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黒の王  作者: カキネ
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武神

 新生サイラスが建って約1年の月日が流れた。現在王の執務室では、スレインが作業に没頭している。作業に没頭する中、スレインはシークとクロノスにやられたという思いでいっぱいだった。その理由は、スレインの学の無さに起因する。スレインの知識は12歳で止まっている。つまりは、物を知らなすぎることが今回の原因とも言える。王の仕事とは官吏をうまく指示し、官吏からの国家事業の書類もしくは進言に是非を求められる。仕事はこれだけではないのだが、大まかに言えばこれが重要であった。


 だが、スレインは官吏からの是非を求められても、学のないスレインは判断がつかないのだ。これにはシークやクロノスも驚いてため息をつかれるほどだった。その為、午前は政務、午後は勉強を定められ。当初の目標を1年あまり進んでいないことが、今の現状でありスレインの心情だった。これにはスレインも相当参ってしまい頬はこけ、やつれ、屍人の様な有様だ。


 なにせ、他の黒の砦の面々は自分の仕事を躓きながらも、着々とこなしている様を見せられては、羨ましいと思うのが人の心情だろう。ティラやアリスと話す機会も大分減ってしまい、スレインの元気はみるみるなくなっていく。


 そんなサイラスも少しずつだが、豊かさを取り戻しつつある。これもクロノスとシークの敏腕の成せる技と言えよう、事実スレインは一から説明を聞き、国家事業にサインをするという事を繰り返している。また、治安も概ね良好だった。怪物の被害はかなり減り、野盗等も鳴りを潜めつつあるのだ。軍事部門も結果を出しているのだ。


「はぁ・・・」


 スレインはため息をつく。今夜も国家からの来客が来るという報告を受けたからだ。礼節等気にしていない生活を送っていたスレインはこれもまた重大事項の一つだった。1年余りで大分マシになったとは言え、なかなか慣れるものではなかった。


 そんな時、ドアをノックする音が聞こえる。

 ティラが来たのかと、勢いよく顔を上げ、期待に満ちた声を発する。


「どうぞ」


 ガチャリと開け放たれたドアから出てきたのは、スレインがよく知っている人物。その姿を見て、スレインは落胆する。


「おや、ティラさんじゃなくて残念でしたね」


 そう言葉を投げかけたのは、シークだった。


「なんだ、また仕事が増えるのか?」


 スレインはぶっきらぼうに答える。


 シークはそれに苦笑して、頭を横に振る。


「いえいえ、今回は王の仕事とは別件ですよ」


 それを聞きスレインの目に光が宿る。


「まさか、8武神の一人を見つけたのか?」


 スレインの言葉にシークは微笑みで答える。


「何番目だ!」


「6番目ですよ、陛下。やっと探し当てました。ガルム国というサイラスから南に位置する国です。この国は獣人が体勢を占めている国ですね」


「獣人・・・、ほとんど見たことないな」


「左様ですね、獣人は閉鎖的な考えを持っていますから、あまり外の国とは接触を持ちません」


 スレインは上目遣いでシークを見る。

 その意図を読み取ってシークは口を開ける。


「陛下も大分お疲れの様子、息抜き変わりとは言ってなんですが、行かれるといいでしょう。すでにクロノス殿と事前の相談は終わっています。ただし!」


 シークは真剣な表情になり。


「揉め事は起こさないよう、お願いしますよ。一応陛下はサイラスの王なのですから。それとローブ等を纏って正体がばれないよう、変装をしてもらいます!」


 スレインはそれにコクコクと頷く。


「でも、国家の来客とかどうするんだ?僕がいなくては・・・」


「それには、変化の魔法で対処します。ですが精々1ヶ月で帰ってきてくださいね」


「わかった、シークありがとう」


 シークはニコッと笑いそれに答える。




 早速、サイラスの重要な位置に付くものに、それが伝えられる。そして当然の如く、2人が意見を言う。


「兄さん、私は近衛騎士団長だ。当然ついて行くぞ」


「わ、私だって、副団長なんだからついていきます」


 それには想定内とばかりに、クロノスが言葉を発する。


「残念ですが、アリスさんには王城に残ってもらいます」


 それにアリスは声を荒げる。


「何故だ!私は兄を守る近衛騎士団長だぞ!」


 クロノスは涼風を受けるように流す。


「さすがに、近衛騎士団長が王城に不在では、陛下の事も怪しまれます。それでは本末転倒なんですよ」


「だが、しかし・・・」


 アリスはなおもそれに抵抗しようとするが、正論の為続けて言葉がでない。


 それを見て、ティラはアリスの肩をポンポンと叩き、満面の笑みで。


「兄様の事は任せて!」


 アリスはそれを受けて、顔を歪める。


「ティラ、お前だけずるいぞ!」


「仕方ないじゃない、アリスは団長なんだから」


「ならば、私は団長を降りるぞ!」


 シークとクロノスはさすがにそれは想定外で、慌ててなだめる。


「アリスさん、次回は何とかしますので、今回は我慢してください」


「ええ、次はきっと同行できるよう手はずを整えますので、今回ばかりは」


 2人の必死の説得にアリスは、唇を噛み締め、スレインに視線をやる。スレインとしても、連れて行きたいと思う。だが、次回があるのだ。


「アリス、すまない。次回は一緒に行こう。今回は我慢してくれ」


 スレインの言葉を受けて、アリスは肩を落とす。


 それにホッとするシークとクロノスなのだった。




その2日後、細かい作業を終え、アリスの悔しそうな顔を浴びながら、スレインとティラは変装をし、こっそりと国を出る。目指すはガルム国、そして相手は獣人のオラルド。

これの前、少し追加入るかとおもいます。よかったらブックマークと感想つけてもらえるとやる気がでます(´(ェ)`)

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