと卓を眺め見た。


《そなたは、この健優と申す者の妻なのだな?》

 正面に座る将軍の顔は、ジッと一方を見据えていた。

 そこにいるのは健優の、背に隠れるようにして立つ霊の妻だ。こうして落ち着いてみれば、将軍の威風堂々とした姿に気圧されたのか、彼女はおどおどとうなずく。

《そう、か……人違いをしたようだ。失礼した》

 すると将軍は、やけに申し訳なさそうな顔になって詫びを申し入れた。


 来仙の英雄と聞いたが、案外腰の低い人物なのだろうか。草草は顔をななめに傾けつつ、考えをめぐらせる。

 ――なぜ、将軍は自分の妻を間違えたのだろう。これが気になるところの一つ目だ。


 将軍の妻と健優の妻は、よく似ていたのだろうか。

 しかし貴族と庶民の女では、髪の形や着物の着方が違う。一目見ればわかるはずだ。

 それに今、霊の妻が出自を話してようやく、将軍は人違いだと納得したようだった。こうして顔を突き合わせているのに、だ。

 もしかして、と坊ちゃんが正面にある、なんだか難しい表情になった透けた顔を見つめていると、姉やが茶を手にやって来た。


「将軍様、どうぞ」

《む……うむ》

 茶を差しだされた将軍は、難しい顔で考え事でもしていたのか。ハッと我に返った様子で、それから重々しくうなずく。

 ここに健優が、おっとりとした調子で口を挟んだ。


「姉やは将軍様が見えるのかい?」

「いえ、坊ちゃまはいかがでございますか?」

 水夫や使用人、多くの者に将軍の姿が見えたのに、自分には見えないからか。姉やは残念そうに首をふる。

「私にも見えないねぇ」

 健優ののん気な顔も、ゆるりと横にゆれた。


 この二人は相変わらず、これっぽっちも見えないらしい。草草はくすりと笑みをこぼしながら、ふたたび将軍を向く。

 ――なぜ、将軍の霊は多くの者に見えるのか。こちらがもう一つ、気になっているところだ。


 霊によって、人によって、見えるか見えないかはそれぞれだ。が、霊が想いや恨みを向ける、その相手に見える傾向はあると、下界観察歴の長かった坊ちゃんは思う。

 これを当てはめれば、将軍はみなに存在を知らしめたい、あるいは誰でもいいから何かを伝えたい、となるのか。

 しかし、将軍がしたのは妻を探すことだ。ようやく迎えに来た、とも言った。こちらが彼の想いだろう。

 となると、みなに見えるのは妙だ。


 まあ、何事にも例外はあるか。

 健優の二番目の妻は、姉やに石段から突き落とされたと思いこみ、彼女を恨んでいた。このことを夫にも伝えたかったはずだ。けれど健優と姉やは筋金入りの鈍感なのか、ちっとも気づかなかった。

