ワタシのセンセ。
卒業式には、今度行く学校の制服を着ていった。
白いセーラー服だ。
昨今セーラー服でさえ珍しいのに白である。
この制服は難関受験の成功者である証であり……ワタシ自身の価値を上げる証明である。
だから学友達の羨望や嫉妬は痛いほど解るが、卒業式さえ終わればどぅって事無い。
「四月から同じ学級だと嬉しいわ」
級友への語らいの場所に割って入ってきたのは、ワタシと同じ白のセーラー服を着た少女よりも女性に近い風体の彼女……名はクーデレ。
「……そうね、心機一転古臭いモノを棄てて新たな生活が楽しみですわ」
昔からクーデレはワタシに突っ掛かり事ある毎に勝負を仕掛けてきて困った存在である。
つまりは突き放すために、嫌味を大さじ山盛りにして答えたのだ。
「え♪……うん、そうだね……楽しみって!」
だがしかし、嫌味を言ったのに悦ばれている。
「ねぇヤンデレちゃん集合だって」
「じゃあ行こうか」
彼女が何か喋っていたが式が始まるのでクラスごと移動した。
後方から、『なんでいないのよー』って声が聞こえるがきっと女の子の日が重いのだろう……煮干とピーナッツを食べて頑張ってもらいたいものだ。
ワタシにとっては卒業式なんかはただのウェルカムドリンクみたいな物。
式が終わるのをただ我慢して待った……これさえ終われば!
式が終わり、学級最後のLHRを済ませると家には戻らずにダッシュで隣街のファミレスに向かった。
地元がファミレスも無い田舎だと考えてるなら改めて欲しい。
家の近所にもファミレスくらいはある。
ただ重要なのは場所では無くて相手なのだ。
店内入口には、桜を模したモチーフが飾られて春を感じさせた。
ワタシは少し辺りを見渡すと奥の窓際に目的の人物を見つけた……昂る気持ちを抑えて……あくまで冷静を装い歩き出す。
―――汗……臭くないかなぁ……ワタシ
入る前にスプレーしたのだけど、やはり気になる。
たったの10mそこそこ歩くのが何時間も掛かりそうだ。
気持ちと行動は反していた。
「ヤンデレさん早かったわね」
先に声をかけたのは彼女からだった。
「先生待った?」
「……先生はよして」
「ん……じゃあデレデレ待った?」
彼女はワタシの通っていた塾の講師で一回り近く違うのだけど告白は既に済ませている。
『好きな人がいるなら失恋後の告白で落とせ!』
これがワタシが母から習ったマニュアルの一つだからだ。
「ワタシは約束を守ったのだから、今度はデレデレの番だからね」
入念なリサーチの末、先生がクリスマス前に恋人と別れた。
原因は恋人の浮気。
勿論ソースはワタシ。
彼氏の回りを少し探るだけで簡単に写真を入手出来た。
後は先生の自宅ポストに浮気現場の写真とURLを無記名で投函すれば、お決まりのパティーン。
その模様を先生の自宅からの盗聴はゾクゾクするほど凄かった。
彼氏と不仲になって2日目には笑顔が消えた先生からは不思議な色気があり……ドキドキした。
ドキドキしたまま先生に告白をする。
「デレデレは約束したよね!ワタシが卒業したら」
「……本気なの?私年上よ?」
それに、女同士も始めてたし……と付け加え。
「付き合う以上対等な立場でいたいの!ワタシは!」
ワタシは卒業証書を彼女に突き付けて答えを求める。
「本当に……いいの?私年上だよ?」
「あまり五月蝿いとその口塞ぐわよ!」
デレデレは言葉を飲み込む。
「それでこれからどうするの?」
「プリクラしよっか、記念にね」
ファミレスを出ると馴染みのゲーセンに向かう。
「付き合うなら一方的な恋愛はしたくないの、だから子供だからといっても我儘は言わないわよ」
ゲーセンに着くとカウンターに向かう。
「……プリクラはこっちみたいよ?」
「まだいいから、デレデレもついてきて」
彼女の手を取りカウンターへ。
「店ー員さーん衣装貸して下さーい」
茶髪ソバージュの蝶ネクタイをした女性店員はカタログを台下からファイルを取り出すがワタシはそれを止めて
「24番サイズは……」
デレデレの方を見る。
「Mで」
「それでは、更衣室はどうしますか?」
「カップルで」
「ロッカーは4番をお使い下さい」
店員から鍵を受けとると更衣室に行く。
「……?デレデレこっちだから……行こ」
「……あの、待って下さい」
「待てません!……ほら早く」
ワタシはデレデレの後ろに回り背中を押して更衣室に向かう。
――――
―――
――
―
「……この服装本気なの?」
「似合ってますよ……せんせ♪」
ワタシのチョイスは紺のセーラー服。
本当は白が良かったけどお店にあるのがこれなのだから仕方無い。
「ワタシとおそろいは………イ・ヤ?」
両こぶしをアゴの下につけて上目使いでデレデレを見る。
「……………ずるいです………断れないの知ってるくせに」
「ん?何か言った」
ワタシはスカートの中に手を入れると、下着を脱ぐと小さく握り前に出す。
「ヤンデレちゃん何を……」
「センセも脱いでよ……ワタシ冷えて風邪ひいちゃうよ?」
「……もう」
これ以上の反論はムダ考えたのか、渋々下着を外して震えながら前に出してきた。
ワタシは受けとるとソレを広げる。
「……あまり見ないで……お願い」
そう言われると見たくなる。
「期待……してくれてたんだ、センセ♪」
「……もう知りません」
センセの下着は湿っていた……船底は外気に触れて、ソレにあたるワタシの熱を奪っていく。
「……冷た」
「期待してたんだよね、ワタシも……嫌いになった?」
「……ん、この程度で嫌いになれたら悩まずに済むのかもね」
「ありがと、さぁプリクラに行こ」
「はい」
そして一歩を踏み出す。
「……濡れ過ぎで歩きづらいよセンセ」
「もう!行くわよ」
丁度空いていた美脚プリクラの中に入りお互いポーズを決めるとアナウンスと同時にフラッシュ。
光と同時にワタシはデレデレの唇を奪った。
はじめは驚いていたけど、直ぐにデレデレは舌の侵入を易々許してしまったから期待してくれてたと思おう♪
「……撮影……終っちゃたね」
「……えぇ」
「セーラー服似合ってましたよ」
「……恥ずかしい」
「さっきも言いましたけど、ワタシは対等でいたいんです!……だからコスプレがイヤなら言って欲しいし我慢して欲しくない!」
「コスプレは……恥ずかしかったけど……嬉しかった、貴女と写真の中では同級生でいられるんですもの」
機械から出ると目の前に白いセーラー服の少女が居た。
「ヤンデレさんに……お姉ちゃん……?」
その声をワタシは知っている。
凄く知っている。
クーデレだ。
実験室にようこそ。
今回は、時間経過と年齢差をテーマでやってましたが……いつも通りでしたね。実力不足は仕様なんです!
以前失敗した下着交換がエロく出たなら成功です。
では次回。