第13話「魔王との対決」
魔王ゼルギウスが——
ゆっくりと、歩み寄る。
その一歩一歩に——
圧倒的な、威圧感。
俺は——
剣を、握り直す。
「来いよ、魔王」
ゼルギウスが——
微かに、笑う。
「その意気だ」
瞬間——
姿が、消える。
「速い!」
横から——
斬撃。
ガキィン!
辛うじて、防ぐ。
だが——
衝撃で、吹き飛ばされる。
地面を——
何度も、転がる。
「グロッグ!」
エリシアの、声。
「大丈夫っす!」
立ち上がる。
だが——
ゼルギウスは、もう眼前。
「遅い」
剣が——
振り下ろされる。
ガン! ガン! ガン!
連続で——
弾き飛ばされる、俺の剣。
「くっ……!」
必死に、防ぐ。
でも——
押される。
「君の『ソードマスター』のギフト——確かに強力だ」
ゼルギウスが——
攻撃の手を、止めない。
「だが、私には届かない」
その、瞳。
冷静で——
俺を、見透かしている。
「君は知っているかね、人間くん」
斬撃を——
繰り出しながら、語る。
「人間たちは、今も心のどこかで君を『オーク』として蔑んでいる」
「そんな——」
「いいや、そうだ」
ゼルギウスの、剣。
一際——
鋭い、一撃。
ガァン!
俺の、剣が——
大きく、弾かれる。
「認めよう、君は強い。君は努力した」
魔王が——
歩を、詰める。
「だが、それでも——彼らは君を『人間』とは思わない」
「違う!」
反撃を——
繰り出す。
だが——
あっさり、躱される。
「何が違う?」
ゼルギウスの、蹴り。
腹に——
直撃。
「がっ……!」
吹き飛ばされ——
石壁に、激突。
背中に——
激痛。
「グロッグ!」
リオンの、声。
「俺たちも——」
「来るな!」
俺は——
叫ぶ。
「これは……俺の、戦いっす!」
立ち上がる。
ゼルギウスが——
ゆっくりと、近づいてくる。
「君の仲間たちを見るといい」
魔王が——
指を、差す。
「彼らの目に——本当に『対等な仲間』が映っているかね?」
その言葉が——
胸に、突き刺さる。
「違う……みんなは……」
「哀れみ、か」
ゼルギウスが——
冷たく、言う。
「それとも、利用価値があるから受け入れているだけか」
「黙れ!」
俺は——
突進する。
『三連斬』!
でも——
ゼルギウスの、剣が——
全て、弾く。
ガン! ガン! ガン!
「君は矛盾している」
魔王の、剣。
俺の、肩を——
切り裂く。
「ぐあっ!」
血が——
溢れる。
「人間に認められたいと願いながら、オークである自分を捨てられない」
ゼルギウスの、もう一撃。
今度は——
脇腹。
「がっ……!」
膝を——
つく。
視界が——
揺れる。
「立て、グロッグ!」
エリシアの、声。
「負けるな!」
リオンの、声。
「グロちゃん!」
ミーシャの、声。
でも——
俺は——
立てない。
「聞こえるかね、人間くん」
ゼルギウスが——
俺の、頭上に立つ。
「彼らは君に期待している。君に戦わせている」
剣が——
ゆっくりと、掲げられる。
「だが——君が倒れた後、彼らは言うだろう」
その、目。
哀れみを——
込めて。
「『所詮はオークだった』と」
その言葉が——
心に、重くのしかかる。
そうなのか……?
俺は——
みんなに、利用されてただけ……?
「さらばだ、オークの勇者」
ゼルギウスの、剣が——
振り下ろされる——
「待て!」
声が——
響く。
リオン。
エリシア。
ミーシャ。
ザック。
みんなが——
飛び出してくる。
「お前は私たちの誇りだ!」
リオンが——
叫ぶ。
「認めよう、グロッグ! お前は——真の勇者だ!」
エリシアが——
続ける。
「種族など関係ありませんわ! あなたは、私の——私たちの仲間です!」
ミーシャが——
涙を、浮かべる。
「グロちゃんは、グロちゃんだよ! オークとか人間とか、関係ないよ!」
ザックが——
拳を、握る。
「お前がいなきゃ、ここまで来れなかった! 立て、グロッグ!」
その、声。
周囲の——
民衆も。
「オークの勇者、頑張れ!」
「グロッグ、負けるな!」
「お前が——お前が俺たちの希望だ!」
次々と——
響く、声援。
ゼルギウスが——
動きを、止める。
「……ほう」
その、瞳に——
初めて、驚きが浮かぶ。
「これは——」
俺の、目から——
涙が、零れる。
みんな——
信じてくれてる。
俺を——
「グロッグ」として。
「俺は……」
立ち上がる——
力が、湧いてくる。
「俺は……みんなに信じてもらってる」
剣を——
握り直す。
「それだけで——十分っすよ!」
体中に——
力が、漲る。
これが——
『ソードマスター』の、真の力——
「無限斬……!」
最終奥義。
剣が——
光を、帯びる。
「そうか」
ゼルギウスが——
笑う。
「それが、君の答えか」
魔王も——
構える。
「ならば——受けよう!」
俺は——
跳ぶ。
「せえぇぇぇやあああっ!」
剣が——
無数に、分かれる。
一閃。
二閃。
三閃——
十閃。
百閃。
千閃——
「無限斬!」
全ての、斬撃が——
ゼルギウスに、降り注ぐ。
魔王の、防御が——
削られていく。
「くっ……!」
ゼルギウスが——
初めて、苦悶の表情。
「これは——!」
最後の——
一閃。
「おおおおっ!」
ゼルギウスの、剣を——
打ち砕く。
そして——
魔王の、胸に——
俺の剣が、届く。
「……!」
ゼルギウスが——
膝を、つく。
勝った——
俺は——
勝った。
「……お前は」
魔王が——
微かに、笑う。
「お前は……面白い存在だったよ」
血を——
吐きながら。
「種族を超えた絆、か」
その、瞳が——
穏やかに、俺を見る。
「私の——負けだ」
ゼルギウスが——
ゆっくりと、倒れる。
光が——
魔王の体から、消えていく。
「君のような存在が、いずれこの世界を変えるのだろう」
最期の、言葉。
「期待しているよ——人間くん」
そして——
魔王は——
消えた。
静寂。
やがて——
歓声が、上がる。
「勝った!」
「魔王を倒した!」
「オークの勇者万歳!」
民衆が——
俺を、囲む。
仲間たちも——
駆け寄ってくる。
「やったな、グロッグ!」
リオンが——
肩を、叩く。
「見事でしたわ」
エリシアが——
微笑む。
「グロちゃん、最高!」
ミーシャが——
飛びつく。
「よくやった」
ザックが——
ぶっきらぼうに、言う。
みんな——
笑顔。
俺も——
笑う。
「ありがとう……みんな」
魔王は——
倒れた。
でも——
本当の戦いは——
これからかもしれない。
種族の、壁。
偏見と、差別。
それでも——
俺には——
仲間がいる。
信じてくれる、みんなが。
それだけで——
十分、戦える。
空を——
見上げる。
青空が——
どこまでも、広がっている。
新しい、世界へ——
これから、続く道。
俺は——
その道を——
みんなと、歩いていく。