 いや、この二人は例外中の例外か。

 草草がぬるい笑みを浮かべると、ふんっ、と横から鼻の音が上がった。


「で、あんたはどうして妻を探してるんだい?」

 虹蛇の片方の眉がつり上がっているのは、裏手で起きた幽霊騒ぎを収めたのが草草だったからだろう。大切な坊ちゃんの手を煩わせるな、というわけだ。

 狼君も同じ意見であるらしい。眼光がきつく光っている。


《むっ……うっ、いや、その》

 将軍はまた考え事をしていたのか、慌てた風な顔をハッとふり向けた。

 そこで剣呑な眼差しと鋭い眼光にぶつかり、さすがの将軍もひるんだのか、ぴくりと体を跳ねさせる。

 それから、たじろぐ風に視線はさまよい、ぱくぱくと口は動くも続く言葉が出てこない。


 ここで草草は、うん、とうなずいた。

 まだ不明な点は多々あるが、とりあえず――


「将軍様、もしかして記憶が曖昧なのではありませんか?」


 彼は妻を間違えた。霊の妻と顔を突き合わせてもわからず、出自を聞いてようやく人違いだと納得した。これは、探し求める妻の顔を覚えていないからだ。

 考え事をしている風だったのは、妻の顔を思いだそうとしていたのだろう。考えるうち、なぜ妻の顔がわからないのか、とも疑問に思ったはずだ。

 そこへ虹蛇から、どうして妻を探しているのかと問われた。将軍はこの理由もわからないことに気づき、今、愕然としている。

 これまでの様子を見るに、こんな感じではないかと思う。


《う……うむ》

 将軍は動揺しているのだろう。草草がふわりと、見る者すべてに安らぎを与えるような慈愛の笑みを浮かべると、多少なりとも落ち着いたのか。ぎこちないうなずきが返ってきた。


「あんた……自分のことなのに覚えてないのかい?」

「坊ちゃん、こんな面倒な霊は放っておきましょう」

 虹蛇が呆れ顔になって鼻を鳴らせば、狼君は渋い顔を向けてくる。相方の意見に賛同したのか、美麗な顔も笑顔に変わってこちらを向く。

「さ、坊ちゃん、絵を見に行きましょう?」

「お待ちくださいませ」

 これを、姉やがすぐさま引き止めにかかった。途端、守役たちの、眉間にしわがくっきりと浮き、眉の位置はつり上がる。


 来幸屋としては、多くの者に見えてしまう将軍を、放っておくわけにはいかないだろう。ここで帰ったとしても、伯父を通して『薬仙堂さんお願いします』と話がやってきそうでもある。

 ならば、騒ぎが大きくならないうちに片づけたほうがいい。


 草草は湯のみを片手にみなを眺めた。

 二人の仙とやり合う根性のある姉や。水夫たちの争いとは勝手が違うのだろう、健優はどこで口を挟めばいいのか迷っているらしく、おっとりと口の開け閉めを繰り返している。

 坊ちゃんとしても、この少し変わった二人に手を貸したいと思う。それに。


 堂々としているのに腰の低いところがあったり、重々しくうなずいたかと思えば慌てたそぶりを見せたり。英雄らしいのか、らしくないのか。

 そんな、どこかおかしみ漂う将軍にも興味が湧いた。


「狼君、虹蛇」

 しばしして草草は、姉やとやり合う守役たちをなだめにかかった。

 止めに入るのが遅れたのは、薬仙堂で出る物とはまた風味の違う来幸屋の茶が、思いのほかおいしく、のほほんと堪能していたせいだったり……する。





《私は……ダメだ、思いだせん》

 頭を抱える将軍の向かいで、草草はちょっとひと息、湯のみを片手に来幸屋の珍かな菓子をつまみ、ほわりと笑っていた。

 彼が嬉しげだからか、守役たちの機嫌ももう直っているようだ。この茶と菓子はどこで売っているのかと、姉やに聞いたりもしている。今後、坊ちゃんに出すつもりなのだろう。


「健優殿、将軍様がお亡くなりになったのは、いつ頃のことでしょう?」

 茶を飲み干すと草草は、満足げな顔を健優に向けた。

 来幸屋は、北伐将軍を輩出した名家から貴重な掛軸を借り受けられる間柄だ。両家には付き合いがあり、信頼もされ、商家ならば仕事柄、相手のこともよく知っているはず。


「十年ほども前、でしょうか」

 思ったとおり健優は、さして迷いも見せずに答えを返した。

 うしろで姉やがほほ笑んでいる。きっと内心、『坊ちゃま、よくできました』と褒めているに違いない。

 くすりと笑った草草は、こう話を続ける。


「たぶん、将軍様はこの十年、ずっと掛軸の中で眠ってるような状態だったんじゃないでしょうか?」

 こう考えた理由は――


 北伐将軍の名家は、掛軸を来幸屋に貸しだした。もし、これまでに幽霊騒ぎがあったなら、他家に貸したりするだろうか。

 霊は、人にとって怖ろしいものだ。

 水夫たちは体の透けた将軍を見て、立派な姿であるにも関わらず『落ち武者の亡霊』と叫んだ。そのように見えたのだろう。将軍の霊が現れたと聞けば、将軍様はこの世に恨みがあって化けて出た、と思う者も少なくないと思われる。

