片付け。
最後の書類の束を箱に詰めると、ヤンデレは蓋をした。
「こんな時間まで済まなかった……一息入れてくれ」
「………かまわない」
放課後下駄箱に向かうヤンデレを呼び止めて、生徒会室に連れ込んだのはクーデレだった。
「コーヒーで良かったか?」
「何でもいい」
生徒会ではインスタントでは無くてコーヒーメーカーでドリップしている。
「副会長と会計が極度のコーヒー好きでな……ってか片付け早いんだな」
「片付けは……慣れだよ」
シュゴーと湯気と一緒にコーヒーの匂いが上がる。
コーヒーの匂いの成分には気分を落ち着かせて、脳内をスッキリさせる効果があるという。
「まさかヤンデレさんに、こんな特技があったとはね」
「片付けは特技ではないですよ」
「いやいや謙遜しなくても、あれは立派に特技で通じるよ」
「……本当に家で良くやってるから慣れてるだけ」
クーデレはコーヒーをカップに注ぐとテーブルに置く。
「砂糖は?」
ヤンデレは首を横に振ると拒否の姿勢を示した。
「君もコーヒーは好きな様だね……副会長のお気に入りだそうだ」
「……いただきます」
コーヒーの拘りは解らないが飲みやすいとヤンデレは思った。
「君はデレデレさんと仲が良かったよね」
「仲は良いと思いますが……会長は家で仕分けはしないのですか?」
「……どうにも皆は私に完璧を求めてるのか、苦手なんだよね……片付け」
容姿端麗で学力優秀な会長にも苦手な物が有るとは思わなかった。
驚きを隠すようにコーヒーを飲む。
「仕分けや、片付けにコツってあるのかい?」
「指導出来るほどでは無いですが、仕分けして片付けたのに……また要らないモノが増えてるんですよね……なんででしょうね?」
室内に暫く沈黙が続いた。
「会長、今日はコーヒーご馳走さまでした」
「……あぁまた頼むよ」
ヤンデレは生徒会室のドアノブに手を掛けると会長の方に向いた。
「……デレデレさんとは本当に上手くやってますよ」
ヤンデレが見せた笑顔でクーデレの背筋はゾクッとした。
何だか難しい表現なんだけど……グレーゾーンを出したかったんですよ。
駆け引きをやるならクーデレはありなんだけど、キャラがまだ駄目ですね。