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黒の王  作者: カキネ
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終編 愚3

ちなみに今更ですが、クレアの言う母様の読みはかかさまと読んでいます。でも読者様が好きな様に読んでいただけたらと思い、書きませんでした。

 霊廟の通路を100歩程歩いた頃だろうか、後ろから入口の灯りを頼りに、前に進んでいた時だった。突然その灯りが小さくなる。急いで後ろを振り向き確認する、それは入口が閉じた瞬間。頼りにしていた灯りが消え、通路は真っ暗な闇の中へ誘われる。罠かと肝を冷やす。その時だった。


 通路の奥から眩いばかりの光が灯されていく。それは次第に通路に行き渡り、入口の光とは比べるまでもないほどの明るさを爛々と灯している。


「魔法・・・?でも魔力の流れを感じなかった」


 ティラは周辺を見渡し、訝しがる。


「ランプとは違うな、ランプではこれほどの明るさを出すことはできない」


 アリスは、その光源である天井をじっくり観察する。


「魔法に似ている。だがなにかがおかしい」


 4人が見たこともないあまりの明るさに驚いていると、前方から不意に声が聞こえる。


「驚かせてしまったみたいね。入口が閉じると、明かりが付く仕掛けになってるの」


 4人が声のする前方に振り向く。ずっと前に進んでいたはずのユマがそこにいた。


 目の前に現れたユマに驚きつつも、ティラは疑問を口に出せずにはいれなかった。


「これは魔法なのですか?」


 ユマはニッコリと微笑み。


「そうね、ティラあなたの言葉は半分当たりよ。これは旧時代の文明。かつて世界が繁栄をもたらしていた時期に開発されたもの。機械で魔法の元であるマナを取り込み、明かりを生み出しているの」


「詠唱も行わずですか?」


「そう、かつては簡単な魔法ならば機械で魔法を作り出すことが可能だったの」


 ティラは驚く。今では考えられない魔法の進化だった。機械とはそれほど馴染みがないが、ユマが伝播した水車等がそれに当てはまる事は学習していた。それでも、そこからどうやってここまでの進化を辿れるのか想像もできない。


 ユマは前方に向かって指を指す。


「あまりお客様をここで立ち話させる訳にはいかないわ。少し進むと休めるところがあるわ、そこでクレアも待っている」


 もう4人は別世界にいる気分だった。まるで現実ではない所にいる、そんな気分だった。


 しかし、マイはそれでもクレアが心配なのかユマの指した方向に歩を進める。

3人もマイ一人先に行かせるわけにもいかず、歩みを始める。


 数十秒歩いただろうか、奥から大きな扉が見え始めた。重厚で開けるには一苦労しそうな扉。4人がその扉の前にたどり着くと、見た目に反して扉が音もなく勝手に開かれる。


 完全に開かれた扉の奥の様子は、大きな部屋になっていた。


「クレア様!」


 マイが叫ぶ。その部屋の中に大きなテーブルと椅子が6人分あり、その2つにユマとクレアが座って歓談していたのだ。


 マイは急いで、クレアの元に向かう。しかし3人は歩を進める事を躊躇う。


「どうして・・・、ユマ様は後ろにいたはずじゃ・・・」


 ティラが独り言の様に呟く。そしてそれはスレインとアリスも同じ考えだった。ここまで部屋はいくつかあったが、外から見た霊廟は奥に広く、横はそれほどないように見えた。迂回してこの部屋に来たにしても、まっすぐ進んだ4人を追い越して来るには余程駆け足で来なければいけないはず。なのに、息をきらしてる素振りすら見せていない。


 ユマが駆け寄り、奥に居る3人にクレアは気づき。


「おーい、こっちじゃこっちじゃ。はよ座れ。母様が入れた紅茶が冷めてしまうぞ」


 マイも同じ事を言われたのだろう。すでに椅子に座っている。


 ここに来て理解が追いつかないことばかりが起こる。それでもスレインは前に進む。躊躇い勝ちな2人を導くように前に進む。スレインにとって選択肢は他にないのだから。


 スレインがまず座り。続いて2人もそれを見習うように座る。目の前のテーブルには濃厚な香りのする紅茶と美味しそうなお菓子が置かれている。


 ユマは微笑みながら、手を差し出す。


「ここまで来て疲れたでしょう?お口に合うか分からないけど、喉を潤して頂戴」


 4人は、視線を交わす。毒の可能性を考えて、躊躇する。チラッとクレアに視線をやると、「美味い美味い」と言いながら目の前の紅茶とお菓子を食べていた。それに気が抜けたのか、マイも恐る恐る紅茶を口に入れる。


「美味しい!」


 マイは大きな声で叫ぶ。そしてお菓子も口に入れる。目を大きく見開いて。


「こんなの食べたことがない。なんて美味しいんだ!」


 マイはそう言い。夢中になり食べる。それを見たティラは喉を鳴らし、ゆっくりと口に紅茶を入れる。マイと同じく「美味しい」と口に入れ始める。アリスも真似して食べ始める。3人は夢中になり、食べてる最中。


 ユマは首を傾げ。


「あら、あなたは食べないの?」

 

「今は食事を楽しむよりも、優先したいことがあるんです」

  

「そう、事情を話してもらえる?」


 自然にそう聞いてきた。スレインも安心してしまいそうになる。


 今聞きたいこと、ユマが生きている事もそうだが。今それを聞けば話が終わるかも知れない予感がした。ならば、今最初に聞かなければいけない事はただ一つ。


 ティラの命が救えるかどうかだ。


 スレインは説明する。包み隠さず、全てを。それをユマは微笑みながら聞く。クレアも足りないところはお菓子を食べながら補足してくれた。


 

真相また書けなかった。

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