 これでは北伐将軍の名をけがしてしまうし、名家の外聞も悪くなる。


「ああ、人ならそんな風に考えるでしょうねぇ」

 虹蛇が訳知り顔でうなずけば、姉やが、霊の妻が、自身のことだからか真剣な顔つきの将軍も、うなずく。

「そういうものですか」

 狼君はピンと来なかったのだろう。それでも草草の言葉だから正しい、と判断したようだ。さすが坊ちゃんと言わんばかりの感心顔を縦にふる。

 なぜだか人である健優まで、この仙と一緒に首をゆらした。

 おかしげに頬をゆるめた草草は、ふたたび口を開く。


「でも、掛軸は来幸屋さんに貸しだされましたよね」

 ならばこの十年、掛軸にまつわる幽霊騒ぎはなく、となると将軍は、自身の絵にひっそりこもっていたのだろう。

 あの世ではまた別の時が流れていると聞くが、人にとって、この世の十年は短くない。長く長くさまよう霊は、やがて自身を忘れるものもあるという。

 掛軸の中で何もせず眠るようにしていたのなら、なおさら、記憶が曖昧になることもあるかもしれない。


 こう言ってみなを見まわすと、特に異論はなさそうだ。

 狼君が姉やに茶を所望したのは、こんなにしゃべって坊ちゃんののどが渇かないかと、心配になったからだろう。

 草草は礼を述べて茶をすすり、そして、と指を一本立ててみせた。


「この十年何事もなかったのに、今、将軍様は現れました」

 きっかけは、掛軸が来幸屋に貸しだされた、だろう。すると将軍の関心は、自分の家ではなく外に向いているのだ。

 彼は、自分の妻と健優の妻を、貴族の女と庶民の女を、間違えた――つまり。


「将軍様がお探しになってるのは、家にいらした奥様ではなく、外にいらっしゃった妾の方ではないでしょうか?」

「なるほど、それなら話は通りますね!」

 虹蛇が、さすが坊ちゃん、と言う風な誇らしげな顔になって相槌を打った。狼君が、姉やが、霊の妻が、一つ遅れてのんびりとした健優が、納得顔になる。

 だが……


《私が、妾……》

 将軍の表情は、ひどく険しいものになっていた。

 怒り、ではないだろう。そんなはずはないと、必死に記憶を掘り起こしているように見える。自分が妾など囲うはずはない、ということだろうか。何か、考え違いをしてしまったのだろうか。

