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黒の王  作者: カキネ
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転機

 レミリア彼女が何故ティラに死を望むのか、それが何故クレアの先読みでティラの死が予言されたのか。結局のところ、議論を尽くしても答えはでなかった。もちろんただ手をこまねいているわけにはいかない。レミリアという女性の捜索を開始したし、スレインも聖王国に向かった。捜索については雲をつかむような話かもしれない。この大陸から一人の女性をさがすとなると、およそどのくらいの時間がかかるか検討もつかない。しかし、特徴で容易に判断できる。黒髪と黒目のレミリア、まずこの名前と特徴と一致するものほとんどいないだろう、この世界では。


 ただ現時点で出来ることは限られてくるのも事実。


 だからこそ出来ることを確実にやっていかなければならない。


 ここ聖王国へ4人はやってきた。クレアの話を聞くために。スレイン、ティラ、アリス、そして護衛のカインの4人。カインに至ってはスレインの転移を初めて体験し、何とも言えない浮遊感に驚きティラやアリスにからかわれ、顔を赤くしている。何とも明るい光景ではあったが、スレインの表情はいつにもまして真剣だった。


 突然の訪問にも関わらず、クレアはすぐに会うことを了承し、応接室で4人は現在待たせられている。カインは普段は冷静沈着でクールな感じであるが、さすがに今来るのがクレアでは、緊張しているのかガチガチに体が硬い。ティラに気を抜いたらと言われても、本来なら雲の様な存在と会う人はカインと同じ行動とるだろう。2人がリラックスしすぎなのだ。しばらくして、応接室のドアが開けられる。出てきたのは、クレアと他何名かだった。神官の服を着てるものが、クレアに険しい顔で訴えてるのが見て取れる。それを容赦なく、マイがドアを閉め、神官達を部屋に通さなかった。


 それにはさすがのティラもアリスも焦りの色が見える。


 ゆっくりと椅子にクレアは腰を掛け。対面に座る。マイもまた、お茶を注ぎ、スレインやクレアの前においていた。


 クレアはお茶を口に少し含み、笑顔で。


「よお参った、歓迎するぞ」


 そう言った。それには4人は苦笑いするしかなかった。


 躊躇いがちにアリスは言葉を出す。


「あの、ご政務中だったのではないのですか?」


「ん?気にするな、サボる良い機会ができて助かる」


 まるで気にもしない素振りで笑顔で答える。


 いきなり押しかけた事に冷や汗を流しながら、神官に心の中で謝罪する4人であった。


「ところで、何用じゃ?突然連絡もなしに来るとは余程の用と見える」


 さすがクレアだとスレインは思う。事の重大性を理解してくれ、早急に話を聞けることに感謝する。ただサボりたいだけでなくてよかったと。


 事の顛末を話す。クレアの笑顔は真剣な表情に変わり、口を挟まずところどころ頷き、聞く。そして最後まで話が終わった時、口を開ける。


「真相を知りたいのじゃな、じゃが妾の力でここまで見えぬという事はじゃ。一つしかない、グリモアの書じゃな」


 皆驚く、その考えに至らなかったと同時に。


「グリモアの書が関係しているということですか?」


 スレインの言葉に頷く。


「妾の力は母様から受け継いだ力じゃ、母様程とは言えぬが大半の力は行使できる。じゃが、黒の力とはあくまでもグリモアの書から借りている力に過ぎぬ。また、それはグリモアの書にとってみれば、ほんのわずかな力に過ぎぬのじゃ」


 4人は聞き入る。クレアは一旦話を止め、お茶をまた含む。


 マイはそれに合わせるように、新しいお茶を注ぐ。マイはどうやらクレアだけには献身的な様だった。


「話を続けるぞ、グリモアの書の影響にある場所、物それらに我らは干渉はできん。できたとしても、妾の見た未来の様に非常に曖昧じゃ。じゃが、これだけは言える。ティラの死が見えたという事はその結果は起きるという事じゃ」


 淡い期待を抱いていたクレアの言葉は胸に突き刺さる。スレインは拳に力が入る。


「なにか解決策はないのですか?僕の力でなんとかすることはできませんか?」


 クレアはため息をつく。


「妾とて助けたいと思うし、可哀想だと思う。だからこそティラとアリスに酷とわかっていても、伝えたのじゃ。お前たちにも最善を尽くして欲しいと願いを込めてな。その結果が残酷なものだとしてもじゃ。お前の力は強大だ。だがそれと同時に、人なのじゃよ。人に、人を超えた力を使う事はできんのじゃ。本来黒の力は人が扱えぬ力は与えぬものじゃ、じゃがお前はどうしてか、必要以上の力をもっておる。だがなお前は子供の時も、暴走をした。そして獣人国でも。扱えぬ力なぞ、それは凶器にしかなりえぬのよ。ティラを殺す事はできても、助けることはできんな」


 スレインは肩を落とす。余程がっかりしたのか、その落胆ぶりは大きかった。

 ティラはそれを支えるように、声を掛ける。


 だが一人諦めていない人がいた。アリスである。


「では、話を変えます。この名前を聞いた事がありませんか?」


「ほう、なんて名じゃ?」


「レミリア、ティラの夢に出てきた女の名です」


 その名を聞いた瞬間、クレアが持っていたカップが地面に落ちる。


 アリスは少し驚き、視線をクレアに戻す。クレアはどうやら狼狽えているかのように、先ほどの表情と変わって険しくなる。


「レミリアじゃと・・・。ティラの夢に出てきたというのか」


 アリスはやはりと思う。あの災厄の話は全部ではないのだ。


「クレア様はご存知なのですね?」


 クレアは動揺が収まらず、少し考え込む。


「少し考えさせてくれ」


 アリスはそれに頷く、今大事なのは時間もそうだが、確実な情報なのだから。

予想よりも話が進まなくて・・・、削れるところは削っているのですが。マイと戦う事も考えていましたが、あまり話長くなってもあれかと思い、無しにしました。感想良かったらお願いします。やる気でます!

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