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カラクレナイ#9 次のステージへ

今日は10日目。おそらく今日ナイトメアが帰ってくると思うのだが。一体人をほうっておいてどこに行っていたのか。

しばらくボーってしていると突如空に裂け目が現れ中からウキウキのナイトメアが出てきた。


「よっと。いやー久しぶりに帰ってきたわい。10日ぶりの魔界は違うのー。空気が地球と違って魔力たっぷりじゃ。さてと、いおりーどこじゃー」


「いおりーどこじゃー、じゃねぇよ。10日間弟子をほったらかしにして一体どこに行ってたのかと思えば……そのサングラスと持ってる浮き輪やら何やらはどうしたんだぁ?」


10日ぶりにみたナイトメアはやけにウキウキでよく海水浴場とかにいそうな姿をしていた。まぁあくまでアクセサリーだけだが、いつも通りゴスロリだ。だが右腕にかけたどっかのテーマパークのキャラクター(すごく不格好ではある)が描かれたトートバッグに左腕で持っているスイカの浮き輪、最後になぜか縁が虹色をしたサングラス……

ファッションの点において絶望的な見た目をしている俺の師匠だが、俺の問いかけにニヤけずらでこう言った。


「いやー大したことはしとらんって。用事のついでにたまたま近くにあった海で遊ん……ゴホン、監視をしとっただけじゃって。」


「監視にしては持ってる装備が遊ぶためのもののようにしか見えないのだが。あんたまさかあの10日間ずーっと海で“監視”してたってのか?」


「えっいや、7日の時に手紙送ったじゃろ。あの時はまだ用事は終わっとらんかったぞ。当たり前じゃろう。せいぜい遊んだのは2日ぐらいじゃ。」


目が回遊魚なみに泳ぎまくっているが……まあいいだろう。戻ってきてたとしてもこの様子だと役に立たなそうだったし。というか誤魔化したくせに結局遊んだって言ってんじゃねぇか。大丈夫か?うちの師匠は。


「いや、わしの用事なんてどうでもいいわい。お前!!魔式を習得できたんか!!どうせできとらんじゃろ!!今日でもう修行の日は終わりじゃぞ!!」


「いや7日目の時点でもうできるようになったって。思ったよりも簡単だったな。」


「???」


ナイトメアはそれを聞いてまるで急に宇宙の話を振られたかのような顔をした。

やかましいなこいつ。驚きたいのはこっちだよ。


「じゃあ、残りの3日何してたんじゃ?1人しりとりとかか?あっそれとも1人マジカルバナナじゃったか?」


「別に1人遊びをするほど落ちぶれちゃいねぇよ。あーやってたことで言うと魔式の検証ぐらいか?あとは寝てたな。ちょうどさっきまで寝てたし。」


「……魔式の検証?わしはまだお前が魔式を習得したことを信用しておらんぞ。せめて目の前で見せてもらわんと。」


「まぁ見せる分には構わないが……変ないちゃもんつけんなよ。あくまで自力で練習した結果だからな。」


そういい俺は魔式を展開する。もうすでに魔式の感覚は掴んでいる。最初の方はちょっと力の調整を誤ることもあったが(もちろん爆発した)、魔式を扱えるようになってからずっとその発動に重点を置いて練習してきた。これから先あるかもしれない血腫との戦いでスムーズに魔式を展開することが目的だ。……いやあるかはわからんけど。


魔式の方はちゃんと展開できた。今は体がオーラで包まれたオーラ状態である。あぁ、オーラ状態というのはちょっとダサいな。今度誰かに見せる時は名前を考えないと。で、オーラ状態を見たナイトメアの方はというとさっきと同じ宇宙の顔をしている。こいつ驚きの表情それしかないのか?表情筋が現在進行形で死んでいっている俺の師匠だが数秒放心状態をキープしハッとなって真面目な顔になっていた。


「いやまさか本当に魔式が使えておるとは……ちゃんと瞬の状態になっておるし……あーこの際言っちまうか。」


「ん?まだ伝え忘れていたことがあるのか?」


「いや、その〜実は10日間がタイムリミットっていうのは嘘なんじゃ。本当はあと少し……1年ぐらい猶予があるんじゃ。お前がわしがいなくても魔式の練習をするように言ったのじゃが……何で10日で使えてんじゃ。バケモン。アホ。怪物。」


「急に悪口のレベルが小学生に下がるな。猶予が1年っていうことは……あと300日ぐらい暇なのか?俺。流石に何かやることぐらいあるよな。この先もずっと魔式の修行なんて嫌だぞ。」


「あーわかったわかった。今考えとる。お前ができそうな暇つぶしか……2人でしりとりでもするか?」


「やんねぇよ。一年しりとりだけやってたら気が狂う。」


「もう、冗談に決まっておろう。そうじゃの。お前1人で血腫を狩ってくる。というのはどうじゃ?もちろん難易度も低いやつを幾つかこなすって感じじゃが。」


「血腫を狩る。ってあの血腫か?今の俺なんかが戦って勝てるもんなのか?前みたいに死にかけるんじゃ……」


「バカ言え。吸血鬼であるお前がただの血腫なんかにやられるか。それに今のお前はわしの魔式も習得しておる。負ける要素なんてないじゃろうに。」


む。それはそうだ。だけど俺の血腫に対するイメージは全てあのトラウマに占領されているため血腫といえばすごく強い怪物。みたいな考えなのだ。だからまだ恐怖する心があるかないかで言われれば絶対に心のどこかには怖いという感情が根付いている。果たして生きて帰ってこられるのか。……いや、吸血鬼のあの再生能力を鑑みると絶対に死ぬことはないんだろうな。間違いない。


「まぁ、もしお前が死にそうになったらわしがすぐに助けてやる。曲がりなりにもわしはお前の師匠じゃからな。」


「弟子に嘘ついてビーチでバカンスしてたやつがよく言うよ。」


「だぁからあれは遊びに行ったわけではなくちゃんと用事があって……」


「あーはいはい。わかったよ師匠。あんたの往生際の悪さはちゃーんとな。」


「おーまーえー!!弟子のくせに生意気な!!魔式ができるからって調子に乗るなぁ!!」


いやー久しぶりにこんな人と話した。やっぱり誰かがそばにいないと楽しくないな。師匠に追いかけまわされている現状も賑やかで良い。そうだ。曲がりなりにもこいつは俺の師匠だ。あの時も俺を助けてくれた。そんな人が絶対に助けると言っているんだ。安心して血腫を狩りにいける。そう考えるとこいつに師事して少し良かったと思えた。今羽交締めにされているが。誰か助けてくれ。

ナイトメアさんの用事は最初言っていた血腫の駆除です。

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