 草草の眉がちょっとばかり下がる、と。


「あんた、坊ちゃんの言うことが信じられないのかい!? 将軍なら妾の一人や二人、いたっておかしくないじゃないか」

「そうだ、お前が覚えてないだけだろう!」

 虹蛇の眉がキリキリと上がり、狼君の眉間にしわが寄った。


《いっ、いや……だが、私は妾など断じて囲わない!》

 二人の仙の勢いに気圧されたのか。口ごもった将軍は、しかしこればかりは譲らないといった感じで、首を大きく横にふる。


「そういえば、将軍様にはずいぶん妾が多かったと、父から聞いたことがありますねぇ。品を届ける先が多くて大変だったそうですよ」

 のんびりとしゃべったのは健優だ。彼には将軍の声が聞こえていないだろうから、虹蛇の言葉に応じたのだろう。


 ――合わない。違う。何かが、おかしい。


 草草はジッと、虹蛇の剣呑な眼差しを受け、それでも意見をひるがえすことのない将軍を見つめる。

 虹蛇が不機嫌そうな声で「妾はいたんだよ!」と言っても、将軍は断固として否定する。

 ふたたび虹蛇が……ここで坊ちゃんは気がついた。


「狼君は?」

 部屋を見まわせば、黒尽くめの背が掛軸に向かっていた。その腕は荒々しく持ち上がり、掛軸をわしづかもうと――


「だめ!」

 あわや貴重な掛軸が、粉みじんになるところであった。



「ふぅ……」

 本日何杯目かの茶をすすって落ち着くと、草草は部屋を見まわした。顔ぶれが一つ、変わっている。


 健優の脇にもう一人、控えているのは年かさの使用人――姉やの父である。将軍を詳しく知る者から話を聞きたいと言うと、健優が呼んでくれたのだ。

 その代わりに減ったのは、向かいに座っていた将軍だ。ひとまず絵にお入りいただき、掛軸は巻いてある。

 使用人には将軍の姿が見えるようであったし、本人の前で話をするのもやりにくかろうと思ったからだ。それに、また言い争いにでもなって、怒った守役たちが掛軸を引き裂いたりしては、困る。


「将軍様には妾が多かったようですが」

 草草はまず、食い違っていた点から聞いてみた。使用人はちらりと掛軸を眺め、言いづらそうに答える。

「はい、そのとおりでございます。少し飽き性なところがございましたようで、その、次々と……」

 妾を取り替えた、ということだろう。ただ、一度妾にした女の面倒は最後まで見た、と使用人は付け加えた。


「将軍様がお亡くなりになったのは十年ほど前だそうですが、この掛軸は三十の半ばくらい、若い頃の姿ですよねぇ?」

「はい、さようでございます」

 ふむ、と草草はうなずく。

 霊となって現れた将軍は壮年の、掛軸と同じ年頃の姿だった。彼がこの掛軸に憑いたのも、何か意味があるはずだ。たとえば――


「将軍様が探してるのは、この頃に囲っていた妾の方、ということもあり得ますよねぇ」

 そして、この妾はもう亡くなっている。将軍は街にたくさんいる生きた女ではなく、霊の妻を追いかけた。きっと探す相手は亡くなっていると、無意識ながらも覚えていたのだろう。

 そんな妾に心当たりはないか、と問うと、使用人は考えこむ様子を見せた。妾が多すぎてわからないのだろうか。

 草草の顔が困った感じに傾く、と。


「そういえば、その掛軸を描いた絵師の娘さんも、将軍様のお妾でございました。絵を描いたことがきっかけとなり、将軍様に見初められたと伺っております」

「なるほど……では、最後にもう一つだけ」

 将軍はどんな人物であったのか。草草は使用人に問う。


「豪胆で堂々としていらして何事にも動ぜず、まさしく英雄と呼ばれるに相応しいとお方だったと、感じております」


 これを聞いた坊ちゃんの、瞳がきらり、光った。





 翌日になると草草は、とある絵師の家を訪れた。

 入るとすぐ広い板間になっており、身なりの良い男たちが、生けた花を前にして筆を走らせている。絵を習いにやって来た、貴族の子弟や商家の旦那衆だろう。

 透かし彫りの入ったついたてを挟んで、卓がいくつか置いてある。習い事を終えたあと、みなで集まり話したり、商家の者は顔つなぎをしたり、『付き合い』というものをする場所のようだ。


