母と娘。娘said。
夕刻ともなれば各々の家に灯が点り炊事場からは様々な匂いが立ち上り、足も自然と速くなった。
夕飯が何かと考えていたせいか私は人とぶつかってしまった。
友達からも良くボーッとし過ぎと注意されてる。
「ごめんなさい!」
謝る私のすぐ側をよく知った香水の香りが通り過ぎた。
それは母の誕生日にプレゼントした私のオリジナル調合の物と同じ香りだった。
だから一瞬でも母を思い浮かべてもおかしく無い。
『……あれ!?……この香り……お母さん?』
辺りを見渡したがそれらしい人物は居らず、ただ目の端に矢鱈と異性に媚を売るような扇情的な衣装を身にまとった女性二人が腕を組んで歩く後ろ姿だけが印象に残っていた。
「貴女顔色が悪いけど大丈夫?」
ぶつかった相手に心配までされたが『大丈夫です』と言い残して慌てて先ほどすれ違った二人の女性を追い掛けるが時すでに遅し。
二人は雑踏に紛れて見失ってしまった。
ただ私は香水をつけた女性が母では無い確証が欲しかっただけだったのかも知れない。
額から落ちる汗は滴となってアスファルトを濡らしてスグに消えた。
「……帰ろう」
贅沢は言えないが、母と二人暮らしのアパートは多少の我慢を強いられるが生活に不自由することは無かった。
夕飯は家族一緒に食べるといった決まりを律儀に守ってくれる母を私は子供の頃から好きだった。
それは今でも変わることが無い。
「…………おそいなぁ」
時計の針は何時もの食事時間を1時間過ぎていた。
遅くなる時はいつも連絡があったのに留守電にも入っていない。
暫くして母は帰宅したのだが、ほつれた髪に汗ばんで紅く染まる体躯は何処と無く色香があって思わず生唾をのみこんだ。
「遅くなってごめんなさいね。夕食はたべた?」
「まだだけど……何かあったの?」
「ん……パート先で急に辞めた方が居たから……残業頼まれちゃって。こんな時間だから夕飯はお惣菜でもいいかしら」
母の勤め先のスーパーはそんなに高いお給金が出るわけでも無いが、私の帰る時間と時間が経ったお惣菜が頂ける事もあり重宝している。
それにお惣菜担当である母の作るメンチカツや煮物が私は大好きだ。
「お母さん首筋の絆創膏どうしたの?」
「あっ………これね……そう、む虫にね刺されちゃって……それよりご飯にしましょう」
照れくさそうに首筋の絆創膏を指でなぞる母の姿をどこかで見た気がした。
それは友人の一人が彼氏に付けられたキスマークを隠す時の表情に良く似ている。
「まさか……ね」
「ねぇ……これからお母さんね、残業が増えると思うの」
「それって人が減ったから?」
「そう……ね。そう、パートさん辞めちゃったし……ほら、店長さんにも頼まれたから」
「わかった。でもあまり無理はしないでね」
「ありがとう。貴女が娘で本当に良かったわ」
「あっ、お母さん夕方近くに駅前商店街の辺りに行ったりして無い?」
「さ、さぁ。……お、お母さんその時間……お仕事だったから」
「そうだよね。誕生日にプレゼントした香水をつけた人とすれ違ったから用事で出てたのかと思っちゃった」
母の様子は明らかに変だった。
何かを隠している、そんな気がしたが私は怖くてそれ以上聞くことができなかった。
「明日も遅くなると思うから……鍵を掛けておいてね。お願い」
「うん。」
今日の夕食を最後に母と食卓を同じにする時間が少なくなり、私は一人で食事を取ることが増えていった。
それでも恋人とか出来たなら、そのうちに話してくれるだろう。
それが首筋の絆創膏の答えなら………。
母の恋人を紹介されて私自身、笑顔で『おめでとう』と言えるだろうか?。……そんな疑問を頭を振る事で忘れようとした。
それから、母の寝室で母の名前が手書きで書かれナンバリングしたディスクを見つけるのにそう時間は掛からなかった。
18禁無しでの母NTRを百合限定でやってみたら?
まずありえない状況を、エロ無し(多少のエロは含む)で頑張ってみよう。
まぁあくまでも、コレは完成目的よりもアイデアノートみたいなものなので……母saidで百合になればシリーズ的に嘘には成らないですからね。
では。