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褐色の恋人

 最近夕飯時に来訪者が来る。

 安アパートの外階段が音を鳴らす。


 今日も来た。

 私はロックを外すと彼女を迎い入れる為にドアを開けた。


「今晩は今日はとってもスパイシーでオリエンタルな匂いですね」

「カレーは一晩寝かせるって言いましたよね」

「一晩寝かせるって言ったから今日来たのに………晩ご飯はカレーじゃ無いのですか?ワタシ楽しみにして朝と昼を抜いてペコペコです」


 彼女は交換留学生で一つ上の先輩。

 褐色の肌にシルバーブロンドの髪。

 そして張りのある大きなお尻。

 だからといって肥っているのではなく長身でグラマー。どこかでグラビアモデルでもしていてもなんら疑問も出ない。


「………仕方無いですね。この前みたいに全部食べないで下さいね」

「アナタがチョロくてワタシ嬉しいです」

「…………チョロいってあんまりでは?」

「えっ?でもチョロいって『優しい人』ってクーデレは言ってました」


 クーデレは彼女の親しい友人で、一つ上の先輩。

 悪い人では無いのだが、人をからかうのを趣味にしてるような方だから彼女の情操教育には悪い気がする。

 しかし彼女は微塵も疑うこと無くコバルトブルーの瞳は私に向けている。

 そして何度かカレーをおかわりされて、カレー鍋も三合炊いたご飯もスッカラカンになってしまった。


「それにしてもよく食べますね………まぁ作りがいが有りますけどね」

「アナタの作るご飯はとてもオイシイです。ハラハチブンメでしょうか」

「お腹を擦りながら言われても説得力無いですよ」


 どう見ても満腹みたいだ。

 食後に横に成ってる彼女を横目に私は食器を洗い始める。


「ねぇ毎日オイシイご飯のお礼は何がイイ?」

「………お礼?」

「そっお礼。何でも言って!…………よく見てるから私のお尻でどう?」


 確かに魅力的な案件ではある。

 あの形のよいお尻を思うがままに弄る事が許されているのだから………。


「そんないけません。私達は女同士なんですよ」

「…………でもアナタの身体は気にしないって言ってるわ。スナオに成るなら明日はカツカレーね」


 なんかトッピングまで追加された。

 翌日商店街で豚カツを購入した。


「やっぱりあの時彼女の誘いにのるのも…………イヤイヤ。またクーデレ先輩が………」

「やあ後輩くん。独り言なら口に出さない方が良いと思うぞ!丸っきり変質者みたいで滑稽だ」


 笑いながらクーデレ先輩が近づいてきた。


「先輩。彼女に変な日本語を教えないで下さい!」

「例えば?」

「私がチョロいとか………」


 先輩は私の手荷物を見てニヤニヤする。


「その手荷物は豚カツだよね?」

「それは晩ご飯にカツカレーを食べたいって言うから……」

「やっぱりチョロいんじゃん!」


 悔しいけど否定する言葉が出てこない。


「処で彼女の身体はどうだった?」

「身体って………」

「彼女はお礼なら何でもしてくれるよ。ボクも手や口でお手伝いは何度もして貰ったよ」


 心がズキンとした。

 彼女はお礼の為なら何でもするのか?

 そう考えただけで辛かった。

 先輩と別れて家に帰ると彼女が来るのを待った。

 自分でもどうして良いか分からない。

 それに彼女をどうしたいのかも…………。


 玄関チャイムが鳴り彼女が来たことを知らせた。

 ドアを開ける。

 今日も彼女は綺麗だった。

 でも先輩は彼女の身体を弄んだのだろうか?


「ドウシタ?今日は楽しみにしてきた」


 私の気持ちも知らずに笑顔を向ける。

 それでもカツカレーを用意する。

 美味しそうに食べる彼女を見てるとこちらも幸せな気持ちになる。


「前に学食のカツカレーも食べたけど…………アナタのは特別オイシイ!お礼したい………何がイイ?」

「………ならキスしてってお願いしたら?」


 彼女は躊躇いも無しに私に口付けをしてきた。

 カレー味だったけど滑らかな唇は私を蕩けさせると同時に微かに怒りが湧いてくる。


「クーデレ先輩から聞いた………たかがご飯でお礼に身体って普通じゃないよ!……その口や手で………」

「確かにそうだけど、出席の代返やレポートの手伝いのどこが悪いの?アナタだって私をディナーに誘ったじゃないの!」

「確かに夕飯に誘ったけど………先輩からなんて教わったの?」

「人からディナーの誘われたらワタシも食べてって意味じゃないの?」


 あの人は………!

 せせら笑いのクーデレ先輩を思い浮かべていた。


「ワタシはアナタに美味しく食べて貰いたいです。ダメですか?」


 私は彼女に口づけをした。


「………嬉しいです」


 そしてベッドで激しく運動をした。


「………運動をしたらお腹が減りました」

「味噌汁くらいでいい?」

「ミソシル……ミソシル………ミソシル!アナタのミソシル毎日飲みたいです!」


 私は眼をぱちくりする。


「クーデレから聞きました!ミソシルは日本の愛の告白だって!」

「それプロポーズだし!」

「同じことです!返事下さい!」


 私は彼女の口封じにキスをした。


「これじゃ答えにならない?」

「好きと言ってくれるまで……キス止めたらダメ」


 私は彼女に口づけをする。



 後日談。


 クーデレ先輩はよく食べる彼女の世話を私に回したかったのと、見た目優男にしか見えないが女性だと衝撃告白をする。


「ボクは性別を騙してなんかいないよ!君が勝手に勘違いしただけだからね!」


 褐色の彼女は私に寄り添い頬を赤らめる。


「ふーん。ボクとは違う手や口の使い方を彼女としたんだね」


 私はヤッパリ先輩が苦手だ。


こんな時間ですが元気ですか?


外人ってむずかしいですね。


ぽさが出てたら御の字です。


では。

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