 こちらに、草草は二人の仙と健優と、卓を囲んで座っていた。そばには、掛軸を丁寧に抱えた姉やもいる。昨日とさして変わらぬ顔ぶれだ。

 本日の用件としては、草草と掛軸さえあれば良かったのだが、来幸屋は貴重な品を借り受けているのだ。人に預けるわけにもいかないので、健優と姉やがついて来た。

 もちろん、守役たちは当然のこと、坊ちゃんにも、別々に行動するという選択肢は、ない。


「昨日、この掛軸を私どもで借り受け、飾っておりましたところ、将軍様の霊が現れました」

 健優が話す相手は、卓に座る老人だ。

 彼が高名な絵師であり、掛軸の将軍を描いた人物でもあり、将軍の妾だった女の、父でもあった。

「どうやら将軍様は、こちらのお嬢さんを迎えにいらしたようです」

 健優がこう言うも、老人の顔は逸れ、別のほうを向いている。


 そちらには、来幸屋で見た物とはまた別の、将軍の掛軸がかかっている。そのそばで――

 女の霊がひっそりとしてうずくまり、ひたすら絵を見上げていた。


 彼女が、将軍の探し求めた、将軍の迎えを待ち続けている、妾なのだろう。

 草草はうんとうなずく。これで全部、わかったと思う。あとはこちらの掛軸を広げれば、すべてが片づくはずだ。

 しかし。


「将軍様になど、会いたくはございません」

 老人は力なく、けれどはっきりと拒絶の意を表した。

 娘は将軍の妾になり、そして捨てられた――この父はそう感じているのだろうし、また、それが事実でもあるのだろう。


「ですがお嬢さんは、将軍様を待ってるかもしれませんよ?」

 草草がそろりと口を挟むと、老人は小さなつぶやきをもらした。「それはない」と、聞こえた気がする。

 注意深くうかがえば、老人の視線はかかっている掛軸より、やや下を向いている。その目は憐れんでいる風にも見える。


 もしかすると、老人には妾の霊が見えているのだろうか。絵師だから感性が鋭いのか。いや、それよりも、彼女が見えているのなら、迎えに来た将軍を拒む理由がわからない。

 だが、彼はこの妾の父だ、何か知っているのかもしれない。妾の霊も将軍にしか意識が向いていないのか、こちらの声は届いていない様子だ。

 ならばと、草草は口を開く。


「この掛軸から現れた将軍様は、おそらく本当の将軍様ではありません」

 こう言うと、みなの顔がそよぐようにふり向いた。何を言っているのかわからない、といった感じの表情だ。

 実は昨日、坊ちゃんは自身の考えを話していなかった。少々しゃべり疲れた気がしたし、のどを潤そうにももう、茶で、腹がたぽりとしていたのだ。おいしいからと飲みすぎたせいであった。


「あの将軍、坊ちゃんを騙そうとしたんですか?」

 しかし二人の仙は、坊ちゃんの言葉だからと、訳がわからなくとも信じたのだろう。鋭い眼光と剣呑な眼差しが、姉やの抱える掛軸を向く。姉やも危険を察したのか、胸に抱きこみしっかりと掛軸を守っている。

