誕生日の相談
「放課後にワザワザ残って貰ってありがとう」
「前置きは良いから何の相談だ?」
夕暮れの教室に幼馴染みのクーデレと向き合っている。教室や廊下にすら誰も居なくて黙っていたらお互いの鼓動すら聞こえそうな気がする。
「………あの、な。ウチ……私達幼馴染みやん」
「モジモジしてどうした?便所なら教室を出て右だ」
「トイレの場所くらい知ってるよぅ!違うの!!あのね………今まで隠してたけど………私、レズなの!」
「知ってた」
「違うの!じゃなくて…………生粋のレズビアンなの!」
「言い直した意味は分からないが、よくそれで隠して生きてきたと思っているよ」
「知ってたの?」
「バレバレだ!少なくともクラス全員知ってる」
私の心配は周囲が認知しているとの事に驚いた。
「その程度の話しなら家でも出来ただろ?この前母から『ヤンデレちゃんは同性にしか興味が無いらしくて彼氏や孫は諦めるしか無い』って泣きつかれたと言ってたからな」
「………そう」
ショックだった。クラス全員が知ってる事よりも家族公認のレズビアンを幼馴染みの口から聞かされたのが心に重くのし掛かってきた。
「まぁ人生色々ある。………相談を聞こうじゃないか」
「ちょっと待って、現実に向き合える時間を頂戴」
「あぁ」
色々考えてみようとしたけど、無理だった。考えた処で現状が変わるわけでも無い。
それでもクーデレはいつもと変わらないで接してくれている。
「ありがと」
「感謝されることはしてないが?」
「それでも、ありがとうなの!………それで相談なんだけどね。今週デレデレちゃんの誕生日でしょ」
「そうなのか………よく知ってたな」
「クーデレはもっと周りに興味持った方がいいと思うよ」
「悪い。デレデレとはそんなに面識が無いからな……どんな人だっけ?」
「えっ!そこから?」
デレデレちゃんはクラスメートの一人で成績は中の上くらい。ゆるふわカールの似合う私の中でもトップクラスの美少女。特に発達した母性の象徴に顔を埋めて休日を過ごしたいくらいだ!
「そうか、そんな娘がクラスにいるとは気がつかなかったよ」
「ウチのクラスってけっこうレベル高いのが揃ってるんだよ?……そりゃデレデレちゃんはその中でもトップクラスに入るから私もオカズには………」
「ヤンデレの性的趣向に口は出さないが聴きたいとも思わない!」
「安心して!クーデレちゃんとの幼馴染みプレイは脳が擦りきれるほどしてきたから!」
「それを聞いて私はどんな反応をしたらいいんだ?」
「素直に悦んだら良いと思うよ♪」
クーデレは複雑な顔をしていたが、いつもの顔つきに戻った。
「つまり、デレデレの誕生日に何を贈るかを考えて欲しいってことか?」
「話がはやいね♪色々調べた結果デレデレちゃんはゲームが好きらしいの」
「その行動力を学力に使えばトップクラスに入るのに残念だな」
「今、私の学力は関係ないでしょ!………ゲームって言っても色々あるじゃない?」
「そうだな」
「もしかしたら、豪華客船内でじゃん拳カードで借金返済ゲームやビルからビルへと綱渡りするゲームが好きかも知れないでしょ?」
「安心しろ!一般の高校生女子は成年マンガみたいなゲームは基本好まないから」
「そう?私は必要なら『竜!お前の運を俺にくれやぁぁぁ!』ってくらいのゲームはするわよ」
「………もう少し安全かつ健全なゲームにしたらどうだ?」
確かに一理あるわね。楽しい誕生日に死人が出るのは本人の望む範囲じゃないわね。
「ゲーム機とソフトのセットとかどうだろうか?」
「そーねぇ。ヴァーチャルボーイとレッドアラームのセットとか?」
「何故そのチョイス!確かにあのマシンの中では最高のチョイスだけども!ハードに問題ありだろ!」
「メガドライブ+スーパー32Xとモータルコンバットなら皆で楽しめるわね!」
「まて!モーコンを楽しいと言う女子高校生が何処にいる!」
「ここにいるけど?」
モーコンの楽しさはなんと言ってもフィニッシュにどうするかだろう。フェイタリティやフレンドシップなどの好感の持てる終わりの他手刀で首を飛ばすとか………まぁサブゼロ使いの私には絶対零度の氷の彫刻作りが好みなのだ。
「なら、ドリームキャストとシェンムーなら泣けるよね!」
「続編が出なくて香港に行ったきり帰って来れなくて泣かせたいのか?」
「あぁ確かにその泣きはあるね!龍が……は続編出まくるのにさぁ。もうキャバクラ経営には飽きてきたよぅ」
「キャバクラ経営よりストーリー進めろ!アホが!」
女子高校生がキャバクラ経営に嵌まるなと確り説教をされました。
「じゃあ無難にツイスターを贈るとしよう!」
「ツイスターが適切かどうか購入後に私の家で試そう!二人きりでな!」