双子の姉妹
「貴女って本当にダメね。同じ双子なのにどうしてこんなに差がつくのかしら」
またお説教だ。
出来の良い姉と比べられるのは何度目だろうか。
幼少の頃は気にも止めなかったが、小学校で友達の多い姉との溝が出来た。
それは中学そして、現在高校に至るまでには溝では無く差として大きく出た。
辛うじて高校に入れた私と違って姉は新入生代表挨拶までやってのける。
今では学年首位で生徒会長までやってる。
「………同じなのは顔だけ」
私と姉では何もかも違う。
成れるなら私だって彼女みたいに自信に満ちあふれた耀く瞳で産まれたかった、鏡を見る度に割りたくなる。………私の死んだような目に光は届かない。
「ちょ………待ちなさい!」
この家にも………いや、何処にも私の居場所は無い。
「お母さんそんなに怒らないであげて。妹だって今回は頑張ったのよ。前回より伸びてるしね」
「お姉ちゃんはそうやって妹を甘やかすから…………」
止めて欲しかった。
姉の保護欲を満たす道具に成りたくない。
逃げるように自室に入る。
ベッドに背もたれて頭から布団を被り外界の音を遮断する。
ドアの外では母はまだ怒り足りないのか騒いでいる。
『お母さん。妹は私に任せてお願いだから』
『わかった。お姉ちゃんに任せるわ』
母の遠ざかる足音が消えると、ドアをノックされる。
「私一人だから中に入っても良い?」
私は返事をしなかった。
「………入るね」
姉は部屋に入ると私の前を通りすぎてベッドの上に座る。
「妹の気持ちも分かるけど、お母さんにアノ態度はイケナイと思うの。お姉ちゃんも一緒に頭を下げるから謝りにいこう」
私は姉をベッドに押さえつける様に押し倒していた。
「ねえ………ど、どうした…………の?目が恐いよ」
「………私は私なの!お姉ちゃんと出来は違うの!」
違う!私はこんな事をしたいんじゃない!
「分かった………わかったから…………お姉ちゃんが悪かったわだから………んくっ」
お姉ちゃんの唇を自分の口で塞ぎ黙らせる。
「駄目よ………私達は、姉妹なのよ………こんな事しちゃダメ………」
乱暴に姉のワイシャツを両手で引っ張る。プチプチと音をたててボタンが弾け飛んだ。
『イヤ……ダメ………』
姉は口では言っていたが抵抗する様子は無い。
ブラジャーを引き上げるとブルンと艶乳が飛び出す。
夢中なって吸い付くと、姉の声は徐々に甘声に変わってくる。
「ねぇ………好きに……ん。しても良いから………お願い………乱暴にしないでぇ」
私は我にかえって、とんでもないことをしたと思った。
姉の眼をみるのが恐かった。
それは私が姉のことを強く意識している証拠で、身近で在るがゆえに強く惹かれ彼女の様に私も生きたいと報われぬ希望を抱いてしまう。
「………ねぇこっちを見て」
見なくても感じていた。
でも、見ずにはいられなかった。
姉の冷たい突き刺さるような瞳。
私と同じ濁った瞳で私を見ている。
侮蔑や悲しみとも違うが良く見た瞳の色………私自身と同じだと気付くには遅かった。
「本当に貴女は不器用でダメな子ね………でも、一つだけ感心したわよ。私を襲うなんてね」
「…………おねぇちゃん。ごべんなざい」
お姉ちゃんにまで嫌われたら私はどうかなってしまう。
「貴女は、もう要らないの………解るよね。同じ顔は二つも存在してはいけないのよ!」
「………えっ」
私は耳を疑った。誰からも愛されている優等生の姉の言葉とは思えなかった。
「貴女と私に違いなんて存在しないわ。ただ私の方が周りの顔色を見て要領よくやってのけただけ。本当に不器用な貴女と違ってね」
「………お姉ちゃん」
「でもね。私は貴女を見捨てないわ………だって私の妹なんですもの」
私のココロはバリーンと粉々に砕け散った。
私の瞳から僅かに残った光すら消え去った。
「妹は姉に絶対服従じゃなければダメなの………わかる?」
糸の切れた私はマリオネット。
「これからは私が大切に守って上げる」
その日から私は部屋から出なくなった。
『アノ子の部屋に入ってもピクリとも動かないから気味が悪くて………』
『お母さん大丈夫だよ。妹の面倒はいつだって私がやってきたんだから』
『なんだか悪いね』
いつもの様に姉が私の部屋に入ってくる。
「ただいま………もう一人の私」
姉は当然のように私の為に作ってくれた料理に手をつける。
口に含み租借して私の口の中に流し込まれる。
私は必死にソレを呑み込む、そうすれば姉は私の頭を撫でてくれる。
「あっ聞いて………貴女のクラスメートの男子の一人がね『妹さんの病気いつ治りますか』ですって!笑っちゃうわ………だって貴女は私だけ見ていればいいの………永遠に私だけのを見ていれば幸せなの!」
私は姉に成りたかった。
姉は妹を欲していた。
ただそれだけの話だ。
なんだろう?
気分を害した方いましたら手をあげてください。
何も有りませんが、双子のネタはやってみたかっただけですからね。
では。