惨状
聖王国の王城を出てスレインは先ほどの話を思考する。それは妹2人も同じ様だった。誰も一言も話さない。黒い髪と黒い目にそんな大事なことが隠されていたことにまず衝撃だった。そして、自分もその一人なんだと理解した。自分の力は異常だとは理解している。それは幼い時の記憶が思い出させてくれる。
それについては自分がよくわかっている、だけど明らかにクレアの態度は僕の能力にも驚いているようだった。同じ黒い特徴があってすら違いがあることが少しショックだった。でもそんなことはどうでもいい、僕の光、妹ティラの指し示してくれた目的を、今は進むだけだ。それは変わらない。今はそれだけでいい。
思考をしているスレインをチラチラとティラは伺う。
アリスはまだ考えているようだが、ティラは声をかけようとしているのだろう
スレインはティラのそんな様子に気がつき。
「ティラ大丈夫だよ、今は前に進もう」
自分の心を読み取られた様にティラは顔を赤らめ、慌てる。
それに気がついたアリスは少し嫉妬する。
この2人は私には入れない空間があるとわかって。
ティラは口を開ける。
「兄様何があっても付いていきますからね、心配しないで前に進んでください」
スレインは本当にその言葉が嬉しかった、だから練習したぎこちない笑顔を浮かべる。
それをティラは見て呆気にとられる、アリスに至っては驚きを隠せない表情を浮かべる。
そして2人は笑う。
「アハハハハ、その顔はぎこちなさすぎます」
「ふふふふ、兄さんそれはちょっと怖いかも」
2人に笑われたスレインはすぐ表情を元に戻す。
少しショックだった・・・違うすごいショックだった。
肩を落とし落ち込むスレインにティラは慌てて。
「兄様、笑顔かっこよかったです。また見せてください」
当分見せないことを誓うスレインはとりあえず頷く。
「兄さんってもしかして今、拗ねてる?」
アリスは2人に聞く。
ティラはそれに指を口に当ててシーと合図する。
アリスは笑いそうになる、なんとか踏みとどまるが他人から見たら、笑いをこらえてるのがはっきりわかる。
ティラはそれを見て、腰に手をあて怒っているポーズをとる。
「ごめんごめん、兄さんも拗ねたりするんだなと思ってさ」
ティラはアリスに近寄り。
「兄様は結構落ち込む人なんだから、声にだしちゃだめだよ」
アリスはそれに何度も頷く。
スレインは2人のそんな様子を見て更に落ち込む、なんか兄さんらしくないと悲しくなる。
一通り、たわいもない話をして戻ることにする。
スレンイは転移する、自分達の居場所黒の砦に。
スレイン達は呆然とする。
転移した瞬間の映像は、人、人の群れだった。そして周りを見れば、城壁はかなりぼろぼろな状態がみてとれた。これにスレインは何かあったと焦る、それは妹2人も同じの様だった。
急いで、黒の砦内に入る、中もひどい有様だった。人の群れの中に負傷している人も大勢いた。
「まさか・・・戦争があったのか」
スレインは独り言のように言う。
それにアリスも同意する。
「多分そうだろう・・・しかしこれは・・・村人も多く混じっている。状況が理解できない」
アリスは手を口にあて、周りの様子に驚きが隠せなかった。
「とりあえず、グレンかシークかレオンを見つけて聞かないと」
スレインは急いで内部に入り、目標の人を探す。
部下が急いで動き回ってるのを見て、声を掛け居場所を聞く。
3人ともこの状態の指揮を取っているそうだ、そして戦争があったのも事実だった。勝利したのは、黒の砦陣営側だが、この夥しい負傷者の数は、悪い考えがどうしても浮かぶ。
急いで指揮を取っている、シークの場所まで走る。
目的の場所までたどり着き、目に入ったのは部下に指示を次々に与えているシークだった。
「シーク!なにがあったんだ!」
スレインは叫ぶ。
シークはその声に気がつき振り向く。
「スレインさん戻られましたか。ご無事で何よりです」
シークのいつもと変わらぬ態度を気にしないかのように、状況を事細かにシークから聞く。
黒の砦も負傷者は多かったが、死者はそんなにでなかったそうだ。しかし、サイラス軍の死者や負傷者はかなりのものだった。それは民も同じだった。
「シークなんで僕に知らせなかった!」
シークはその声に驚くでもなく平然と答える。
「スレインさんは目的の為に向かった、私達はその居場所を守る。各々の役割を果たしただけです。いちいち何かあるたびにスレインさんを呼んでは、前に進むことができません」
シークのその言葉にスレインは言葉が詰まる。
「それは・・・そうかもしれないが」
シークは呼吸をひとつして。
「スレインさん私達の目的を忘れてはいけません。困難があることは覚悟していははずです。そのために私達は動く。スレインさんもそれは同じでは?」
スレインはそれは理解している理解はしているが、自分の見ていないところで仲間が傷つくのはなぜか辛い。
「シークそれは正論かもしれないが、兄さんは・・・・」
シークはそれを手で制す。
「わかっています。しかし耐えなければなりません。今は後始末で手がいっぱいです。夜、円卓の会議場で話合いましょ。今は少しでも手が必要です」
それに3人は同意する。
「わかった、僕は治療を優先してさせてもらう。ティラも治癒魔法は使える、ティラ手伝ってくれ」
ティラは未だに動揺しているようだが、頷く。
「わかりました、アリスさんはレオンさんの支援のほうへ」
そして各々復旧作業に移る。
その夜幹部全員が集合して話合いを開始する。
転生したらスライムだった件、本当に面白いですね。小説かなり遅くなりました。すみません




