姉。
「アナタがどう考えてるか知らないけど……ワタシはアナタのお姉さんじゃない!」
健康的に日焼けした肌に明るめの脱色した髪の綺麗系の年上の女性が目くじらを立てている。
都会の大学に進学して、そのまま就職してしまった姉の寂しさを紛らわろうとヤケになっていた私に声を掛けてきた一つ年上の彼女。
仲良くあそぶように成ってから、彼女から告白してきた。
姉の居ない寂しさもあったが、目元が姉に少し似ていたからOKした。
〔___怒っている女性の顔って酷いなぁ〕
私は顔だけでも済まなそうにしなからも、こんな事を考えてしまう。
このまま誰かと付き合っていても姉の代わりとしか思えない。
〔__このままじゃダメなんだ〕
その日の夜。
___姉の夢をみた。
私が高校に上がった頃。
お父さんの単身赴任が決まりお母さんは一緒に行った。
荷物は先にトラックで運び出し、お父さんが運転する車が先導して現地に向かう予定だった。
『家に子供だけで残して行くけどごめんね』
『いいよお母さん。姉妹で仲良く生活てくから大丈夫』
『貴女もお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞いてね?』
『うん大丈夫だよ。お母さん』
この時両親との会話がこれで最後とは思わなかった。
夕方遅く陽もほとんど沈んだころ、両親の乗る車が事故に巻き込まれて帰らぬ人となった。
『大丈夫。大丈夫だから。これから私たち姉妹で頑張ろう。お父さんやお母さんの分も含めてお姉さんが貴女を愛してあげるから……』
__そう姉は私を胸に抱きしめて頭を撫でながら話してた。
〔___姉は強い人だ〕
そう私が思うのも無理無いほど、姉は気丈に振舞って葬儀で喪主を務めた。
『色々な方からお誘いを受けましたが、母が最後に遺した言葉は「姉妹で頑張れ」そう言ってました。ですから私たち姉妹で生活していきます!妹を私が育てます!』
遺産目当ての親戚を一刀両断切り捨てた。
姉もまだ未成年だったこともあり、遺産管理の後見人が必要になったが遠縁の老夫婦に頼み了承を得ていた。
姉は老夫婦に月々の手当を支払い私たちの家に住んで貰っていたが、生活環境は完全に分けてお互いに干渉しない約束をした。
強くて優しい姉に絆されて、いつしか思慕の念を抱いていた。
高校二年に進級すると、姉の近くに行きたい。
姉の手料理を食べたい。
姉の愛情が欲しい。
昔読んだマンガの主人公、岩崎圭介も大阪支社に転属になった際に、『関西ではこの仕事はやらない』と心に決めたよう。
この気持ちで大学に進学する気持ちが固まった。
だから今日のデートの時に彼女に『都会の大学に進学しようと思う』と言った途端目くじらを立てて怒鳴りつけてきたのだ。
まさに岩崎圭介がクルーズ船に乗り込み依頼をこなしていた時に見た太平洋。
___つまり、ヤバいだ。
先にも述べたけど、誰にでも自慢の出来る眉目秀麗で凛としている姉。
田舎では目立ちすぎる程の美しさから、常に私は姉と比べられ落胆した。
そんな時にもお姉さんは私を優しく包んでくれた。
だから今度は私がお姉さんの力になれる様に努力しなければいけないんだ。
遅咲きながらも中の下だった成績も僅か半年で首位グループに追いつき『流石は妹だな』とまだ妹感をのこしたままだったが、姉の妹として誇らしかった。
受験は成功した。
私は姉の住むマンションの下の階を運良く借りることが出来た。
お久しぶりです。
生きていました。
個人名は載せない規約ですが、マンガの主人公だから良しとして下さいm(*_ _)m
しかし妹ちゃんの好きなマンガって……(゜ω゜;A)
きっとスナイパーのマンガのついでにハマっているんだとしておいて下さい。