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汎用性のないメカニカル娘

お久しぶりです

生存確認です。

アスファルトは熱を反射して、陽炎が立ち上る。

気温は32度。

今日も猛暑日だ。

ニュース番組のお天気コーナーでは熱中症対策グッズの紹介もしてるほど、10日間連続で猛暑日を記録している。

そんな焼けるような暑さの中、老婆は電気街を一人歩いていた。

手にはメモ帳を握りしめていた。

頭には麦わら帽子を被っていたが、直射日光に抵抗出来てるとは言えなかった。

額から汗が滝のように流れ背中を流れる汗が気持ち悪い、握りしめたメモ帳が汗で濡れ書いた文字が少し滲んでいる。

あまりにも暑すぎて蝉すら鳴いていない。

老婆は腰に付けたペットボトルホルダーを手繰り寄せると器用にキャップを開けて麦茶を一口飲むと量販店の電気屋に入った。

店内に入るとエアコンが効いていて涼しかった。

入口近くでは家事特化型ロボットが数台自己アピールしていた。

ロボットが一般家庭に普及して早15年経とうとしている。

初期には人型をしていたロボットだがメンテナンスのしやすさからドラム缶の様な体型にタイヤが付いて走り回るタイプが近年では増えてきている。

ロボットを横目に老婆は店員の前まで行くと『あのぅ』と声を掛ける。

店員は老婆に気づくと『いらっしゃいませ、何かご入用でしょうか?』とにこやかに話しかけてきた。

『ロボットの電池を探してるのですが在庫とか有りますか?』老婆は手にした電池とメモ帳を店員に見せる。

『………えっとどれどれ、x-2828FGRバッテリーですか…ちょっと端末で調べてきますね』

店員は老婆に『少々お待ちください』と言い残すと、バックヤードに向かって走り出した。

老婆は少しだけ待っていると、店の奥から店員が戻ってくると『お客様大変お待たせ致しました。捜し物の商品ですが製造後8年以上経ってしまった為メーカーに在庫が無いとの事、この際ですから新しいロボットに買い換えてみたら如何でしょう?』

『今のロボットに愛着があって他ではダメなんですよ』

『現行機種はバッテリー消耗とかも少なくて省エネですよ』

店員は、ここぞとばかりにセールストークを止めなかった。

『もう少し他を探してみるとしますが、どこかで古い電池を扱ってるお店を知りませんか?』

『そうですか、残念です。店を出て裏どうりの電子デパートの中なら有るかも知れません。一応私の名刺を渡しておきますのでノギワ電子の店員に名刺を見せて話せば何か分かるかも知れません』店員は本当に申し訳なさそうな顔をするとお辞儀をした。

老婆はお礼を言うとノギワ電子に向かった。

電子デパートは幾つものテナントが入った複合施設だ。

店頭にはトランジスタやスイッチの類や何に使うか分からないパーツを置いてある店や、盗聴器や監視カメラ専門の店がある。

老婆はゆっくり見て行きたいがノギワ電子を探した。

量販店の店員さんに聞いた通り三階まで階段で上がると赤と青のネオン管でノギワ電子と掛かった看板を見つけた。

中に入ると人が一人通るのがやっとの通路の奥に店員らしい男がタバコを吹かせている。

老婆は『あのぅ』と声を掛けると量販店の店員の名刺を見せると『紹介されてきたのですがお話聞いていただけますか?』とメモ帳を出しながら男を見た。

『x-2828FGR?ロボットのバッテリーって言ってもここのメーカー倒産して部品なんか有るか分からないぜ?』

『汎用バッテリーとか無いのでしょうか?』

『婆さん汎用バッテリーは無いけど、このバッテリーにこの端子を付ければ対応出来るけど、これでもいいかい?』

と男はパーツを揃えてくれた。

老婆は男にお礼を言うと家に帰っていった。

電車とバスを乗り継ぎ家に帰ると居間で座ったまま動かない自動人形の服を首の後ろのファスナーを背中まで下げるとバッテリーを交換して起動スイッチを押した。

バッテリー充電モードに切り変ったの確認すると老婆はホッと胸をなでおろした。

老婆は、茶菓子と湯のみと急須をお盆に乗せると縁側に腰掛けた。

天高く登ってたお日様が、いつの間にか山の影に入ろうとして辺りを紅く染めている。

『………今日は色々あった』

疲れからか老婆は目を瞑った。


『おいババア!ご飯どうする?』


老婆は怒鳴るような声に起こされた。


『うるさいね!アンタは少しは静かに出来ないのかい?』

『それだけ言えればアンタは元気だ!アタシが保証する』


赤髪の女性型ロボットがニカッと笑った。


『アンタが壊れるまでこき使ってやるから覚悟しとけ!わはは』


老婆は笑った。


『アタシが婆さんを看取ってやるから安心しな!』


老婆は、全くだよと心の中で呟いていた。

感想お待ちしておりますm(_ _)m

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