その後のどうやら妹が………。
「あのね……お姉ちゃんとの赤ちゃん出来たかも?」
「………………え?」
一人掛ソファーに座る私の膝の上で対面する様に座る妹が照れながらも嬉しそうに報告してきた。
そもそも神の悪戯でも無い限り女性同士……それも姉妹で子供など出来るはずは無い!
運命之縮図世界にでも紛れ込んだのか?私は!?
何度も何度も脳内に『赤ちゃん出来たかも』がリフレインする!
マジマジと妹を見るが嘘を言ってる様にも見えない。
だとすると、心底嫌な気分で反吐が出そうだが有り体に言っても一つの答えしか出ない。
そう……男の有無。
ただ聞くのは簡単では無い!
妹は傷つきやすい年頃……迂闊に言葉を選び間違えたら姉妹として良好な関係が終わってしまう!
コレは私に取って痛手だ!!
「お姉ちゃんどうしたの?難しそうなお顔して」
「……いや本当に赤ちゃんなの?」
「お姉ちゃんとの赤ちゃんに決まってるよ!………もしかしてお姉ちゃん嬉しくないの?」
今こそ妹の間違いを正す時じゃないか!《姉妹では赤ちゃんは作れない!妹の勘違いだ!》そう伝えるチャンスじゃないか!
妹を見ると瞳がうるうるして今にも涙が零れそうだ!
「う、嬉しいに決まってる……」
《さらばチャンス!》
いや!まだ諦めなければチャンスは巡ってくる!きっと!
「妹よ聞くけどなんで妊娠に気づいたんだい?」
「えっとね最近体調が変でね。目がうるうるしてわけも無く涙が零れたりするの」
妹よたぶん花粉症だ。
「鼻もムズムズしないか?」
「お姉ちゃん凄い!そうだよなんで知ってるの!……愛ね」
花粉症か風邪かな?
「それに熱っぽい感じがするからお母さんに薬を貰った」
「薬って何を貰ったの?」
「アレグラ……凄いよく効くね。身体が楽になった」
そうだろうね……花粉症の薬だし。
「それに身体が丸みを帯びてきて胸も段々張ってきたの」
成長期だ間違いない!
「声だって艶っぽくなった気がするし」
声変わり?……でも部活やってる女子でも声を使ってると変化するしなぁ。やっぱ成長期?
「最近すぐお腹空くからお菓子とか常備してないと………」
妹は慈しむようにお腹を撫でる。その姿はまるで母親が産まれてくる子供を待ちわびる様にもみえた。
子供という武器がなければ妹の姿はデブの食事とも取れるのは目を瞑った。
「妹よ。妊娠検査薬は使ってみたのかい?」
「……そんなのに頼らなくても赤ちゃんが動くのを感じることが出来るわ」
アレだけオヤツを食べているのだからソレは腸の蠕動運動なのだろうが幸せそうな妹をみていたらどうでも良くなった。
前に友人が《無い物がおっ起ってきた》と言ってたがあの時は意味が分からなかったけど……こんな気分なのかも知れない。
「お………お姉ちゃん………!!」
「どうした!?」
「……う…産まれそう……どうしよう……助けて!」
過度のオヤツに腸の蠕動運動と来たら分かりきってる。
「妹よ、トイレに行くかい?」
「……お姉ちゃんついてきて」
私は妹に付き添った。
数分の格闘の末無事出産した妹はスッキリした顔だった。
その日、私はジムを欠席した。
出すものを出して凹んだお腹を擦り少し寂しそうな顔を妹はしていた。
少し可哀想だけど姉妹では子作りが出来ないと理解して貰えたと思う。
「……お姉ちゃん。友達に教えて
貰ったのだけど……恥ずかしい場所を好きな人に見られたから……今度こそお姉ちゃんとの赤ちゃん出来てるといいね」
「……そうだね」
誰だか知らんが友人にグッジョブ!
食事中の方ごめんなさい!
読み終えた後に謝られても困る方は諦めてください。
飼い犬に手を舐められた気持ちでいてくれたら嬉しいです。
どうもお久しぶりです。
二分割にする必要も無かったのですが……無理に三人称にしようとして無理がでたので普段通りの一人称に戻すため二分割にしました。
言い訳です。
ではまた。