未来2
続けて書いたので少し疲れて、おかしいところあるかもしれません。
招集をかけられた面々が集い、各々椅子に腰を掛ける。集められた人は、クロノス、シーク、グレン、カイン、レオン、アリス、ティラの8人。理由は聞かされず集められた為、事情を知るもの以外はその理由を知ろうと相談する様が見受けられた。そこにスレインがドアを開けると同時に沈黙する。スレインは空いた席に座り、早々に口を開ける。
「皆、急な呼び出しに集まってくれてありがとう。何故呼ばれたのか不思議かと思うが・・・」
そこでグレンが口を挟む。
「帰還祝いでもやるのか?」
全く的外れな言葉を言うグレンにアリスは睨みつける。
「な、なんだよ。なんか変な事言ったか?」
「グレンは黙ってて」
「おいおい、なんでそんなに機嫌が悪いんだ。少し軽口言っただけじゃねえか」
隣に座るレオンがグレンの肩を叩き。
「まあ、今は黙って聞いてようぜ。どうやら穏やかな話じゃないみたいだ。空気がピリピリする」
レオンの言葉にグレンはしぶしぶ口を閉ざす。
それをスレインは見て、言葉を続ける。
「ここに来てもらった理由は、皆の考えを意見を聞きたいからだ。残念ながら帰還祝いではないが・・・。今回の事が終わったらそれもいいかもしれないな」
スレインは淡い希望を抱く。
「では、本題に入る」
スレインはティラに視線を合わせる。それを見て他の人もティラとスレインを見る。
「今から聞くことは責めている訳ではない事を理解してほしい。ティラ、戴冠式でクレア様から聞いた話、皆に聞かせてくれるか?」
スレインの言葉にティラは目を丸くする。それと同時にアリスの顔を見る。アリスは動じず、表情を変えない。
視線をスレインに戻し。
「アリスから聞いたの?」
真剣な表情でスレインは頷く。
ティラも想定していたのか、意外にもすぐ次の言葉を言う。
「アリスにしては結構長く待っててくれた方だよね」
ティラの言葉には、悲しみや絶望等と言った感情は込められていない。それどころか親しみが込められているとさえ思われた。
「どいう事だよ、嬢ちゃんがなんかしたのか?」
グレンは少し動揺する。
ティラは一つ息を吐いて。
「クレア様から言われた事は、一つ。私が死ぬという事」
ティラから発せられた言葉に、事情をしらない仲間達は激しく動揺する。グレンに至っては、席を立ち、今にもティラに詰め寄り事情を聞こうとする。
それをシークが。
「静まりなさい!今は慌ててる場合ではない。何故ここに皆が集まったか、考えなさい!」
大声で一喝する。
それでもグレンは椅子に座ることができずにいた。
「グレン、君の気持ちはわかる。だけど今は座って話を聞いてくれ。頼む」
スレインがそう声を掛け、グレンは逆に食ってかかろうとした。
「おいおい、落ち着けって、嬢ちゃんが死ぬかも知れないんだぞ!それをどう落ち着けって言うんだ!」
「あなたが慌てても物事は動かない。それは理解しているはずです」
カインがグレンを説得する。
「だからってよ・・・俺はわからねえんだ。なんでスレインお前がそれを知りながら、落ち着いていられるんだ。分かってるのかよ嬢ちゃんだぞ!?」
スレインはグレンの言葉に表情を変えず。
「分かっている」
スレインの態度にグレンは苛立ちが隠せず、更に食ってかかろうとする。
その時、レオンが席を立ち、勢いよくグレンの顔面に拳で殴る。
勢いよくグレンは壁に吹っ飛ばされ、打ち付けられる。倒れたグレンの元までレオンは歩き、鋭い目つきで見据える。
「大将が、辛くないとでも思ってるのか?そう思ってるならお前は本物の大馬鹿者だよ。今まで何を見てきたんだ。大将が一番辛い事くらい長い付き合いの俺たちなら分かることだろうが!それなのにお前は何やっているんだ!」
右手で髪をくしゃくしゃとかきあげ、ゆっくりと立ち上がる。
「皆すまねえ、気が動転しちまった」
「へっ、早く座れ。」
レオンとグレンはまた元の椅子に座り直す。
「すまねえ、ティラ話続けてくれ」
少し苦渋の表情を浮かべ。
「いつ死ぬのか、どこで死ぬのか、クレア様ですら分からなかった。だけどそう遠くない未来だと聞かされた。それを聞いて最初は少し落ち込んだけど、だけど・・・」
ティラは俯く。そして少しの沈黙が落ちる。
「ティラ何故あなたは、獣人国で自ら戦闘をしようと思ったの?」
アリスが、疑問を問ふ。
「それは・・・」
「そもそもおかしい。何故兄に内緒にしていたのか。兄ならばもしかしたら助けれるかもしれない。だけどあなたは隠した」
スレインが間に入って、アリスのやり取りを止めようと言葉を言おうとした時。
「陛下もしかしたら、そこに問題の核心があるのかもしれません。止めない方がいいでしょう。恐らくアリスさんもそれを知って聞いているのでしょう」
シークが小声でスレインに囁く。
その言葉にスレインはある事を思い出す。そして。
「ティラ、僕が暴走した時、いくら止める為とはいえ・・・、何故自分を刺したんだ?」
それは初耳だったらしく、皆は驚きシークすらも目を丸くする。
「それはどいうことですか?」
ティラは頭を上げる。
「私は確かに死を望んでいた」
ティラの言葉は皆を呆然とさせる。
「皆驚かないで、自殺がしたかったわけじゃないの。あの時は本当に兄様を止める為にしたこと。だけど、クレア様から聞かされた時、私はそれで確信した。私はいつか死ぬと」
「それは人は誰しも・・・」
ティラは首を横に振る。
「寿命とか事故とか病気とかじゃなく、自分でもわからないんだけどそうなるという予感があった。だけどそれは誰かの願いを抱いて死ななければならない。でも私が誰かの為に死ぬのなら兄様の為に死にたい。だから内緒にしてた」
その言葉は鬼気迫るものがあり、皆が嘘ではないということがわかった。
誰もが口を閉ざす中。
「今も死にたいのか?」
スレインの静かな声が響く。
その言葉に反応するかのように、ビクッとティラは動く。
「僕はティラがそう願うのなら、その願いを叶えたいと思う。だけど、僕の為に死ぬというのなら、やめてほしいと思う。僕はねティラに生きていてほしいんだ」
ティラの瞳から、一筋の雫が流れる。
「何故、死ななければならないのか、僕にはわからない。だけど僕はそれを止めたいし、ティラにも協力してほしい」
雫はもう雫ではなかった。溢れるばかりの涙で顔をぐしゃぐしゃにしてティラは言う。
「兄様はクレア様の様に、何百年も生きるんでしょう?私は兄様と一緒の時の流れについていけない。だから、だから確信した時に兄様の為に死のうと思った。私は今の自分で覚えて欲しい。年を取った姿で兄様に覚えて欲しくない」
スレインにはそれが本音に思えた。もちろん予感も真実そのものだろうが。
スレインは席を立ち、ティラの元まで歩む。そして静かに頭を抱く。
「馬鹿だな、例えそうだったとしてもティラの全てを僕は覚えるよ。それに、エルフは長命なんだ、今焦ることはないさ」
スレインは嬉しかったのかもしれない、ティラの本音が聞けたことが。でもそれと同時に、守らなければならないと強く心に刻み込む。
もう少しで終わりだと思うのですが、何話になるか書いてみないとわからないです。行き当たりばったりですみません。




