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異世界で親友が牛になりまして  作者: ちょこだいふく


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5/7

5.意外とあっさり

険しい山道を越える覚悟を決めていた私たちだったけど――。


「……あれ?トンネルあるよ」

「ンモォ(めっちゃ整備されてる!)」


拍子抜けするくらい立派な石造りのトンネルを抜けると、そこには夢のような景色が広がっていた。


白壁にパステルカラーの屋根をのせた小さな家々。

花畑に囲まれた石畳の道を、ぬいぐるみみたいに可愛い服を着た村人たちが行き交っている。

なんだここ……異世界シルバニアタウン??


「え、えぇぇぇ……!?山越えたらファンシーワールド!?ギャップがすごすぎるんですけど!?」

「ンモォ(尊い……!私ここ住みたい!!)」

司祭は手を組み、真剣な顔でぽつりと呟いた。

「……可愛い……尊い……これは……信仰……」

柚木「(あ、また新しい扉開いた)」


そんな街の奥、静かな森に佇む白い石造りの家。

扉をノックすると――。


「あら、どうしたの?」


柔らかな声とともに現れたのは、長い黒髪を背に流した美しい女性。

二十代半ばくらいの若々しい見た目なのに、まとう雰囲気は落ち着きそのもの。


「あの……私たち、異世界から迷い込んで……この牛も本当は人間なんです!助けてください!」

必死に説明する私を、彼女は驚きもせず、ただ静かに微笑んだ。


「ふふ……そう。やっぱりあなたたちも“こちら側”なのね。ようこそ」


司祭「……っ(神々しい……!)」

夢愛「ンモォ(推せる……!)」



応接室


案内された応接室は、白い壁に木の家具が映えるシンプルで清楚な空間だった。

余計な装飾はなく、まるで現役の聖女が住んでいるかのような凛とした気配。


「落ち着いて。ここなら安全よ」

湯気の立つハーブティーを差し出す仕草まで優雅で、司祭はすでに信者の目で彼女を見ている。


私はドキドキしながら切り出した。

「あの……私たち、日本から来たんです」

「やっぱり。私もそうなの」

「えっ!」


そこで一気に盛り上がる三人。


「私たち推し活してて!ライブ帰りに事故に巻き込まれて!」

「ふふ……私は会社でバリバリ働いてたの。でも――」


凛は少し恥ずかしそうに目を伏せ、けれど柔らかく笑った。


「……密かにシルバニアを集めるのが大好きだったの」


柚木「え、えぇぇぇぇ!?ギャップ!!」

夢愛「ンモォォ!(尊い!!)」

司祭「……(“可愛い”はやはり神の祝福……尊い……)」



趣味部屋


「よかったら、見てくれる?」


凛が奥の扉を開くと――そこはファンシーの極致だった。

棚一面にミニチュアハウスと人形、ぬいぐるみ、花柄の布や小物がぎっしり。

窓辺には小さなティーセットが飾られ、まるで童話の世界。


「…………」

柚木「(言葉が出ない……!)」

夢愛「ンモォォ!(住みたい!ここに住みたい!!)」

司祭「……っ(“可愛い”は……尊い……やはり尊い……!)」


凛は少し照れながら肩をすくめる。

「前は人に見せられなかったの。でも今は、胸を張って“好き”って言える。同志なら、わかってくれるでしょう?」


私はガバッと身を乗り出して、両手を握った。

「わかります!!推す気持ちと一緒です!!」

夢愛「ンモモモ!(尊い推し活仲間!!)」


凛はくすっと笑い、穏やかに言った。

「……ようこそ、私の街へ」



こうして私たちは――元聖女・凛と出会い、同志として絆を結んだ。

そしてここから、私たちの“拠点づくり”が始まっていくのだった。


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