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時代遅れの拳士  作者: ヒーローもどき
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リザードマンとの出会い

「えっ、街にですか?」


昨日の出来事から一夜明け,朝御飯を食べ終わった俺はシロガミたちに話しを振ってみる。

ここで生活していく為に必要なものは早めに揃えた方が良いだろう。


「ワシらが行っては目立たないか?」


お袋が使っていたエプロンは運慶快慶が着ていて少しでも力を入れれば今にでもはち切れそうである、何と言っても恐ろしく似合わない。


「街に出たらお前らくらいの体つきの奴らは別に珍しくともないよ。」


運慶快慶に似たような体は代表的なものを挙げるとオークやオーガ,ゴブリンなどがいる。とはいえ人間であそこまで巨躯なものはいないはずだ。

その時はローブなり兜を付けさせれば問題はない。


「身分証明証は俺の知り合いに偽装してもらうとして問題は職業ジョブか」


この世界は職業がすべてで生まれた時から大体の職業が決まっている。それは余程のことがない限り簡単には覆ることはない、職業のランクが上に行けば行くほど優遇され本人の実力とは関係なく全てはステータスで分けられる。

シロガミのあの力を見ると創成者と同等もしくはそれ以上と思う。

創成者は無から有へ、想像したことを思いがままに生み出せるが当然メリットがデカイ分、当然デメリットもあり、いくら想像したからと言って規模が大きいのは魔力消費が他の職業の比ではない。

記録されているのは最大で城を丸々一個作り上げたそうだ。


「兄さんの話を聞くとシロちゃんは創成者らしいですがいろいろ問題が・・・。」

「シロガミを学校に通わせるとなると自動的に特進の奴らと一緒になるのか」


フルーラの言うとおり、あのクラスの職業がいきなり現れるとなると噂が流れるは免れないだろう。

ここの街、ルノーワは学校が一つにまとめられている。小さい子は3歳から最大で18歳まで、生徒数は約5万人にものぼるはず。

学校にも当然、職業でクラス分けされておりAからGまであるのだが俺の職業は拳闘士ナックラーで周りからは生きた化石、原始人なんて呼ばれ最底辺のGクラスに所属している。

Aクラスは通称、特進と呼ばれ例を上げると聖騎士パラディン死霊使いネクロマンサーなどがあるがシロガミの創成者は普通では滅多に見かけなく特殊な職業だ。

しかも特進はあまり良い噂は聞こえず、表面上は仲良くしているが実際のところは内輪ではいじめが絶えないと聞く。


「ま、学校は行くのは後で考えればいいし、先に身分証明書を作ってギルドに登録しに行こうぜ」


その場から立ち上がると俺は知り合いに連絡するために一度外に出る、それに続くようにフルーラも立つと運慶快慶を連れ、朝御飯よ片付けをするため台所に消えていった。

一人取り残されたシロガミは目の前にあるテレビにかぶりつくように真剣に見ている。

                   ・

                   ・

                   ・

 

街の風景は実に統一感がまるでなくレンガで作られた家があると思うと隣に藁で作られた子豚の兄弟が住んでいそうな家があったりする。その理由は様々な種族が集まっているため文化の違いがあるためだという。


「相変わらずすごい数だね」

「いつもこんな感じなの?」

「ま、ここは街の中央だからな。そういやシロガミ、ここであの力は使えるのか?」


今思えばここの世界に来て一度も使ったところは見たことはなく、そもそもここの世界では使えるのかと疑問が浮かび上がったがその心配はなくシロガミの手から小さい白馬のミニチュアがほんの数秒で出来上がる。


「初めて見たけどすごいねー、ほんとに一瞬で出来ちゃったよ」

「ちょっと、精度が悪くなったけど大丈夫」


話しているうちに家が並んでていた場所から人の通りが徐々に少なくなっている代わりにエルフやウルフマンなど人より他の種族の割合の方が多くなった。

歩いていると全身を覆う紺色のローブに下から出ている赤色に染まった尻尾がみえると肩を軽く叩き話しかける。



「おい、また尻尾が見えてんぞ」

「なかなか上手くいかなくて・・・」

「ドラーザさん、今度仕立てしましょうか?」

「あ、フルーラさん。そいつは助かります」


シロガミと運慶快慶は不思議そうにドラーザを見る、その視線に気づいたのか頭に被っているフードを取ると三人は思わず驚愕した。


「そちらが由馬が言っていた三人ですか、なかなか特徴のあるひと達ですね。俺はドラーザ、種族はリザードマンです。よろしく」


縦に長い黄色の瞳に皮膚には群青色のウロコがあり、口から覗かせるのはギラギラと鋭く綺麗に並ぶ牙。そして決めつけは額に横一線の切り傷が見えた。

口をポカンと開け固まっているシロガミと、いつでもかかって来いと構える運慶快慶。


「落ち着けって。リザードマンは大概の奴らは気性が荒いがドラーザの場合、外に出るときはローブを着けてねぇと安心できない小心者だ」


ケラケラと肉を簡単に噛みちぎりそうな口を開け、ドラーザは違いないといい笑っている。そのやりとりを見ていたシロガミ小さく笑い運慶快慶は警戒を解く。


「身分証明書はできてんのか?」

「あぁ、急だったんで完成度はそこまで高いものはできませんでしたがギルド登録くらいはバレないはずです。街から出るときはセキュリティが高いから早めに言ってくださいね」


見た目は木で作られていて表札ほどの大きさに透明な薄いガラスがつけられていてその中には小さな魔石が入っている。


「シロガミ、中に入ってる魔石に触れてみろ」

「わかったよ」


シロガミが魔力を込めると魔法発動による微弱な独特の緑の光が現れる。


「それで完成だ、何か問題があったら言ってください」

「ありがとうございます!」

「それでは俺は他に仕事があるので。由馬、今度うちの娘たちが遊んでって言ってましたよ」

「そんときはこいつらと一緒にな」


ドラーザはフードを被り直し軽くお辞儀をして歩いて行く。


「優しい人だったね」

「酒が入ると誰にも止められないけどな」


以前ドラーザを飲みに誘ったらその店が半壊状態になるほど暴れまくって修理代を払って出禁になったほどである。

上を見上げると朝に出たはずがいつの間にか太陽が真上に登っているのがわかると次の目的地、ギルドに向かって歩き出すのだった。


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