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異世界で親友が牛になりまして  作者: ちょこだいふく


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1/7

1.親友が牛になりまして…

「……あれ?」


目を開けると、私は見知らぬ林の中に転がっていた。

さっきまで夢愛ゆあと推し活帰りに歩いていたはずなのに。


頭がズキズキする。着ていたTシャツやジーンズは、いつの間にかファンタジーの衣装みたいなチュニックに変わっていた。

震える手で腰のポーチから手鏡を取り出す。映った顔は――。


「……え、若返ってない?しかも詐欺写真的ばりのこの顔!」


混乱して鏡を落としそうになった、そのとき。


「ンモォォォ……」


背後から、切実そうな牛の鳴き声が響いた。

振り返ると、一頭の牛がじっと私を見ていた。


「……牛?」


(……ゆずき!)


頭に直接、声が響く。


「ひっ!?え、ちょっと待って。いま喋った!?」

(いや喋ってない!でも聞こえる!?私よ!夢愛ゆあ!)


「ええええええぇぇぇぇぇぇ!??!?」


林に私の悲鳴が響いた。



「な、なんで牛!? てか耳ピクピクしてるし!」

(こっちが聞きたいわよ! 推し活帰りに事故って……気がついたらこれよ!)

「いやいや!だって口からは“ンモォー”しか出てないし!」

(でも頭では普通に話せてるじゃない!)


私――柚木ゆずきと、牛の姿になった親友・夢愛ゆあは顔を見合わせた。


「これ……どういうこと?」

(わこんない、でも考察するに多分、魂と身体が完全に同期してないんだと思う)

「同期……?」

(そう。魂がちょっとはみ出してるから、こうしてテレパシーで会話できてる。でも――もし完全に同期したら……)


二人同時にゾッとした。


「……牛の脳みそに、夢愛の魂がハマる!?」

(いやぁぁぁやめてやめて!!笑えないから!)




ーーーーー


必死で頭をひねる二人。


「とにかく、このままじゃマズい事だけは間違いないからどうにかしなきゃ!」

(誰か詳しい人探さなきゃ…専門家とか)

「専門家って何の専門家???あ、異世界なら……教会とか?偉い神官的な人なら何か知ってるかも!」

(……それだ!)


こうして、牛になった夢愛を救うため、私たちは教会を目指すことにした。


ーーーーーー


林を抜け、村の外れにさしかかったところで。

村人たちが牛を見つけて目を輝かせる。


「おお!立派な牛だ!」

「よく太って、毛並みも美しい!」


「ンモォォォ!!!モォォォ!!!」(ちょ、やめて!品定めするように見ないでよ!!)



必死の訴えも、口からはやっぱり「ンモォー」しか出ない。

私は慌てて牛の首にしがみつき、叫んだ。


「この牛は家族同然なので売るつもりはありませんっ!!!!」


……こうして私たちの教会を目指す旅は、前途多難なスタートを切った。


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