6.幸せな日常
終わりましたーー!
なぜ牛かと言うと、牛が好きだからです٩( 'ω' )و
「ただし……」
「え?」
「その儀式には、代償が必要なの」
静かな声だった。
「魂をこの世界に固定するには、“重し”がいる」
凛は続ける。
「その人の、いちばん大切なものを引き換えにするの」
私は嫌な予感がした。
「……大切なもの?」
凛はゆっくりと言った。
「あなたたちの場合——」
そして、はっきり告げた。
「どちらかの命が必要になるわ」
空気が止まった。
「……え?」
「片方がこの世界から消えれば、
もう片方は人間の姿で固定される」
「ンモォォォ!?!?(無理無理無理無理!!!)」
司祭
「そ、それは……!!」
私は夢愛の首にしがみついた。
「夢愛と会えなくなるくらいなら私を牛にしてよ!!!!」
夢愛の鼻が私の肩をつつく。
(バカ)
その声は、いつもの夢愛だった。
(そんな顔しないでよ)
「……夢愛」
(私だって人間に、戻れるなら戻りたいよ)
夢愛は少し笑った。
(…でも柚木を犠牲になんてまっぴらよ。牛でいいわ。)
涙が出た。
「夢愛…!!」
私は夢愛を抱きしめた。
「夢愛がいない世界なんて絶対嫌!!」
(じゃあ決まりじゃん)
私は顔を上げる。
夢愛と目が合った。
そして――
「(このままでいい!!!)」
二人同時だった。
凛は、ふっと笑った。
「……そう言うと思ったわ」
司祭は両手を組んだ。
「尊い…!これはもはや尊さが奇跡…!!」
私は涙を拭きながら笑った。
「まあ、親友の見た目が牛だけどね」
夢愛
「ンモォォォ!!(うるっさいわよ!!)」
凛は優しく言った。
「この街なら、牛でも暮らせるわ、それに……」
少しだけ悪戯っぽく微笑む。
「いつか別の方法が見つかるかもしれないし」
司祭が胸を張る。
「その時は教会総出で協力いたします!」
(この人ちょっと暑苦しいね)
「うん」
(でもいい人)
「うん」
それから――
私たちはこの街で暮らすことになった。
夢愛は牛のままだけど、
花畑を歩くだけで村人に撫でられる人気者になり、
司祭は毎日
「尊い……」
と言いながら祈っている。
そして私は――
牛の夢愛を全力で愛でている。
ある日の夕方。
夢愛がのんびり草を食べながら言った。
(……柚木)
「なに?」
(私さ)
少し照れくさそうに言う。
(なんだかんだで今、結構幸せかも)
私は笑った。
「私も」
夢愛
(でもさ……)
「うん?」
(たまには牛じゃなくて人間の体ほしいけど)
私は振り返った。
「それは……」
凛の家を見て言う。
「凛さんに新しい儀式考えてもらおっか」
家の中から声がした。
「えっ!?なによ、急にハードル高いこと振るじゃない?」
司祭
「神よ……この日常……尊い……!」
夢愛
「ンモォォォ!!(この人ほんと何なの!?)」
そのとき、凛が扉から顔を出した。
「……でも」
私たちは同時に振り向く。
凛は少しだけいたずらっぽく笑った。
「方法が“ない”とは言ってないわよ?」
「え?」
夢愛
「ンモ?」
凛は肩をすくめる。
「この世界には、まだ私たちが知らない魔法が山ほどあるもの」
司祭
「神よ……希望……!!」
私は夢愛を見る。
夢愛もこちらを見る。
それから、同時に笑った。
「……じゃあ」
「ンモ」
「気長に探しますか!」
「ンモォ!!」
凛
「ふふ、いいわね」
司祭
「尊い……これは尊い……!」
こうして――
私たちの異世界生活は続いていく。
もしかしたらいつか。
夢愛が牛じゃなくなる日も、
来るのかもしれない。
その日までは。
ゆっくり、
この世界を楽しむことにしよう。
読んでくれてありがとうございました!




