恋愛遍歴。
私はもし男に産まれていたら最低のクズだろう。
叩かれた左頬は鏡を見なくても熱を帯びているのは分かる。
私は昔から男より女のこが好きで、男子に告られたことが無いわけじゃないが女の子に目が行ってしまう。
初めての彼女は中学からの友人で、告ったのは私からだ。
最初はふざけて彼女の部屋でじゃれついていた。
物の弾みと言ったら嘘臭くなるけど私は何度も何度も口付けをした。
「好きすぎて友人として見れない」
私は告ってしまったが、答えは待たなかった。
嫌がらない対応を自分への好意と取り友人の柔肌を味わった。
翌日から彼女の私に対する見方は変わらなかったが求めれば人が見ていなければどんな場所でも受け入れてくれた。
私も彼女もその時は幸せだった筈だ。
彼女は私の前では常に笑顔だった。
そんな生活も半年間。
私にしてはよくもった方である。
彼女のサークルの後輩に興味を持ってしまったからだ。
「勝手でごめん。好きな子が出来た」
この一言を無言でビンタ一発で去った彼女は私より大人の女なのだろう。
後輩とはサークルでよく話をしていたし知らない仲でもなかったが、ビンタ一発貰った後に会いに行ったから心配を掛けてしまった。
「せ、先輩。どーしたんですか頬」
「彼女と別れてきた」
「え?何でですか………って聞いちゃマズイですよねぇ」
私はただ後輩を抱き締めた。
「後輩を好きになった。じゃ理由に成らないかな?」
「先輩………わたしがお断りしたらどうします?」
私は考える振りをした。
「もし後輩に断られても、私が後輩の事を勝手に好きでいても良いって許可を貰う…………かな」
後輩は少しおどけた風にしてから、改まって「よろしくです先輩」と頭を私の胸に預けた。
付き合って分かった事だが後輩はけっこうな焼きもち妬きで私の口から他の女性の名前が出るのを嫌った。
故に、後輩は初め私とのデートは女の子が多そうな場所は避けて後輩の家か私の部屋でマッタリするのが定番だった。
しかしそんなある日。
「先輩。嫌じゃなかったらダブルデートしませんか?」
私もたまには外で遊びたかったから二つ返事で返す。
後輩は百合系サークルにも所属していたらしく、そこでの友人にお披露目と自慢をしたいらしい。
ダブルデートは休日の遊園地で行われた。
後輩の友人は同級らしく互いの彼女を褒めている。
気まずいのは会話から漏れた初対面の私ともう一人の相手である。
後輩達が盛り上がってる間、互いの自己紹介等で時間を潰す。
服装がシックで大人びて見えた彼女は私より一つ上でOLであるって事だった。
また私の悪い癖が出そうだったが、後輩に呼ばれることで何とか持ちこたえた。
ダブルデートから数日後の夜。
私はOLさんと再開した。
泥酔した彼女は電柱に謝罪してる途中でコテンと寝てしまう。
「ちょっ!OLさん!」
結局彼女を自宅に連れていき服を脱がせると布団に寝かせた。
しかし、酔った彼女に押し倒され私は何度も上り詰めた。
山鳩が鳴き始めるころ私は解放され眠りにつく。
一度関係を持つとよ余程の事が無ければ離れがたい。
彼女も同じ様で、幾夜ともしれずに逢瀬を繰り返した。
いずれ後輩にバレるかも。そんな気持ちが逆に二人の関係に拍車をかける。
そこまで、大胆にやったから一週間も経たぬ内に当然ながら後輩二人に知られる事になる。
私とOLは部室のペアソファに座る後輩二人の前で正座でいた。
年下でも浮気に寛容では無い。当然ながらだ。
「これも良くは無いけど、最初は酔った勢いで許せますが………」
「二度目は故意ですよね?」
結果後輩二人の意見は固まり。
私達は左頬に手形を残されて終了。
「結局私が原因かよ」
ひとりごちる。
「それなら、わたしにも一端はあります」
済まなそうにする彼女。
「後輩に振られてフリーになったし………」
「そうですね。朝までですね」
ホテルに向かう途中思った。
明日の朝、太陽が黄色くても良いとおもった。
悔しいけど、私はこの人に逢うために色々な人を傷付けてきたんだ。
先の事は分からないけど、今は彼女を一生幸せにしたいと思う。