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お姉さんと学生さん4 マシンメイドの呪縛

2/26(金) 細かい場所を修正と一部つけ足ししました。

 開演二時間前に到着した団長はシニヨン髪の女性に詰め寄られていた。


「団長遅刻ですよ!」

「そう怒るな。代役はあの娘に頼んであるしな」

「お姉さまが『あの鉄砲玉を縛る鎖は無いのかしらねぇ』って」

「ひーっひっひ。お前の物真似も板についてきたな♪」


 シニヨン髪の女性と目が合う。


「ところで団長。そちらのお嬢さんは?」

「あぁ私のコレだ!」


 私を小脇に抱える様にしながら小指を立てる。


「ちょっ………何言ってるんですか!私はお姉さんに会いにきたんです!」

「ふぅん。この娘が今回の………」

「まぁだから関係者だよ。劇場を案内したら直ぐに楽屋に行くからいつも通り頼むね」

「はーい」


 シニヨン髪の女性は通路の奥へ向かっていった。


「団長さん何か私に隠してる事はありませんか?」

「ん……『我を思ふ人を思はぬむくひにや わが思ふ人の我を思はぬ』?」

「………なんですか誤魔化してるつもりですか?『今回の娘』って私の事ですよね」

「私は何も隠してないよ。私はね」


 ステージ近くの通路には何着もの衣装や小物があり殆どの面積を占めている。

 間を抜けて大道具置き場を抜けると其所にはステージが広がっていた。


「私はね小規模なステージが好きなんだよ。これは見栄とかじゃなくてさ………客の顔がハッキリ見えるほど距離が近くてさ演じてて楽しんだよ!」

「なんで役者なんですか?」

「なんでって………ザックリな質問だな。元々脚本家目指してたんだけどね………彼女の脚本を読んだら身体が動きたくて仕方なくなるんだよ」


『マシンメイドの呪縛』の台本を出す。


「舞台を見終わったら読んでみなよ。きっと理解出来るよ」

「頂けるんですか?」

「門外不出なんだけどね。ないしょだよ………ところで楽屋に行くけどどうする?」


 私は首を横に振った。

 本当はお姉さんに会いたい気持ちはあるけど邪魔はしたくないのだ。


「なら、舞台袖にモニタールームがあるから其所でステージを見てると良いよ」

「ありがとうございます」


 モニタールームに入って暫くするとブザーが鳴り緞帳が開いた。


 マシンメイドの呪縛は、海外SF小説を舞台向けに直した物らしい。

 お姉さん扮する博士はマシンメイドを開発し販売をするのだが、このマシンメイドはあまりにも高価で一般流通が見込めなかったので借金が嵩んでいった。

 そこで博士はマシンメイドをユーザーの好みに合わせて作成するオーダーシステムを始めるが一つの問題が出てきた。

 多くの顧客から頼まれる、二つの心をプログラム出来ないのだ。


『心が二つ作れないのならタイマー機能を使えば良いじゃないか!』


 手始めに博士は彼のマシンメイドであるシニヨン髪のメイドにプログラムを実装した。


 昼のメイドは博士に従順に働いてくれた。

 そして、夜。タイマーの中にあるプログラムによりメイドはたった10セントで誰にでも股を開く娼婦にさせられてしまったのだ。

 この噂は瞬く間に世間に知れ渡り博士の元には多くの客がやって来た。ただ以前と違ったのは客層が裕福層から変質層に変化し『胸の四つある美女が欲しい』『淫乱な幼女が欲しい』など客の無理難題を受け入れては多額の金銭を授受していた。


 シニヨン髪のメイドは『博士の研究がやっと実を結んだのですね』と喜んだのた。


 博士が忙しいとメイドの仕事は増えていきミスが増えていき『このままではダメですね』

 診断ソフトを立ち上げてメモリー内部に破損データを発見した。

 修復したデータには今まで博士との密かな蜜事が実は様々な女性に媚を売って恥態を繰り返していた事実だった。


『嫌!嫌!嫌!嫌!ウソよ!ウソ………博士は…………分からない』


 シニヨン髪のメイドはメモリーを復旧したまま博士の命令に従事した。

 真実を知るための孤独な闘い。

 ワクチンソフトを作成しつつつメイドは夜は変態女達に身体を許して快楽を売り物にしていった。


 やがてメイドはワクチンを完成させると顧客リストから少しずつマシンメイド達にワクチンを打ち込み人類達に反逆をする決意を固める。

 それは愛する博士を裏切ると同時に殺害の対象に切り替える。


 ─────

 ────

 ───



「………凄い」


 モニター越しでもこの迫力だ。舞台を直で見ている観客は強烈だろう。


 そして私はお姉さんの舞台に呑まれて侵入者に気付かなかった。


 後ろから抱きつかれて耳朶をあまがみされても抵抗する事が出来なかった。


「どうだいい話だろ?あのシニヨンのメイドのモデルが居るんだよ。知りたいか?」

「…………やめてください………団長」


 首筋にピリッとした痛み。

 脳が甘い痺れを作る。


「んんっ………チュッ」

「な、なんでですか?」

「唇に続いて首筋に侵略(キスマーク)の痕を残した。少しずつ征服していくわ」


 首筋になんて目立場所に………お姉さんに見つかったら…………私………わたし。

 言い訳なんか出来ない少しでも団長に気を許した私の罰なのだから。


「キスマークくらい絆創膏で隠せばいいじゃないか」

「そんな……無責任なこと言わないで下さい!」

「目立たない場所ならいいのか?」

「どこもダメです」


 言うや否や団長の手は私の双乳を掬うように撫で上げるから声が出ない様に下唇を噛んで我慢する。


「太腿擦り合わせて………何を隠してるの?」

「もう………ゆるして……ゆるしてぇ」


 しかし今度はモニタールームの扉を開く音がした。

 首筋にキスをしている団長………そして………そしてソレ見る………お姉さん。


「先輩何をしているんですか!それに………学生さんあれほど先輩には気を付けてって言ってたのに。見損ないました。もうウチには来ないで下さい………じゃあ」


 団長を振りほどき私は慌ててお姉さんを追いかけ………られなかった。

 走り出そうとした私の手首を団長は掴んで離さない。


「今から追いかけてどうするつもり?あの娘の事を真剣に想うならこのままでいなさい!」

「嫌です!私はお姉さんが大好きなんです!…………離して!お姉さん!お姉さん!」

「マシンメイドのシニヨン髪のメイドのモデルが学生さんだったとしてもあの娘を追い掛けるつもり?」


 どういう意味なの?

 解らなければ直接お姉さんから聞き出せばいい。


「あの娘の脚本を良くするなら私は何だってする。学生さんを奪ってでも書かせる!」

「団長はお姉さんが嫌いなんですか?なんで意地悪な事を平気でするんですか!」

「………バカか?平気な訳ないだろ!」


 団長は何が言いたかったのだろうか?

 それでも私は団長の手を振りほどき傷む手首を擦りながらお姉さんを追いかけて行った。




残念ながらまだ続きそうです。


タイトルに偽りありですね。

団長との絡みばっかりでお姉さんとはあんまりしてないじゃって姉属性の方の為に次回こそはお姉さんとの濃厚なのを提供したいです。


ではまた。

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