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メイドさんと少女とお母さん

 夕刻の終わりに街中に流れる音楽は、夜に成る刻の知らせ。

 この曲が流れると子供たちは慌てて家路につく。


 ____わたしは、こどもだからしらなかったんだ。


 夜。

 街に出歩くのは、大人達と悪い子供。


 そして………


 夜蟲(ナイトワーム)だと言う事を。


 ☆☆☆☆☆☆☆

 お母さんと二人で夕飯を食べて、わたし一人でお風呂に入る。

 もちろんお風呂に行く時は、お友達のウサギさんは居間のソファーで一番の特等席に座らせる。

 わたしは良い子だから……ううん。

 わたしはお姉ちゃんだからできる。

 ウサギさんが家に来た時にお父さんとお母さんに『ぬいぐるみとお風呂は入っちゃいけない』って約束したからだ。

 だから一人でお風呂に入れるもん。

 あたまを洗う時だって鏡をピカピカに掃除してから洗うの。

 だって………あたまを洗う時は後ろが見えないでしょ?

 そんな時にオバケに襲われたら恐いじゃないの。

 だから鏡をピカピカにしたら後ろもみえるでしょ?

 わたしって賢い。えへん!

 賢いわたしは、あたまを洗うのと一緒に耳の後ろだって洗っちゃうの、だってわたしは淑女(レディ)になるんですもの。

 お風呂から上がると寝巻きに着替える。

 居間に行きウサギさんを抱えようと伸ばした手は『髪の毛が濡れたままだとお友達が悲しむわよ』とお母さんに通せんぼされる。

 わたしはウサギさんの隣に座るとお母さんにドライヤーをしてもらう。

 ドライヤーは重たいしゴーって音はとても大きい。

 わたしは両手でプルプルしながら持つ………だけどお母さんは凄い!片手でドライヤー、空いた手で櫛を持って髪を梳かしてくれる。


「お母さん…………あのね?」


「お母さん………あのね?」

「なあに」

「音楽……夕方の音楽あるでしょ?」

「良い子はお家に帰ってくる。貴女はとても良い子だからここに居るの」

「ありがと。でも違うの……音楽が鳴り止んだ後の世界ってどうなってるかお母さん知ってる?」

「お布団に入ったら話てあげましょう。だから歯磨きをすませなましょ」

「はぁい」


 わたしは寝る前のこの時間が大好きだ。

 だってお母さんに堂々甘えられる。

 お姉ちゃんになるっていっても甘えたいんだ。

 わたしは早目に布団に入ると足元がほんのり温かい。

 湯たんぽだ。


「ん~っあったかぁい」


 わたしはそれだけで眠気が出たけど、お母さんが来るまで頑張って起きていた。


「もう寝ちゃった?」


 お母さんだ。

 起きてるって知らずに静かに近付いてくる。

 ベッドの側に座るとわたしの身体は少しだけお母さんの方に傾く。

 お母さんの匂いがする。

 お母さんの手がわたしの頭に動く………寝る前のナデナデかなぁ?だったら嬉しい。


「こぉら!起きてちゃダメでしょ!?」

「むぎゅ」


 わたしは鼻を摘まれたのだ。

 おかげで変な声が出てしまった。


「だって。夜のお話してくれるって……」

「ハイハイ、夜のお話ね。夜の外には夜蟲が見張っていて悪い子はね心をたべられちゃうのよ!それでね……」


 お家の近くで何かが倒れる音がした。

 わたしはお母さんにしがみついた。

 お母さんも少し驚いたのか、わたしを抱き寄せてくれた。

 お母さんの匂いでわたしは安心したの。


「お母さん………お父さんかな?」

「わからないわ。でもお母さんから離れないでね。………約束」


 ガタガタン!


 物音は玄関前で止まった。


「しっ!静かにしてね」

「お母さん……恐いよぅ」

「お母さんが外を見てくるからお部屋で待ってて」


 わたしはお母さんにしがみつきあたまをフルフルと振った。


「………分かったわ、でも『逃げて』って言ったら全力で走るのよ!わかった?」


 わたしはお母さんの後ろに隠れるようについて行く。

 玄関のドアを開けた。

 スキマから見えたのはたくさんのフリルの付いた服の女の人が倒れていた。


「………だぁれ?」

「………メイドさんね」


 外の暗がりに黒に近い青いワンピースにフリルエプロンを付けた女性が絵本に出てるメイドさんと同一と理解するにはわたしの知識は乏しかった。

 メイドさんの服は所々破けていて泥まみれになっていたが血が流れている様子はない。

 わたしもお母さんに手伝ってメイドさんの泥汚れを布巾で丁寧に拭いた。


「あのね。このメイドさんロボットみたいよ」

「メイドロボなの?」


 わたしとしては金持ちの家にしか居ないメイドロボを見たのだから嬉しくて仕方ない。

 テレビでみたロボはドラム缶にバケツを付けたような感じで人間そっくりでは無かった。


「メイドさんのご飯をあげないと………」

「メイドさん家で暮らすの?」


 お母さんは首を横に振る。


「誰かのお家のメイドさんだから家では暮らせないの、ゴメンね」


 お母さんはメイドさんのアチコチを見てる。だけど『かんりばんごう』ってのと『せいぞうなんばー』ってのが無いからお家がわからないって言ってる。


「メイドさんは凄くお腹空いてるから朝までご飯食べるから、あなたも寝ましょうね?」

「……はーい」


 明日になったらメイドさんと何して遊ぼう。

 わたしは何となく彼女が安全だと思っていた。

夢十夜では無いけど、こんな夢をみた。なんですよ。


久々です。


まとめが上手くいかないのですが、出来たものから順次上げていきます。



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