 やはり、預からなくて良かった。

 草草はこんなことを思いつつ、違うのだと、守役たちをいさめることから取りかかった。



 ――昔、おそらくこんなことがあった。


 草草はしゃべりだす。登場人物は、妾ともう一人、将軍に仕えた男だ。仮に彼を従者としようか。

 妾は将軍に恋焦がれ、しかし将軍が通って来なくなったことを嘆いていた。そんな彼女の面倒を親身になって見ていたのが、従者だ。


 来幸屋の使用人は、『一度妾にした女の面倒は最後まで見た』と言っていた。

 新しい妾を囲った飽き性の将軍が、前の妾のところへ自ら行きはしないだろう。

 となれば、金を渡したり様子をうかがったり、そうした人物がいたはずだ。それは将軍のそばで細々こまごまとした仕事をこなす、従者のような立場の者だと思われる。


「まさか、あの方が……」

 老人の顔が、ようやくこちらを向いた。彼の目は、続く言葉を待っているように見える。

 草草は話を続ける。


『私、ずっと将軍様をお待ちしております』

『ええ。きっと将軍様はまた来てくださいますよ』

 二人の間には、こんなやり取りがあったのではないだろうか。そうして年月は過ぎ、まずは妾が亡くなり、やがて従者も亡くなった。


「この従者はお嬢さんのことが好きだったんでしょうね。だから亡くなったあと、この家にそっとやって来たんです。そして、お嬢さんが将軍様を待ってる姿を見つけました」

 草草の手はしっかりとした意思で、そこだと妾の霊を指す。

 老人から、ハッと息をのむ音が聞こえた。向いてみれば、食い入るようにこちらを見ている。


「あの姿を見て、従者はどう思ったでしょう」

 草草の声は優しげだ。


 妾はずっと将軍を待っている。ならば、何としても将軍に会わせてあげたい。将軍に彼女を迎えに来てほしい。従者はこう思ったはずだ。

 しかし、このときすでに将軍は亡くなっていたのか。あるいは十年前、将軍は亡くなるとすぐ、あの世へ行ってしまったのだろう。

 従者は将軍の霊を見つけることができなかった。


 ならばどうするか――自分が将軍に化けるしかない。

 将軍になりたい。将軍の姿が欲しい。たとえ嘘であったとしても、一人寂しく待ち続ける妾を、迎えに行ってやりたい。

 だから従者は、妾と出会うきっかけとなった、その父が描いた、将軍の掛軸に憑いた。

 それからまた年月は過ぎ、来幸屋に貸しだされたことで、彼は掛軸から抜けだした。


「では、あの将軍様は、本当はその従者だったんですか?」

 珍しく、おっとりとした健優が口火を切ると、みなもホゥと顔をゆらす。

「ええ。不自然だったところも、これで説明がつくと思うんです」

 老人が体を震わせているのが気になるが、ひとまず、草草は話を続けた。


 将軍の霊が多くの者に見えたのは、きっと、彼が『姿』に対して強い思い入れを持っていたからだ。

 彼の記憶が曖昧だったのは、自分を捨てて将軍に成りきろうという思いが、さまざまなことまで忘れさせてしまったのだと思う。

 将軍として現れた彼は、自分を本当の将軍だと思っていた。だから将軍のように堂々とし、しかし本質は変わらないので、予期せぬ出来事があると慌てたりもしたのだ。


 使用人から聞いた人物像と、将軍の霊が食い違うのは、別人だから当然だ。

 一番の違いは、妾に対する考え方だった。生前の将軍は多くの妾がいたのに、将軍の霊は妾を囲うこと自体、嫌っているようだった。

 寂しく待ち続けた妾をずっと見守ってきた従者なら、そんな風に考えたりもするだろう。


 この従者は、妾を想い、彼女のために自分を捨て、この世に存在し続けた。だから――


「どうかこの方の想いを受け取ってください。来ることのない将軍様を待ち続けるお嬢さんを、迎えさせてほしいんです」

 草草は、真摯な目を向け静かな声で締めくくった。と、老人の唇が、一度、二度と震える。

「そんな……違うんだ……」

「え?」


 老人は突如立ち上がり、妾の霊が見上げている、将軍の掛軸へ向かう。腕が伸び、力任せに引き下ろす。

「あ」

 草草はひもが切れた掛軸の、下にあった絵を、見た。


 そこには、別の男の姿があった。

 絵は、掛軸よりはずっと拙いか。壁に貼っただけの紙は質も悪いのか、よれて黄ばんでいる。だが、優しげで温かみのある、そんな男だとわかる絵だ。

