表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/77

勇者様レベル1

 私は女勇者として生を受けた17歳。

 最初の村から出て、はじめての森、初心者の洞窟を手初めにクリアして西の大陸を制覇。

 そして物語の終盤近く大魔王の住む東の大陸にある大都市に着いた。

 宿屋で決戦準備をする為ステータスチェックをすることになった。


【女勇者】Lv1。

【お姉ちゃん】Lv×××。


 ステータスを見てもらったら分かりますが、私……仕事してません。

 正確には、仕事をさせて貰えません!!


「あの………お姉ちゃんいいですか?」

「なあに?」

最終局面(こんなところ)に来てなんですが……明日は大魔王討伐に行くんですよね?」

「そーだねぇ♪がんばろーねー」


 緊張感も無い脳天気な返事が返ってする。

 彼女は実姉でも近所の幼なじみでも無い冒険者ギルドで雇った《職業:姉》である。

 6尺はある長身に加え、見応えのある肉体。戦闘スキル、戦術スキルに無限に湧き出る魔力を保有するチート的存在。

 最早勇者は彼女でいいんじゃないかなって思う。


「それでなんですけど………私足でまといじゃ無いですか?」

「あらあら~何を仰います勇者様。貴方が居ないとお姉ちゃん全力を出せませんわ……それにお姉ちゃんが居ない間に勇者様に危険があったら困りますからね」

「……なら、せめて私レベル上げした方が………」

「それはダメぇ~勇者様が怪我をしたらお姉ちゃん気が気じゃないから~ね?危険な事はお姉ちゃんが担当よ!貴女は危ない事はしちゃダメ!!わかった?」


 はじめての村の冒険者ギルドで雇ったお姉ちゃんは物凄く過保護。

 戦闘や交渉は勿論、料理すら私はさせてもらってません。

 トイレ以外でお姉ちゃんが私から離れる事は無い。

 さしずめ私の役目は、お姉ちゃんの抱き枕なのだろう。

 楽ではあるけど、人としての成長は望めない。

 それでもお姉ちゃんは救ってきた村や街………さら王国での賞賛や賛美は全て『勇者様のものですぅ』と言って自分はお手伝いしただけですと言う。

 その結果、私の名声だけは上がり『伝説の勇者』『最強の聖母』など二つ名だけが付き纏っている。


「それに勇者様に筋肉は必要無いです!軽目の運動なら毎夜ベッドでしてるじゃないですか♡」

「あぅ……」

「何か心配事でもありますか?」

「心配事って!心配しか無いわ。だって実質パーティはお姉ちゃんとの二人旅だし……せめて誰か雇わない?」

「………お姉ちゃんが頼りないから勇者様に迷惑を……ごめんね……お姉ちゃんもっと強く成らないとダメね」

「わーわーわー!お姉ちゃんごめん。お姉ちゃん最高!」


 少々卑屈だけど機嫌を損ねて置いて行かれたら地元に帰る手段が無い。


「えへへぇ~お姉ちゃん久々に大魔王に会うから」


 ん?


「お姉ちゃん、お姉ちゃん。今、不穏なワードが含まれてたような?」

「不穏なワード?」


 小首を傾げて考えながらお姉ちゃんが返してくる。


「お姉ちゃんだってお弁当のおかずに豆腐は入れないわよ?」

「違う違う。大魔王がどうとか言ってなかった?」

「あぁ~!前に何度か大魔王をソロで討伐してるから~」


 魔王城に見晴らしのいい場所があるからお弁当はそこで食べようねぇ~勇者様の好きな物沢山入れるから期待しててね!……なんとも緊張感が無い返答ばかりお姉ちゃんはしてくる。


「……ソロで大魔王討伐って」

「勇者様は大魔王に会うのは初めてだったわね。お姉ちゃんにしがみついて目をつむってたらチョチョイのチョイで終わるから」


 今の大魔王なら三段階進化して100人束になってもかた暇で倒せちゃうからまーかせて!と普段以上に胸を大きくブルるんと揺らしていた。

 勇者(わたし)の存在自体、お姉ちゃんの手荷物感覚なんだなぁって身に染みた。

 私はその後お姉ちゃんの小脇に抱えられたまま大魔王と決戦。

 大魔王をデコピン一発で消し炭にするお姉ちゃんを目撃して魔王城の屋上でお弁当を食べた。


 世界は既に救われていた。


「勇者様ぁ面白い物を見せてあげるね」

「面白い物?」


 食後の軽い運動とばかりに大魔王の部屋に寄って、復活を遂げた大魔王に遭遇。

 レベル1の私から見ても、気の毒だが大魔王がNPCに思えてくる。

 最初は大魔王は怖い存在と思っていたが落ち着いて観察すると、お姉ちゃんを見る大魔王の姿はヤンキーに絡まれてる気弱な人みたいに見えた。


「あっそうだ!勇者様の勘違いを正しておかないとダメね」

「勘違い?」

「お姉ちゃんが正義の味方だと思ってるんじゃないかなぁ~って」


 お姉ちゃんは正義の味方だと思う。

 一緒に旅をしてきてコレばかりは間違い無いと胸を張って言える。


「お姉ちゃんはね……勇者様の味方なの。だからモノの善悪なんて関係無い、勇者様に仇なすのは敵ってなるの………私から勇者様を奪う相手も敵!うふふっ」

「私、結婚出来ないよね?」

「お姉ちゃんと結婚すれば丸く収まるし世界は平和よ」


 世界平和は手の届く身近な場所にあるんだなぁって、私はこの旅で学んだ。

お久しぶりです。

体調を崩して半死半生してました。

リハビリしないとダメですね。

医者からは『病弱なんだから普通の生活出来ると思うなよ』と釘を刺され……こんなに元気なのになぁって。

では次回は来週かはたまた来月か!?

頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