表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/77

普通の 学校の日常風景

「ねぇこの前の授業の」

「百合文化物理学の授業?」

「そうそう!計算式あったでしょ?」

「あぁタチやネコ以外にも総受けとか入った計算よね……アレって無限に出来るから困るよねぇ」

「最後には先生と生徒の計算を求めよだっけ!」

「アハハ!先生マジで必死なんだもん笑える~」

「そんなこと言ったらダメだよぅ~ジュース飲めないじゃん」



 友人達と談笑中に突然腕を捕まれて私は引っ張られて行く。

 普段の彼女には信じられないほどの力で掴まれドシドシと力強く歩く。


「ねぇ……ちょっと待って」


 彼女との身長差でたたらを踏んだ様な状態で同行するしか無い。


「急にどうしたのよ……手……痛いよ」


 空き教室には鍵が掛かっていなかった。

 ガラガラと乱暴に開けられ中に連れ込まれる。


「ねぇ私……怒らせる様なことしたかしら?」

「知らない!分からない!………でも貴女がワタシの前以外で笑顔を見せてるのを目撃したら……胸が苦しくて……チクチクして……頭に血が上って………」


 私の自惚れじゃなければ嫉妬されてる?


「ねぇ聞いてまして?怒っていると言われたらきっとワタシ怒っていると思います!」

「………ごめんね」

「簡単に謝らないでください!」


 じゃあどうしろというんだ?


「だって!だって!だって!貴女からワタシに告白してきたのよ?………だから、貴女の笑顔はワタシの物なんだからね!」

「貴女の気持ちとっても嬉しい」


 彼女の頭にソッと触れてユックリ撫でる。

 艶やかでふあふあな髪。

 撫でる度に微かに香るシャンプーの匂い。

 私の一番好きな匂い。

 そして撫でると猫の様に目を細めて頭を僅かに動かす彼女の癖がいとおしい。


「どう………落ち着いた?」

「ごめんね我儘言って。でも……あまり貴女の笑顔を他の人に見せて欲しくないなぁ」

「なんで?」


 当然とばかりに彼女は抱きつき胸に顔を埋めている。

 きっとこれから恥ずかしい事を言うって合図なのだろう。


「だって貴女の笑顔で他の人が恋に堕ちたら嫌だもん」

「それは大丈夫。他の誰かが例え恋に堕ちても私の心は既に貴女に恋しちゃってるから」


 チャイムが鳴る。

 一時限目の開始の合図と共にざわついた音は消えて空き教室には私たちの息遣いが聞こえる。


「………授業始まっちゃったね」

「うん」

「遅刻する?」

「今日はサボっちゃおうか!」

「学校に来てるのに?」

「貴女が可愛い事を言うから……」


 抱きつく腕を離して彼女はほんの少し距離をとる。


「ワタシの事どうにかしたく成っちゃった?」

「………嫌なら」

「そうね。学校(ここ)じゃ嫌………だって貴女ベットでは甘えん坊なんですもの」


 彼女は教室を出る。


「………ちょ!まって!!」

「嫌です!待てません♪ワタシとシタかったら早く捕まえなさい」


 靴を履いて慌てて彼女を追いかけるが視界には姿が見えない。

 校門を出た先で後ろから声をかけられた。


「遅いよぉ……けどワタシ捕まっちゃったね」


 嬉しそうに私の腕に絡み付きながら言われても、捕まったのは私の方じゃないのかなぁ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