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私とワタシ。

 近年の科学技術は目を見張るものがある……プリント技術もそうだ。

 弱小ながらも、我ラボも今年度スタートしたテーマは『立体印刷技術に於ける人工部品作製の考察と実験』。

 簡単にいえば、3Dプリンターで人のパーツ……皮膚や関節や骨・臓器等を人工で造る実験って話。

 だから私はサンプル協力として、写真を含むデータを提供した……身体測定でもあそこまで詳しく調べないからこれが口外されたら社会的にも恥ずか死ぬ!


「……教授の頼みじゃなきゃやらないわよこんなの!」


 極力世間から離れて暮らそうとする教授は、私以外のメンバーを増やそうとはしないから必然的に教授の世話がラボメンの仕事(?)なのだ。


「おはようございます」


 返事は無い。

 まあ当たり前、教授は講演会のゲストで大阪に出掛けていて朝から居ない。

 部屋は二部屋あり入口近くは事務所で、扉の奥が研究室になっている。

 事務所には事務机とパーテーションで区切って応接セットが用意している、私は先ずは部屋の掃除と床に散らばる教授の衣服を集めると洗濯籠に入れる。


「いくら日帰りだからって……これは無いわ」


 教授が戻るまでに部屋を片付けないとね……私は応接室に入ると椅子に座った女性がいるのに気付いた。


「……気付きませんでし……た」


 女性は微動だにもせずパイプ椅子に座っていたが違和感がありどうも彼女の姿をどこかで見た気がした。



 私だった。


 部屋の片付けを終えるとワクワクした気持ちで応接室に向かった。

 色々データを渡したが恐怖の谷に成ることなく正確に私を模写していた。

 私は肌が粟立つ感じがしたが頬に触れてみた。


「……釈然としませんね」


 人工皮膚は私以上に張りがありシットリとしていたからだ。(オリジナル以上に、肌質も柔らかさもあり似ている分悲しかった)

 驚いたのは肌質だけでは無くて人工関節が入っているらしくポージングは自由に出来て関節を動かしても皮膚は不自然な皺を出していなかった。


「相変わらず……謎技術ですわね」


 ここまで凄いとやっぱりアッチのほうも気になるのは人として当然の事なのだろう。

 好奇心は人を賢くするっていいますからね。

 私似の彼女は紺のリクルートスーツに膝上のタイトスカートを着ていて脚は光沢のある黒ストッキングによって彩られていた。


「……これも私なのよね」


 これから実効する内容を思い私の鼓動は高鳴り生唾を飲んだ。

 震える手で彼女のスーツのボタンを外していく……。


「……柔らかい」


 胸の辺りに手が侵入すると思わず自分のと比べてしまう。

 生気が無い分ヒンヤリしているが吸い付くような肌と蕩けるような柔らかさは本当に私をモデルケースにしてるんだよね?……IPS細胞技術め!

 そのまま上半身を脱がせた。


「所詮は模造品ね!色素は私の方が綺麗だわ!」


 私の〇首の色は教授の想像なのかしら?……だとしたら元から修正しないとね!

 気を良くした私の進撃は止まらなかった!手は下半身へと伸びる。

 人工関節は自然な角度で自由に動かせて衣服を剥がすのも楽々だったがストッキングを脱がす段階で自立してるのに気付いた。


「地味に凄い技術ね……バランスをどうとってるのかしら?」


 やはり下半身だと自分ではジックリ見ることが出来ない場所も……。


「……以外とリアルに造ってるっていつ見たの?教授!」


 ここばかりは比較出来ない!……恥ずかしいからダメ。

 ここまでやって、あることに気付いた。


「教授は私と区別つくのかしら?」


 一寸した思いつき。

 可愛いイタズラのはずだった。

 私は、彼女と服を交換することにして教授を驚かそうと。

 時計を見ると、あと二時間で教授が帰ってくる時間だ。

 彼女には悪いがロッカーに隠れて貰って私はリクルートスーツを来た胸の辺りがゆったりしているがデザインなのだろう!

 着替え終えるとパイプ椅子に腰掛ける、さっき彼女がやっていた姿勢を練習する。

 何度か練習していると入口ドアの鍵が開く音がする。


 ―――うわー緊張するなぁ


 教授は入口から迷いなく私がいる場所ここに来てパイプ椅子に座る私の左の耳朶を、正面から軽く摘まんでから頬を撫でる。


「ただいま……淋しかったかい?」


 教授の顔が近くて私は動く事すら出来なかったが、気付くと唇を重ねられて物理的にも動けなくなった。


 ――――どうしよう……キスしちゃった


 キスぐらいで慌てるほどの年齢でも無いけど、教授の気持ちを知った後だと……私ってこんなに乙女脳だったのかと驚くほどだ。


「……本物……んっみたいな……デレデレだな」


 繰り返し唇を重ね合わせては、『好きよ』『可愛い』と何度も教授は告白しては夢中でキスをしてくる。

 教授の舌が私の上顎を割って入る……倒れまいと必死に教授の背中に腕を回した。


「!」


 今度は教授が動きが止まった……目はアチコチに不規則に動き離れようとするが私は背中回した腕を外すことは無かった。


「……どうしたのですか?教授」

「あの……デレデレさん」

「もう、デレデレとは呼んではくれませんの?教授」

「……おこらないの?」


 怒らないで思い出した私。


「教授……」

「デレデレには名前で呼んでもらいたい」

「では、ヤンデレ……さんアノ方の〇首の色は私のイメージですか?」


 ヤンデレは流石に困った顔のまま笑った。


「……デレデレ」

「知らないなら探究すべきです!」

「探究って……」

「……ヤンデレには知っていて欲しいから理解するまで確認して下さい……これから毎日♪」








SFもどきです。

教授は教授のままでも成立するのですが、百合に運びたいから強引な手段に出ましたが無意味でしたか?


近年注目の実験内容ゆえにもし同名の実験やっててもフィクションだからね!



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