 この絵は、もしかすると妾が描いたのだろうか。ならば彼女が見つめているのは、彼女が待っているのは――


「姉やさん、掛軸を広げてください」

「は、はい」

 姉やが失礼しますと断って、卓に掛軸を広げた。

 すぅと現れた将軍は、辺りを見まわし妾の霊を見つけると、声を大きく張り上げる。

《おお、妻だ! 見つけた! ようやく迎えに来たぞ! どうした? 私だ!》

 しかし、妾の霊は応えない。


「将軍様」

 草草が優しげな声を出すと、将軍は焦った様子でこちらを向いた。

《草草殿……妻が、妻が返事をしてくれないのだ》

「将軍様、掛軸のほうを見てください」

 戸惑った風な将軍は、言われるままに顔を動かす、と。


《お、おぉ……あれは、わた……あぁ……》

 ゆらり、将軍の透けた体が波打つようにぼやけていく。立派なひげは薄く短く、逞しい体はほっそりと、鎧は服へと変わってゆき、そして声は柔らかく――

 優しげで温かみのある、絵と同じ男の姿となった。


「さ、奥様が待ってますよ。迎えに行ってあげてください」

 草草はふわりと笑って一方を指す。


 妾の霊が、男を見ていた。どこか亡羊としていた眼差しは、徐々に光を取り戻す。彼女の顔はゆっくりと、嬉しそうに、幸せそうに、涙を堪えるように歪んでいく。

《――様》

 妾は、男の名を呼んだようであった。男の顔も同じく歪む。二人は見つめ合い、そうして近づき手を取り合う。

 ふぅ、と、消えた。



 ――すべてが終わった帰り道。


「まったく、面倒臭い将軍、いえ、従者でしたねぇ」

 虹蛇の鼻が、ふんっ、と鳴った。

 生涯をかけて、いや、死してなお、一人の女を思い続けた男の気持ちを、この仙は鼻息一つで吹き飛ばしてしまった。

 まあ、仙だから仕方がない。秋風に髪をくすぐられながら草草は、ふふ、と笑みをこぼす。


「坊ちゃん、どうして従者の絵の上に、将軍の掛軸があったんですか? あれじゃあ見えません」

「あの掛軸は最初からあったんだよ。将軍様は来仙の英雄だからね。みんなが見にくるものだから、外しにくかっただけだと思うよ」

 不思議そうな狼君に、それよりね、と草草は続ける。

 どうして掛軸の下に従者の絵が貼られたのか。こちらのほうが大切だ。


 来幸屋に飾られた品と同じく、あの掛軸も高名な絵師による英雄の姿だ。人々は賞賛を惜しまなかっただろう。

 これを老人と妾はどう見たか。娘を捨てた将軍であり、もう好きでもない男だ。きっと、おもしろくなかったに違いない。だから従者の絵を貼った。

 二人にとって真の英雄は心優しい従者だと、言いたかったのだろう。みなに拝まれているのは飽き性な将軍ではなく誠実な従者だと、こう思うことで溜飲を下げもしたし、いたずらめいた気持ちもあったかもしれない。


 だが、あの掛軸が上にあったことで、従者は妾が将軍を待っていると勘違いしてしまった。本当なら、彼はもっと早く迎えに行くことができた。

 だから老人は、従者にも、娘にも、申し訳ないことをしたと思い体を震わせていたのだ。


「でも、会えたからいいよね」

 草草がにっこり笑えば、狼君は目を細めてうなずきを返す。虹蛇も、いや、気づかうように首がかしいだ。

「坊ちゃん、本当に絵を習わなくてよかったんですか?」


 従者と妾の霊が消えたあと、こんなやり取りがあった――


『僕も絵を習わせてもらうことはできますか?』

『もちろん、喜んでお引き受けいたします』

 二人の幸せそうな姿を見、ひとしきり涙し終えた老人は、晴れやかな顔でうなずいた。

 そこへ、手習いを終えた貴族の子弟や商家の旦那衆が来る。


『ほう! あなたならさぞ、すばらしい絵を描くのでしょうね』

 貴人の姿に騙されたのか、みなの顔が期待にゆれる。

『坊ちゃんの絵がすばらしいのは当たり前だ』

『そうさ。それはいい絵を描くんだよ』

 守役たちが追い討ちをかける。


 草草はもう、狼なのか狐なのか虎なのか、蛇なのかひもなのか糸なのか、猫なのか毬なのか菊なのか……そんな絵を見せる気にはなれなかった。


「……うん、絵を習うのはやめておくよ」

 坊ちゃんは秋風に似合いの、ちょっぴり寂しげな笑みを浮かべてみせた。



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